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2年ぶりの島田荘司サイン会(南雲堂)

『島田荘司全集』第5巻の発刊を記念しての、御大のサイン会に参加してきました。
会場は、出版元である南雲堂です。
……が、あれ?
島田荘司サイン会会場であるはずの南雲堂

表のシャッターが閉じられていて、どうも人の気配が感じられないのですね。
雰囲気からして、もう完全に“お休み体制”のビルなんです。
会場って本当にここでよかったんだっけ? 間違って違うところに来ちゃってない?などとビビってしまう小心者なオレ。
しかしよくよく見てみると、ビルの前にこんな張り紙が。
「島田荘司先生サイン会会場」

確かに「島田荘司先生サイン会会場」と貼りだされています。
よかったー、会場を間違えてはいなかったようです。
(しかし、なぜこんな見えづらい自動販売機に……)

前回参加したのは、2009年の第3巻発売記念時のサイン会だったのですが、このときは1人あたりの対応時間が長引き、ぼくの場合で6時間待ち、最終的には打ち上げ会場でもサイン会が続けられたという伝説が残されました。
今回はそういった事態を避けるため、「1人4分」という時間制で行われるそうです。
なんだかAKB48の握手会みたい。

閉ざされたシャッター横の入口から恐る恐る1階の奥に入り込み、「営業部」と書かれたドアを開けると……おお。
確かに社員の方がスタンバイされていました。
受付を済ますと、まだ時間があるということで、どこか懐かしい感じのする応接室でスタンバイ。
南雲堂の応接室は、どこか懐かしい感じがします

やがて順番が来たということで、4人1組のグループで階上にある「総務部」に移動します。
この扉の向こうに御大がいらっしゃるのですね……。
もう、そんなことを思っただけで心臓が破裂しそうな勢いでバクバク、ドキドキ。
この扉の向こうに、御大がいるかと思うと……

そしていよいよぼくの順番がやってきました。
ドキドキしながら、おそるおそる「失礼します」と部屋の中に入ると……おお……。
そこにいらっしゃった御大、にこやかに迎え入れていただきました。

まずは全集にサインをさらりさらり。
『島田荘司全集』第5巻へのサイン

続いて、長年の夢だった『占星術殺人事件』の初版本も取り出します。
これは、まだ主役2名の名前が「御手洗清志」と「石岡和美」となっているお宝本なんですね。
こちらにもサインをいただければ……と恐る恐る差し出すと「いいですよ」。
気軽にさらりさらりとサインしていただきました。
おお、なんて夢のような出来事なんでしょうか!
『占星術殺人事件』初版へのサイン

このあと「4分間」のフリータイム。
なんでも質問がOKとのこと、どうしても気になっていた『写楽 閉じられた国』について聞いてみました。

この作品では、メインテーマである“東洲斎写楽の正体”については、思いがけない人物が挙げられてての解決で終わるのですが、ただ、登場人物が非常にナゾのセリフを残していて、メチャクチャ中途半端なところで終わっているのですね。
これはきっと続篇があるに違いないけど、写楽の正体が判明したとなると、どういう展開に?と質問したのです。

すると、もともとこの作品はかなり古くから暖めていたテーマであり、ようやく書けることになったから執筆したところ、かなりの長さになってしまったので削ったとのことでした。
だから、現代篇でも本当はもっとストーリー展開もあったようなんです。
なるほど、そういえば「あとがき」でもかなり長くなったのでかなり削ったということを書かれていましたよね。

続きとしては、本当は“写楽”の正体の人の“その後”を書きたいとのこと。
しかし、その調査を行おうとしても資料がほとんど現存しておらず、まったく難しい状態なのだとか。
そのため、現代篇での登場人物のその後の展開も含め、『写楽』の続篇を書くのは難しい……とのことでした。

この話をしている途中で、「4分間」のアラームが鳴ったのですが、御大は「まあ、そういうことで」などと切り上げることもなく、丁寧に説明をしていただけるので、横でついていた出版社の方もちょっと焦っているようで、申し訳ないやら嬉しいやら。

最後には、恒例となった御大とのツーショット写真です。
御大とのツーショット写真 手を前で組んで、まったく同じポーズとっていますが、これは偶然です。
御大とシンクロしていたのですな(←なんと不敬なことを……)。

ふたたび、赤い蘇部健一

「ふたたび、赤い蘇部健一」って、まんま法月綸太郎(あるいはキング・クリムゾン)の『ふたたび赤い悪夢』じゃないですか。
あれ……? ということは、蘇部健一は悪夢なの?
いえいえ、そんなバカなことを言ってはいけません。
蘇部健一は、ぼくらのようなコアなおバカファンを希望の光で灯す、カルトな星(スター)なんですよ!

……ということで、前回の『赤い糸』に引き続いて今回も新刊『六とん4』に、サインをいただきました。
垢抜けてきた蘇部健一『六とん4』のサイン本
名前を赤ペンで書くのって、確か禁忌な事項じゃなかったかしらん……と思わず心配してしまうのですが、いえいえ、そんなタブーをおそれる我らがソブケン先生ではありませんとも!
しかも為書きの、ぼくの名前の下が「さま」ではなくて「ナま」に見えてしまうのですが、いえいえ、そんな細かいことなんてどうでもいいのですよ!

サイン自体、『六とん3』に比べてもかなり 垢抜けて グレードアップしてきているんですよ!
前回の『六とん3』では、消しゴムをカッターナイフ(いや、彫刻刀かしら)で削って作ったような“特製六枚のとんかつ”はんこがベッタリ押されてあったんですね。
このはんこがまた、サインと比べてずいぶんと大きいため、完全にサインが食われてしまっていたのでした。
(これ↓)
メガトン級の爆弾にも匹敵する蘇部健一『六とん3』のサイン本
わははは、さすがは我らがソブケン先生だ。

しかし今回のサインはどうでしょう、これ。
とんかつ部分がペン書きなんですよ……なぜか黄色ですが。
そしてこのとんかつには、ちゃんと今回の表題作である「1枚のとんかつ」を忠実に再現したソースまで掛かっているのですから。
はんこと違ってここまで描くのには、かなり時間と手間が掛かっているに違いありません。
すごいのですよ! 我らがソブケン先生は!

そしてさらに今回もおまけ付き!
本の中には、ナゾのポチ袋が挟み込まれてあるのです。
ナゾの特典、ポチ袋
これはいったいなんでしょうか。
時季外れのお年玉のような……と思いながら、なかを覗いてみると「やったぜ、ベイベー!」。
今回またしても手書き原稿、それも毎度おなじみの「ルーズリーフに書かれた直筆原稿」が入っていたのでした。
毎度おなじみの、ルーズリーフに書かれた蘇部健一直筆原稿
今回も、やはり目に優しい緑のインクで書かれたおバカでお下劣な物語。
それがこうして本になって手元にあるというのが、なんだか不思議なんですね。

いやー、すっかり我らがソブケン先生のサインで我を忘れて興奮してしまいました。
サイン本と言えば、なんだかメチャクチャ久しぶりにこれらの本も購入しました。
貴志祐介の最高傑作である『悪の教典』
貴志祐介の最高傑作である『悪の教典』のサイン本
乾くるみの『スリープ』
乾くるみの『スリープ』のサイン本
ホント、一時はサイン本を求めて都内はおろか、首都圏全域を回っていたのに、ここ最近は本屋さん自体に全然行けてないのですから。
もう、世の中にはいったいどんなサイン会があって、どんなサイン本が出回っているのか、よく判らないのですよ。

でも、いいのです!
ぼくにはソブケン先生の直筆原稿があるんですから!
やったね!

江口寿史サイン会(リブロ シァルプラット東神奈川店)

27年目にして完結した『ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション(全3巻)』発刊記念の江口寿史サイン会に行ってきました。

サイン会場は、「リブロ シァルプラット東神奈川店」だそうなんですが……うーん、リブロのようなオシャレな本屋さん、東神奈川にあったかしら。
そもそも“シァルプラット東神奈川店”の“シァルプラット"って何なのさと、ドキドキしながら東神奈川に行ってみると……おおう。
新しく建てられた駅ビルの名前が“シァルプラット東神奈川”だったんですね。
そのなかに新しく入ったということで、知らなかった……。
だから店の名前だって、実は駅ビルそのままだったんです。
JR東日本ってば、東神奈川駅の駅ビルにこんなコジャレた名前をつけたりして、なかなかやるなー。

そんな訳で、横浜市民のジモティーとしては余裕シャクシャク、開始時間の30分前にはお店に到着したのですが、うわお。
既にサイン会の待ち行列が伸びているんですよ。
男女比はほぼ半々で、年齢層はやはりぼくと同年代ぐらいの方が多いようです。
そういえば、サイン会待ちの長蛇の列を見て「サインを頂きたいのですが、もうダメですか?」と訊いていたのは、やっぱり同じ年齢層の方々ばかりでした。
対して、それ以下の年齢層となると、並んでいる列をみても「誰? 有名なの?」と言っている人が多かったように思います。
ああ、これがジェネレーションギャップというヤツなのか……。

そんなサイン会、15時ジャストに拍手とともに始まりました。
ボーッとしながらも、列が進むのを今か今かと待っていたのですが……あれ?
なぜか、列がなかなか前へと進まないのです。
待つこと1時間、ようやくサイン会場となっているエスカレータホールまで列が進んで様子が見えてくると、ああ、なるほど、こりゃ列が進むのに時間が掛かっているわけですよ。
何しろ今回のサイン会は、対象となる『ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション』を3巻ともすべて持っていても、全部にイラスト入りのサインを書いてくれるのですよ。
しかも、写真撮影まで気軽に応じて、ツーショット写真なんかも撮影しているのです。
1人あたり、だいたい5分は掛かっているのではないでしょうか。
サイン中の江口寿史

と、するとですよ……今日の定員が100名なので、単純に考えると5分×100名=500分……って、8時間20分!
全部で8時間半近くも掛かっちゃう計算ですよ! わお!
サイン会は15時にスタートしたので、この調子だと終わるのは23時半……って店閉まってますって!
それでなのでしょう、このあまりの列の進まなさに会場整理されているスタッフの方は気が気でないようなのです。
「今日のサイン会は18時までの予定なんですけどねー」とは整理されているスタッフの方の言葉。
江口寿史の隣で、アシストされているスタッフの方もやはり焦っているらしく、「先生! 始まって1時間半で20人ですよ!」と発破を掛けています。
江口寿史も苦笑しながら「……ハイ、頑張ります」とのことでしたが。

そんなこんな大変な状態のなか、ぼくの番となりました。
「よろしくお願いします」と本を3冊差し出すと、江口寿史が「(サインに添えるイラストは)“3姉妹バージョン”がいいですか?」と尋ねてくれます。
「ええ、ぜひ!」とお願いすると、「やっぱり」とニヤリ。
リクエストに応じて“江口寿史バージョン”にもしてもらえるそうですが、だいたいのところ、男性は三姉妹バージョンを希望されるそうなんですって。
実際、ぼくの前に並んでいた女性の方は、続けて江口寿史バージョンを貰っていたようです。
サインを書かれているところを、写真に撮らせてもらってもいいですか?とお伺いすると、気さくに「どうぞー」とOKを頂けました。
江口寿史にサインをしてもらっているところ

ああ、なんてステキにすばらしいひとときだったでしょうか。もうウットリしすぎるほどウットリしてきました。ウットリ。
今日は本当にどうもありがとうございました。
ところでこの日のサイン会は、いったい何時に終わったのでしょうか……。
江口寿史サイン(大空ひばり編) 江口寿史サイン(大空つばめ編) 江口寿史サイン(大空すずめ編)

桜庭一樹・道尾秀介トークショー(ジュンク堂池袋本店)

金曜日に、ジュンク堂池袋本店で桜庭一樹の新刊『道徳という名の少年』出版記念として「桜庭一樹・道尾秀介トークショー」が開催されるということで、会社帰りにレッツゴウ、行ってきました。
開催が平日なのに、今をときめく作家2人によるトークショーということで、早くから満員御礼、札止めとなっていたこのイベント、会場の4階喫茶室はもうキュウキュウのギュウギュウなのでした。

19時を少し過ぎた頃、拍手に迎えられて2人が登場です。
司会役の方がいるのかと思っていたのですが、きっかけを出す程度でなかに入ることはなく、基本的に2人にトークをまかせた形となっていました。
しかしそんな司会役の方は必要なく、道尾秀介がかなりのサービス精神を発揮。
桜庭一樹にどんどんと質問を投げかけ、また、彼自身も熱い「短篇小説への思い」を語ります。

しかしこの道尾秀介の短篇小説への熱い思いが時折暴走し、桜庭一樹の冷静なまなざしに我に返り(短篇小説の魅力を語っている最中、いきなり「ぼくは辛いものが好きで、ラーメンにはラー油を掛けて食べるのですね」と、なぜかラー油に例えて熱く語り出した道尾秀介の熱い「動」と、それをぽかんと聞いている桜庭一樹の「静」とか……)、そこが会場の笑いを誘うという、終始和やかなムードで進められた1時間でした。

お客さんにはあらかじめ、桜庭一樹と道尾秀介が勧める短篇小説が、国内外で1篇ずつ、計2篇(道尾秀介は選びきれなかったのか、国内作品が2篇の計3篇)、コピーされて配られています。
とはいってもそこは本屋さん、もちろん全部がコピーされる訳はなく、その一部だけなのですが。
そんな短篇小説の紹介をするのって、なかなか難しいですよね。
なにしろ、あらすじを紹介しようとしても、ストーリーをほとんど言いかねませんし。
しかしそこは、お二人の“短篇・愛”が成せるワザなのでしょうか、あるいは引き出しが豊富なだけに紹介したい材料が次々と飛び出してきたからでしょうか、どれもとても魅力的に紹介されたので、メチャクチャ気になってしまいましたよ。

ちなみにお二人の勧める短篇小説は以下のとおりです。

【桜庭一樹】
スティーブン・ミルハウザー「夜の姉妹団」
谷崎潤一郎「刺青」

【道尾秀介】
フレデリック・ブラウン「叫べ、沈黙よ」
中島らも「DECO-CHIN」
阿刀田高「迷路」

今回のトークショーで、特に印象に残った発言は、道尾秀介が言った「短篇集は今、売れないから、出版社ではあまり“短篇集”と言いたがらない」ということ。
そういえば、ここ最近、ぼくが続けて読んだ本のどれもが短篇集だったにも関わらず、帯や表紙のどこにも「短篇集」とは書かれていなかったのですよね。
もともとが短篇として発表された作品のはずなのに、「第1章」「第2章」……と、無理矢理に長篇として構成sきていたので、「これ、なんだかおかしいよなあ」と不自然に思っていたのです。
そうかあ、やはりこれも「“短篇集”と帯やカバーで知らしてしまうと売れない」という出版社の思惑が絡んでいたのでしょう……か。

桜庭一樹の今回の新刊である『道徳という名の少年』も、連作形式の短篇集だそうですが、これも当初から意図していたことではなく、たまたま短篇の依頼が多く重なった時期に「別々の物語で書くよりも、繋がった物語の方が面白いな」と感じたことから書き始めたそうです。
イメージとしてあったのは、デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』のように、1曲ずつは別々でもトータルでは繋がっているコンセプトアルバムを目指したのだとか。

その『道徳という名の少年』については、道尾秀介がスゲースゲーと終始大絶賛。
いわく、他の作家がやろうとしていることをすべて無視している! この5つの短篇だけで、長篇が5作書けるほど中身が濃い! なんてコストパフォーマンスが低い(作家側の視点で)!
この「コストパフォーマンスの低さ」という点については、「長篇と短篇の違い」という点でも繰り返されました。
長篇と短篇とは、実は書く側としては、同じだけのエネルギーを使うのだそうです。
「短く書く」ということは、書く時間が短くて済むのではなく、どんどんと削ぎ落としていく作業が出てくる分、それだけ時間を掛けなければならないのだそうですね。
そのため、短篇を書き続けていると命を縮めているのではないかと思うのだとか。
例えば、川端康成『掌』という本では、120篇もの掌篇小説が収められているのですが、これだけあってハズレがまったくない、あれだけの素晴らしい短篇小説(掌篇小説)を書いてしまうと命を縮めるんじゃないか、と思ってしまったそうなんです。
最近では、Twitterでも小説を書く人が増えているので、こういった140字とさらに短いなかで作品を収めないといけないとなると、この人たちは命を縮めていないのかなーと考えてしまうのだとか。
ここで桜庭一樹、「そういえば、円城塔さんはどうしてTwitterに小説を書いているの?」と不思議そうでした。
(その翌日夜中に、桜庭一樹もついにTwitterを始めました)

あっという間の1時間が過ぎ、トークショーは終了。
引き続きサイン会へと移ります。

ここで、出版社の方々が大慌てであたふたしていました。
どうやら、お土産の冊子が足りなさそうであることが判明したようです。
トークショーの参加者だけでなく、終了後には、書籍を購入した人にもそのままサイン会に参加できるようになっていたのですが、この人数が想定以上の数だったのでしょうか。
「コピー機を貸してください!」「1階のレジの横にありますから、どうぞ」とジュンク堂の方とのやりとりが並んでいる隣で展開。

こちらがそのお土産の冊子、「『道徳という名の少年』プロットノートのコピー」です。
桜庭一樹『道徳という名の少年』プロットノートのコピー(の表紙)
ルーズリーフに様々な言葉の断片や物語の一部が書きつづられているところは、桜庭一樹の頭のなかにある宇宙を彷徨っている星々を眺めているような気持ちになれます。
これ、物語を読んでから見直したら、また違った印象で眺めることができるのでしょうね。

そしてあたふたしている出版社の方は、桜庭一樹がサインをしている周辺でも。
こちらでは、サインを書くマーカーが足りなくなりそうになっているようです。
ジュンク堂の方と、「このあたりで文房具屋さんはありますか」「ロフトかなあ、でもちょっと遠いですね」「近所にコンビニがありますよ」「コンビニにマーカーは置いてますでしょうかねえ」とのやりとりで、こちらでもあたふた。
大急ぎで買いに出られていたようですが、間に合ったのでしょうか……。

で、こちらが金色のマーカーで書いていただいた桜庭一樹のサインです。
おなじみシールは、今回はテントウムシでした。
写真では判りづらいかもしれませんが、これ、羽の部分がふくらんでいる立体シールなんですね。
桜庭一樹『道徳という名の少年』のサイン

この『道徳という名の少年』は、かなり凝ったつくりになっています。
装丁ももちろん素晴らしいのですが、ページのなかも、まるで一昔前の豪華本のようなゴージャスさを感じさせられます。
文庫本になるのを待つのもいいのですが、この雰囲気を味わえるのは、きっとこの単行本だけだと思います。
ぜひとも単行本でも持っておきたい1冊ですね。

山尾悠子『歪み真珠』サイン会(紀伊国屋新宿本店)

ああ、なんだかまだ信じられないんです。
山尾悠子が新刊を出したというだけでも「あわわわ」とブルってしまったのに、さらにサイン会まで行われるとは……キャー!

そんな訳で仕事帰りに、紀伊國屋書店新宿本店へ行ってきました。
あらかじめ取り置きをお願いしていた1階レジカウンターで本と整理券を引き取り、サイン会場となっている9階に向かいます。
……が、なんてことですか。
花の週末、金曜日の夜ということで、お客さんが多いのなんの。
エレベーターがいっぱいなんですよ。

うーん、仕方ありません、9階目指して階段をエッチラオッチラ上っていきました。
すると……ラッキー!
開始時間までまだ15分ほどあったのですが、すでに列は2階分ほど伸びて、最後尾は7階あたりになっていたんです。
このまま9階までノンストップで上がると、もうブッ倒れてしまうところでした。
最後尾に並ぶと、すかさず係員がやって来て、「整理券の裏面にお名前を書かれますと、為書きもいただけます」。
ハーハーゼーゼー言いながら「判りました」。

ところで今回の本は函入りのうえ、本のカバーがパラフィン紙なんですね。
昔の「特別書き下ろし文学小説」みたいな、あんな感じです。
これだとサインをしていただくとき、どうするのかなーと思っていたら、ふたたび係員が「お待ちいただいている間に、あらかじめ函から本をお出ししておいてください」とのことで、なるほど。
まー、よくよく考えりゃ、それが当たり前のことですね。

……が。
函から出すと、本のカバーがパラフィン紙である、というところがクセモノなんですね。
なにしろ水分や脂分をよく吸い取っちゃうのですから、緊張のあまり(と、階段を7階まで上ってきた直後)、手に汗かいているしまっているのです。
こんな状態でパラフィン紙にくるまれた本なんて持とうものなら……ペトペトのバリバリのクチャクチャになっちゃうこと間違いありません。
かといってパラフィン紙を外してしまったら、きれいにくるみ直す自信もありませんし。
そんな訳で、ギリギリまでレジ袋に入れておくのでした(あったまいいー)。

そうこうしているうちに、列は徐々に進んでいきます。
3名ずつ区切って進むようになっていて、いよいよ会場に突入。
なんというか、部屋に一歩入ると空気が違うんです。
シンと静まり返った会場内に、本を置く音、ページをめくる音、ペンを走らせる音、それだけが響いてく、静まり返った緊張状態なんですね。
その緊張状態にあるのは、やっぱりご本人の圧倒的な存在感がヒシヒシと、行列している我々に伝わってくるからでしょう。

しかし、初めてそのお顔を拝見させていただく山尾悠子ご本人は、そんな圧倒的な存在感を醸しだすような方ではなく、とてもしとやかで素敵なオーラに包まれているのです。
しかも、わー、サインが終わると1回1回立ち上がって、「本日はありがとうございました」と丁重にお礼をされるのですね。
今日の定員は確か100人のはずだから……100回立ったり座ったりですか!?
だったらぼくの7階まで階段上りなんてツライなんて言えません!
もう、まったくもって申し訳ございません(←何を言っているのかよく判らなくなっている)。

「さてあと数人で順番はぼくだ」と緊張度MAXで前の方々を見ていると……あれ?
皆さん、整理券の裏に何やらメッセージを書き込んでいるのです。
もともと、今回の整理券は非常に大きく、B5サイズぐらいあったでしょうか。
その大きな整理券の裏面に、皆さん、為書き用の名前だけじゃなくて、メッセージもぎっしり書いているんですよ。
熱心な方だと、そういったところにもちゃんとコメントを書くのかー……などと呑気に思っていたのですが……どひゃーっ! エライことですよ。
なんと、この整理券の裏面は、実はメッセージ欄になっていたそうなんです。
がびーん、さっき為書き用の名前を書くときに全然気付かなかった……。
どおりで「為書き用に名前を書くには、スペースが余るよなあー」なんて思ってしまったわけです。
(そう思いながらも、「じゃあ、名前を心持ち大きく書いとこう」なんて思ってしまったという……大バカモノです)
山尾悠子サイン入り『歪み真珠』

そして、今回はさらにおまけまでご用意されていたのでした。
サインを書いていただくと、メッセージカードを1枚添えられるのです。
もう、まったくもって申し訳ございません(←しつこい)。
山尾悠子の直筆メッセージカード

さてそんな緊張のあまり、変な汗で危うくパラフィン紙のカバーをクチャクチャにしかけそうになったその帰り道、新宿駅の東口です。
そう、「カメラのさくらや」ですね。
特にPublic Image Limitedが好きだったので、「Live in Tokyo」のアルバム・ジャケットで煌々と光っているあのネオンが強烈な印象となって残っています。
そのさくらやが、この2月に全店閉鎖したばかりなのですが、この東口店は、屋上の看板そのままに、もうビックカメラとしてオープンしていたのでした。
新宿駅東口の顔が変わろうとしていました
こうして見ると、もう「Live in Tokyo」に残っている景色なんてまったくないのですよねー。

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