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5年ぶりに丹波篠山のお蕎麦屋さんに行ってきました

新宿は歌舞伎町で行われた「くすぐリングスNEO」の終了後、近くのコインパーキングに駐めておいたクルマで、そのまま関西の実家に帰ってきました。
夜通しドライブして帰省した一番の理由が、実は「普段食べられない関西のお蕎麦屋さんに行くこと」だったりするのですが、それは両親にはナイショということで。

そんな訳で、到着した次の日、お昼にお蕎麦屋さんに向かってゴウ!
当初の目標は、5年前に1度行ったきりの超有名お蕎麦屋さん「ろあん松田」。
超有名店だったのですが、5年前のときは特に予約を入れなくても入れたので、今回も「いけるだろう」と安易に考えていました。
出発前に念のため電話で確認してみたところ……あうう。今週は、すでに週末まで予約がいっぱいで、アイスミマセン、と敢えなく撃沈。
やっぱり有名店に行こうとしたら、思いつきで行動していてはダメということなんですね。
(5年前はそれはそれはラッキーだったということで)

それだったら、これまた同じく5年前に1度行ったきりの「一眞坊」、ここだったら予約なしでOKだから……と行ってみたのです。すると……わー。
なんということでしょう、平日だというのに、駐車場がクルマでいっぱいなんです。

待ってまで蕎麦は食べたくはないけれど、でも蕎麦を食べずに帰るのは悔しい……という複雑な心境で、別の店を探すことにしました。
あちこち適当にクルマを走らせていると、これまた田舎のお宅を改装して、かなり風情のある「自然薯庵」というお蕎麦屋さんを発見したのです!
気になるお店「自然薯庵」
しかも駐車場は空いているようです! やったね!
喜び勇んでクルマを駐車場の真ん中に堂々と停め、「ごめんよ!」と店に入ろうとしたところ、入口にこのような張り紙があったのでした。

なんと臨時休業だったのです……うえーん
誠に勝手ながら、
8月25日(火)26日(水)27日(木)
休ませていただきます
またのお越しをお待ちしております

ウッソー! もうダメですよ、ダメー。ここまで運がないのはどういうことでしょうか。
ここで時刻は13時20分。ひょっとしたら、もうお店も空いているかも……と再び「一眞坊」に戻ったのですが……ヒー! 相変わらず同じクルマが駐車場を占拠しています。

こりゃダメだ、オレはもうダメなんだ、ダメ人間なんだよ……と、その近所の家の敷地内で繋がれていた柴犬相手に愚痴をこぼします。
近所の柴ワンコに愚痴をこぼします
しかしこの柴ワンコ、ぼくの愚痴を聞いてくれるのはいいんですが、ついでにフィンガーテクニックを繰り出してあげると、あっという間にメロンメロン、敢えなく昇天しちゃったのでした。
愚痴を聞いてもらっているはずが、いつしか昇天させてしまっていました

ヒトのお宅の敷地内で、そのお宅のワンコを勝手にメロンメロンさせている怪しい野郎……これは通報されてはかないません。
もうお蕎麦も諦めて、おうちに帰ることにしました。
「さようなら、お蕎麦屋さん……また逢う日まで」と前を通りかかると……あれれ?
空いているのですよ、駐車場が。ガランガラン。
なんだ、14時まで待っていたらよかったのね、……というか、最初から14時に来るべきだったのでした。
5年ぶりにお邪魔した「一眞坊」

もうすっかりハラペコ野郎のぼく、貸し切り状態となった店内で囲炉裏端の席に座ると、いきなりフルスロットルで鴨ロースなんて頼んでますよ。
なぜかいきなり鴨ロースなんて頼んでいるし

そして、あれほどまでに待ちこがれた蕎麦ですよ、蕎麦。
もう腹の底まで思いっきりたぐってみせてやったのでした。
この蕎麦、甘みが感じられて素朴な優しい味わいなんですね。いやー、うまかったー。
(でもやっぱり、5年前と同様ダシが辛いのが気になりました……蕎麦にはきついけど、ポタージュスープ並みに濃厚な蕎麦湯にはピッタリ)
メインの蕎麦は甘みが感じられて素朴な優しい味わいです(それだけにダシの味のキツイのが気になるところですが)

お蕎麦屋さんでまったりと

なんだか食べ物屋さんの話題が続いています。

銀座の外れというか、もうほとんど築地といっていいところ……と思っていたのですが、最近では汐留といった方がいいのではないかと思う、非常に微妙な場所にあるお蕎麦屋さん「成富」に行ってきました。
手打ち蕎麦「成富」のお品書き看板
以前、お友だちに「お蕎麦が好きなんだったら」と連れて来てもらったのですが、それ以来大ファンになって、そのお友だちにはナイショでひそかに通ったりしていたりするんですね。

久々に立ち寄った今回、時間は開店間もない18時半。
まずは蕎麦豆腐を頼みます。うーん、これがまた冷え冷えのさっぱりのモッチモチで、夏バテ気味の胃袋に優しくウォーミングアップさせるのにちょうどいいんですよね。
そして生湯葉の刺身。どうですか、この艶めかしさ。トロットロのツヤッツヤのプリンプリンなんですよ。
一口食べて……ンマ~い!
藤子・A・不二雄風に叫びたくなるこのお味、どうですか。濃厚な「お豆」の風味が口のなかいっぱいに広がるのですが、全然青臭くなく、甘いのですね、甘い。
この滋養豊かな風味に、夏バテなんて一気にどこかへ行ってしまいましたよ。

もう、ここからはタガが外れたかのように頼みモード全開ですよ。

鴨ロースのビネガー添えは、鴨肉のパンチ力を残したまま、ビネガーソースであっさりと仕上げられているので、鴨肉独特の「くどさ」といったものがまったく感じられません。夏バテ防止のパワーアップアイテムですな。
だし巻き玉子、これがもうサイコーなんです。ほどよく効いただし加減が絶妙で、フワッフワの食感にもうお口に入れた瞬間に、玉子と一緒に自分自身までとろけそうになっちゃいます。
焼き味噌がまたこれ、薬味がさりげなくきいていて、お酒が進む、進む。
いや、ぼく自身はまったくお酒が飲めないヒトなんですが、そんな下戸でさえも「ちょっとちょうだい」と横からお酒を啜らせてもらって「ンマ~!」と言わせる魔力があるのですよ、この焼き味噌には。
そして夏野菜の天ぷら。これはもう塩で食べるというその心意気が素晴らしいのですよね。その塩だって、こんなにたくさんいりませんって。上からひとつまみハラリハラリと振りかけるだけで、素材そのものの甘さと衣の味加減が十分に美味しく頂けるんですねー。
注文した一品モノの数々
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ああ、もう至福のひととき。
ウットリしていると、「あのーラストオーダーになりますが」。
ええー!?と時計を見てみると、あうー、もう21時前じゃないですか。
久々にお蕎麦屋さんに来てみたら、相変わらずの長っ尻。
そりゃ確かにまわりの席のお客さんは何度も入れ替わっていることも判ってましたよ。
今だってお店に他にお客さんは誰もいないのも判っていますよ。
ただ時間を見ていなかっただけなんですよ。
そんな貸切状態のなか、どうもすみません、と最後にせいろを頼みます。
今日のせいろは北海道産の蕎麦を使用していると言うことで、ああ、もうこの風味がたまりません……っかぁぁぁ~、うめ~。
色々頼みましたが、最後はやっぱりせいろで締めましょう

そんな訳ですっかり満腹満足でお店を出たのでした。
気持ちいい夜風に吹かれながら、東銀座から浅草線経由で京急電車に乗って横浜に帰ります。
あ、京急で帰っちゃったら、JRと違って定期じゃないから電車代が掛かっちゃうんだけど……ま、いっか。

水蕎麦を食べに幸手へゴウ!

あちぃ~。
一体、何なんですか、今日のこの暑さは。
家にいても、部屋に直射日光がガンガン差し込んで、まるでサウナにいるかのようなうだる暑さですよ。
もうこうなったらトコトン逃げ出してやることにしました。
でもどこに行こうかな……と思ったところで、

「そうだ、おいし~いお蕎麦を食べに行こう」。

おいし~いお蕎麦屋さんは数多くあれど、今日の日のようなこの暑さでは、“水蕎麦”をツルツルッとたぐりたいのです。
そんな訳で高速にのって、埼玉は幸手市にやって来ました。
お気に入りのお蕎麦屋さん、「十割そば ふくろう」です。
十割そば ふくろう
横浜からだと、結構遠い場所にあるので、なかなか行くことができないのですよね。
そんな訳で朝早くから目を覚ました今日なんてチャンスですよ。
高速にのってやって来ました。

久しぶりに食べた水蕎麦は、あー、もう「キン」と冷えていて最高なんです。
今日のような日には最高のごちそう、水蕎麦
蕎麦自体も、夏だというのに香りが高く、噛んだとたんにお口のなかいっぱいに風味がバフンバフン、広がります。
そして、もっともこの蕎麦の風味を引き立てる命は「水」。なんというか、甘い。
もうね、蛍の気分ですよ。
子どもの頃、「ほ、ほ、蛍来い。こっちの水はあーまいぞ」の“水が甘い”という意味が判らなかったんですよね。「砂糖水みたいなものなのかな」と。
それがこの水蕎麦を食べることで「なるほど!」。
“水が甘い”というのは“メッチャクチャうまい水”という意味だったのですね!
大人になって初めて判った歌の意味、そのきっかけが、このお蕎麦屋さんでの水蕎麦との出会いだったんです。

あと、ここのお蕎麦屋さんは蕎麦以外のメニューでも、なんでもおいしいという奇跡のお店なんです。
ということで頼みも頼んだり。

ジャジャーン、そばがき。
上品な味わいが楽しめました、そばがき
ここのそばがきは、通常タイプ以外にも、天ぷらがわざわざついてきます。
この天ぷらがまた、おいしいのなんの。
それでなくても、モチモチっとした食感がとてもソフトで上品なお味のそばがきなんですが、それがさらにからりと天ぷらなんかに揚げられようものなら……おおう。なんと官能的な。
目をつぶって食べると舌に絡みつくこの食感、いやーん、エッチ。
お餅の天ぷらといっても判らないほどに、なめらかな舌触りと食感が楽しめます。

そして、ジャジャジャーン。かつおのお刺身。
薬味が「これでもか!」とのっていますが、その下にはかつおの刺身も「これでもか!」と……
もう脂がノリノリで、お口のなかに入れるととろけ出すんですよ!
んまあ、なんてイヤラシイかつおなんでしょうか(←そんな感想ばかり。でも本当だもん)。
またちょっと変わっているのは、厚く切ったお刺身本体に切れ目を入れ、そこにショウガをひとかけ挟み込んでいるんですね。
すり下ろしたショウガをお刺身にのせていただくのもいいのですが、こうしてひとかけ挟み込んだ状態でいただくと、またショウガ本来の味も濃厚に、お口いっぱいに広がって、かつおの薬味として思う存分引き立ててくれるのでした。

フト気が付くと、周りのお客さんはざる蕎麦やたぬきなんて頼んで、すぐに店を出ていっているのですよね。
そんななか、1人、長っ尻の客。
お勘定してみると、オオウ。3000円でした。お昼で3000円って……高級フレンチか!
いやいや、高級フレンチをいただきに行ったと言ってもおかしくないお店なんですねー。

つくづく残念のは、このお店、1人で来てしまうと食べられる量が決まってしまうので、あれもこれもと幅広く食べられないことなんです。
ホント、全メニューを制覇したいのですよ。

久しぶりにお蕎麦屋さんでまったり

一時期は毎週のように通っていた、ウチの近所にある手打ち蕎麦屋さんですが、ここ最近は大晦日以外、まったくご無沙汰してしまっていたのでした。
ところが、会社からの帰り道、突然に

蕎麦が食べたい!

お蕎麦のお口になってしまいました。
幸いにして、今日は会社を定時にあがって早帰りデイです。
時間もたっぷりあります。
そんな訳で、大晦日という特別行事を除いてはいったい何日ぶりなんでしょう。
お蕎麦屋さんにやってきたのですよ。
いつもの近所のお蕎麦屋さん
そうそう、このお店が好きな理由なのは、まずはこのお庭にあるのですね。
今日も灯籠がほっこり灯って「いらっしゃい」と誘ってきます。
玄関の戸をガラガラと開けて、居間を改装した店内は……おお、見事に誰もいません。
今日もまた貸しきり状態なのです。
貸しきり状態のお店
こりゃもう“まったり”と過ごすしかありませんね!
とりあえずもりを頼んでツルツルッと行くつもりでしたが、うーん、今日はとても寒いじゃないですか。
お蕎麦のお口が「暖かいお蕎麦がいい!」とダダをこねています。
路線変更です。お口のリクエストどおり、暖かいお蕎麦を頼んだのでした。
「ええっ? せっかくの手打ち蕎麦屋なのに、温かい蕎麦? そいつは邪道ってもんだぜ!」と怒られそうですが、いえいえ。
ここのお蕎麦屋さんは、ちゃんともりなどの「冷たいお蕎麦」とは別に、「暖かいお蕎麦用」として打っているので、これまた風味豊かでメチャクチャおいしいのですよ。
色々とお蕎麦屋さんで温かいお蕎麦を食べてきましたが、「メチャクチャおいしい!」と感激したのは、この店が初めてのことだったほどなんです。
さらに、このお店の名物は「ごぼうの天ぷら」。
そんな訳で、頼んだのは「ごぼ天蕎麦」。
シャキシャキのごぼうの天ぷらにダシつゆが程よくからまって、これまた激ウマ
お蕎麦ももちろん美味しいのですが、この天ぷらもまたメチャクチャおいしいのです。
シャキシャキのごぼうに、ダシつゆが程よくしみこんだ衣がしんなりしていて、この異なる歯ごたえのハーモニーが絶妙。
最後のおつゆの一滴まで、おいし頂いたのでした。
ごちそうさまでした。

ちなみに、今日は花の金曜日、週末の夜だというのに、お店は最後まで貸しきり状態なのでした。
そんなまったりできるところが好きなこのお店なんですが、それはそれで営業が成り立っているのか、心配な面もあり……うーん。

近所のいつもの店で年越し蕎麦を

そんな訳で大晦日ですよ。
毎年のことながら、大掃除もせず、年賀状も書かず、お正月の飾りつけも何もせず、K-1も観ず、ただ「何かの祝日で会社が休みなんだ」という感覚でしかない罰当たりなぼくがここにいますよ。
しかしなのですが、これだけは欠かすわけには行きません。
そうです、年越し蕎麦ですよ、年越し蕎麦。ソバ。ソヴァ。Soba。Sova。
Viva、Soba !
この街に引っ越してくるまでは、年越し蕎麦は自分でゆでてズルズルとすすっていたり、または日清のどん兵衛天ぷらそばを「おお、後のせサクサクだぁ」などと自分で自分を誤魔化したりして来たのですが、いえいえ、この街は違いました。
家から歩いて5分ほどのところにお蕎麦屋さんがあるのです!
しかも手打ちです!
いつ行ってもお客さんがいません! 貸切状態でついつい長っ尻してしまうお蕎麦屋さんに今年もレッツゴウウ!ですよ。
大晦日にお蕎麦屋さんの門をくぐる
いつものように門を潜り、関西人のくせにいなせな江戸っ子風に「ハイ、ごめんよ」とお邪魔すると……
何じゃこりゃあ!
もうね、松田優作状態なんですよ。
普通のお宅の居間がそのまま店内となっているのですが、お客さんが結構いるではないですか。
去年行ったときは「余っちゃったので好きなだけ食べてください」と言われ、わんこ蕎麦状態だったはずこのお店が……!

そんな訳で、まずはお酒とお正月らしく特別メニューの数の子、白菜の自家製漬物に、しらす大根おろし、おでんで軽く胃袋をウォーミングアップ。
特別メニューの数の子に、お酒です!
っかぁぁ~、うめ~。
数の子のこのダシのつかり方が辛すぎず、水っぽすぎず、ちょうどいいんですな。
白菜のお漬物も、小皿にチョコンと出るのかと思いきや、大き目の小鉢(←大きいのか小さいのかよく判りませんが、とにかく“大き目の小鉢”なんです)に「これでもか!」と山盛り状態でドン。
ポリポリと食べだすと、これまた「うめ~」。
お店のテレビで紅白歌合戦を横目に眺めて、お酒をチビリチビリやりながら、数の子やお漬物、しらす大根おろしにおでんをつまむ予定だったのですが……!
あっという間になくなってしまいました。
がっつきすぎです。欠食児童かって言うの。

予定よりもメチャクチャ早い時間になりましたが、いよいよメインのお蕎麦を頼みました。
本年一年、「無事」とはまったく言えませんでしたが、こうして面白おかしく過ごせてこれたことに感謝しつつ(誰に感謝すればいいんだろう……ぼく自身?)、今年最後の贅沢として、お蕎麦をズルズルとかきこむのでした。
そして最後は年越しにお蕎麦をいただきましょう
っかぁぁ~、うめ~。
やっぱりこの店のお蕎麦はウマイわ。
今年はあまりこのお店に来られなかったのですが、来年こそはまたいつものように通おうとかたく決心しながら家路につくのでした。

奈良の「玄」は“もてなしのこころ”

そんな訳で、先日、何とか"1日限定2組"の客人として潜り込めた奈良にある幻の蕎麦屋、「玄」の夜のコース料理"蕎麦遊膳"について、ようやくまとめることができました。
しかし、料理って、単に見た目や風味だけではなく、そのご主人や女将さんの"もてなしのこころ"があってこそ、初めて感動できるものなんですね。
昼の営業と違って、夜の営業は客を「限定2組」とすることで、ご主人や女将さんからダイレクトに"客をもてなすこと"を目の当たりにしたからこそ、「メチャクチャ美味しい!」と感動することができるのでした。
(それでなくても昼の料理もメチャウマで感激できるのですが、夜の料理はさらに"感動付き"です)

まずは予約した時間通りピッタリに、奈良町の細い路地の奥にあるお馴染みの「玄」の門を潜ります。
向かいの家から18時のエネーチケーニュースの音声が聞こえてきたり、食事の音が聞こえてきたり、そんな生活の"におい"に囲まれた住宅地のど真ん中です。
奈良町の狭い路地にある「玄」の門構え

造り酒屋の敷地内に立てられた「ご隠居の家」をお借りして開店したというこのお店は、昼間は客間を大きく開放しているのですが、夜はその大広間の真ん中にある襖が閉じられて、完全に個室スタイルになっているのでした。
今回案内された「個室」はこんな感じ
もともと和室自体がゆったりとつくられているうえに、縁側にさりげなく置かれた花々や、ライトアップされる庭の木々や灯籠が料亭のような雰囲気を醸し出しており、「なんかエライ所に来ちゃったな」と緊張感を煽ります。

やがてご主人自らが「今日の」料理とお酒のメニューを用意され、説明していただけます。
今回のお料理はデザートまで含めて9品
「今日の料理」はこの9品です。
そしてその料理にあわせて用意された「今日のお酒」はこの5種。
今日のお料理にあわせた「今日のお酒」は5種
単に「このお酒が美味しいですよ」ではなく、「このお酒はこんな風味ですが、このお料理を食べることでさらにこんな風味も楽しんでいただけます」と、まさにワインのごとく味わえそうなのです。
心配な量ですが、0.5合ずつご用意いただけるということで、全種類頼んでも2合半。
「もちろん、お酒なしでもお料理は十分に楽しんでいただけますよ」とのことでしたが、せっかくだからと3種類を持ってきてもらうことにしました。
その食前酒となる「春鹿」を味わって驚いたのですが、変に酔わないのです。
この「春鹿」は、敷地内でつくっている大吟醸の純米種で温度管理の心配もないため、ろ過したてのそのままの状態でいただけると言うことで、"日本酒"という言葉の持つイメージを完全に覆すメチャウマ酒なのでした。
お酒が弱く、いつも一口舐めただけでも真っ赤になってしまうぼくでも、今回のお酒は全然気持ち悪くなることなくスィースィーと入ってくるのです。
結局、"いいお酒なので変に酔わない"ということで、「やっぱり5種類全部持ってきてください」とお願いすることになってしまいました。

やがて一品目が運ばれてきました。「蕎麦豆腐」です。
まずは「蕎麦豆腐」で軽めのジャブを打たれてしまいました
これは更科粉を使った真っ白な蕎麦豆腐の上に生湯葉とアクセントの豆腐よう、そしてオクラをすったものをのせた非常にシンプルなものながら、その味の絶妙さと料理のアイデアには、完全にオープニングから軽いジャブにもノックアウト寸前のボクサー状態なのでした。

続いて運ばれてきた2品目は蕎麦屋の定番ながらも蕎麦屋泣かせの定番、「蕎麦がき」です。
蕎麦屋泣かせの定番である蕎麦がきですが、こちらのお店ではあまりの美味さにお客泣かせなのでした
この蕎麦がき、そばツユの割り下であるお醤油と塩を一緒に持ってこられるのですが、まずは何もつけずに一口食べて......「醤油も塩もいらなーい!」。
蕎麦がき自体濃厚な風味を持っているので、何もつけなくても十分に美味しいのです。
しかしながら、持ってこられたダシ醤油と塩があまりに美味しそうだったので、ちょっと舐めてみました......「この醤油も塩もメチャウマ!」。
何なんですか、このお店は! 料理だけでなく醤油だけでなく、塩まで美味しいのですよ。
塩の秘密を訊いてみると、海の塩に海草の成分を混ぜたどこだかの塩なんだとか。
もともと塩にもこだわりがあり、何種類もの塩を用意しているそうですが、今回の蕎麦がきのイメージにあう風味のものをそのときそのときで用意されるそうなんです。
参りました。

そして3品目は「蕎麦スープ」。
濃厚な蕎麦湯に絶妙な風味をつけて料理に昇華させた「蕎麦スープ」
見た目は濃厚な蕎麦湯なのですが、ダシと香りつけの三つ葉で"料理"として昇華されているんです。
しかも中には梅でかすかに香り付けされた白玉入り。それがちっともくどかったりイヤな味になったりしていないのです。
いったいこんなアイデア、どうやったら沸いてくるのでしょうか。

4品目、5品目はお蕎麦です。
まずは「せいろ蕎麦」です。
口の中で風味が広がるせいろ蕎麦
ここのせいろ蕎麦はかなり細めのため、非常に香りたつんです。
口に入れたとたんに鼻腔まで広がる上品な蕎麦の風味に、ほとんど我を忘れてしまい、3口ぐらいで食べてしまったような気がします......ああ、もったいない。
これもツユと塩、そして薬味としてワサビが付きますが......うーん、そのまま食べても美味しいし、またツユはツユで、ワサビはワサビで別々に食べても美味しいんですよ。
いったいぼくはどうやって食べたらいいというのでしょうか。

そして今度は「田舎蕎麦」が運ばれてきました。
口の中で風味が爆発する田舎蕎麦
この田舎蕎麦は風味が濃厚なため、口の中に入れたとたんに蕎麦の風味が「バフン、バフン」と破裂してしまうと言う、非常にデインジャラスな蕎麦なんです。
これも薬味としては辛味大根やネパールの岩塩が付けられましたが......もう言わなくてもお判りですよね。
この辛味大根や岩塩だけでもメチャウマだったのでした。

一般的に蕎麦は米と同じく、収穫されたての「新蕎麦」が最も風味が高く、夏に向けてだんだんと風味がなくなっていくものです。
つまり、夏場のお蕎麦はもっとも風味が抜けて美味しくないはずなんですが、ここの「玄」は違います。
夏場でも、お蕎麦を口に入れたとたんに風味がせいろは上品に、田舎は暴力的に香りたつのが長年の疑問だったのでした。
そこで主人に聞いてみると......なんと!
「夏場まで寝かすことで風味が出てくる蕎麦の品種を用意している」とのことなんです。
通常、蕎麦屋では9月の中旬ごろから「新蕎麦」を出してきますが、ここ「玄」では全ての蕎麦が出揃うまでを待ち、そこからこれからの1年間、どのタイミングでどの蕎麦を出すとその時期に最も風味を味わえるのか、スケジュールを立てているそうです。
ひええ......。そのこだわりは、「書いた原稿は、丸文字も含めて全てのフォントでチェックしている」と言い切った古川日出男に通じるものがありますよ、ご主人。

そして料理はいつしか折り返し地点を過ぎていたのでした。
続いて登場したのは蒸し料理、「蕎麦の実入り鰻の蓮むし」です。
鰻もレンコンも重要なアイテムだったのでした
これはもちろん、鰻に挟まれたすりおろしたレンコンと蕎麦の実を蒸したものの相性もよかったのですが、それ以上に驚いたのが鰻。
蒸した鰻なのに生臭さといったものが一切ないのですよ。
それどころか、茶碗のフタを開けたとたんに中に閉じ込められていた風味が一気ににおいたったのでした。
どうしたら鰻をこんな上品に料理することができるのですか、とご主人に聞いてみると「いやあ、鰻のいいものが手に入りましたもので」とのこと。
奈良はもともと海から遠いため、海鮮もので新鮮ないいものを手に入れることは難しいそうですが、一軒いいお店を知ることができ、そこだったらいつも新鮮なものが手に入れられるそうなのです。
だから鰻も生臭くないんでしょう......とのことですよ。
いやあ、鰻といえば「中国産」の蒲焼程度しか食べていないぼくにとっては、衝撃的な鰻との出会いなのでした。

蒸しものに続いては、焼きものが登場しました。「大和地どりの荒挽き蕎麦粉焼き」です。
付け合せのネギもアスパラも、マッシュルームでさえ劇ウマ
これは大和産の地鶏に下味を付け、蕎麦の実を砕いたものを衣のように付けて焼いたものなのですが、ンマー、どう説明いたしましょう。
これ、全部が濃厚なんですよ、味も風味も。
付け合せのネギやアスパラガス、そしてマッシュルームも一口噛めば、その風味が爆発的にお口の中で広がるのですね。
付けあわせがメイン並みにこんなに美味しくいただいたのは、もうホント、生まれて初めての経験なのでした。
レモンが添えられていますが、いえいえ、こんなもの要りません。
ご主人もここでは「便宜上、レモンを付けさせていただきましたが、必要に応じてお使いください」と微妙なニュアンスの説明。
......何か以前にあったのかな?

そして料理としては最後、ご飯ものです。今回は「蕎麦米入り枝豆ご飯」
これを食べれば料理は終わっちゃうのです......食べ終わりたくない......
ここまで全て暴力的なまでに風味にガツンガツンとノックアウトパンチを繰り出されていた我々に、ゆっくり休息できるご飯もので今回の料理は締められるのでした。

そしていよいよデザートかな......と思っていると、女将さんが「メニューに今回掲載していませんでが、"メロンの果肉を絞ったジュース"です」とキンキンに冷えたグラスを持ってきてくれました。
メロンの風味がとってもマイルドなメロンジュース
これは今回、食後酒として「日本酒のカクテル」も用意できるとのことでしたが、さすがにそこまでは飲むことができずパスしたためだったのでしょうか。
いやあ、一気飲みでグラスを干してしまいました。

そして最後にデザートとして「蕎麦団子」が出されました。
甘みも抑えられ、夏の暑さにふさわしい冷菓子の蕎麦団子

通常、コース料理と言えば料理と料理の合間に妙な間が空いたりするのですが、こちらのお店では必ずご主人や女将さんが顔を出されるので、蕎麦談義に思わず花が咲いてしまったりと会話が楽しめたため、気が付くと「え? もうこんなに時間が経っていたの?」と驚かされた3時間なのでした。

いつも昼の営業時間しかお伺いできず、夜の営業は敷居が非常に高く感じられていた「玄」なのですが、こんなに楽しいものであるのなら、ぜひともまた次回、奈良に行く際には夜の蕎麦遊膳で、ご主人や女将さんと会話を楽しみながら、美味しい料理をいただきたいなと思った今回なのでした。

1日限定2組の奈良「玄」

そして、いよいよメインイベント。
今回関西に帰ってきた最大の目的である、奈良の蕎麦屋「玄」にやって来たのでした!
夜の営業には初めてやってきた奈良の蕎麦屋「玄」

この「玄」、もともと奈良町の判りにくい路地にあるうえ、平日のみの営業と、実にサラリーマン泣かせのお店なんですが、その分蕎麦がもう絶品なのです(一般的に蕎麦が一番おいしくなくなる夏でさえ、その風味は忘れられないほどです)
昼の営業は要予約ながらも様々なお蕎麦が頂けるのですが、夜は"蕎麦遊膳"というコース料理のみなんです。
そしてこれがなんと「1日限定2組のみ」という敷居の高さなんですよ。
いや、"敷居が高い"というよりも、それだけ料理の内容や質に責任をもってサービスするという店側のこだわりなのでしょう。
今回久し振りに実家に帰ることになり、それなら......ということで「玄」に夜の予約空き状況を尋ねると、今日が空いていたのでした。
しかもこの予約が完了した時点で、店からハガキかFaxで"予約確認"が送られてくるので、我が家のようにFaxがない場合は、ハガキがちゃんと届くように余裕をもって予約した方がいいかもしれません。

そして以下、料理内容については後日、自宅に戻ってから更新いたします。
(果たして、料理の写真が撮れるかどうかが心配なのですが)

ということで、非常にもてなしていただいた「玄」夜の部のレポートをまとめました。
詳しくはこちらをどうぞ。

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