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利賀村での公演が終了、日常世界に戻ってきました

会社の夏休みを利用して、公演のお手伝いをさせてもらっていた4泊5日の利賀村滞在は、あっという間に終わりました。
まるで夢でも見ていたような気がするほどなのですが、いえいえ。
手足に無惨に残った「吸血アブ」に喰われた痕だけが、ナマナマしく残っているので(しかも痒いわ、痛いわ)、まあ当分は、利賀村での生活が夢でなかったことを証明できるのではないかなーと。

いやホント、利賀村っていうところは、ホント、いいところなんです。
夜なんて、こんなに星がきらめいているんですよ。
利賀村の夜空
コンパクトデジカメなのに、15秒間ほどシャッターを開放していただけでこのとおり。
頭上には、しっかりと天の川も見えて大感激の星空なんですね。
しかもこの満天の星空を、流れ星がヒュンヒュン飛ぶのが見えてるんですよ。
なんて素敵にロマンチックなんでしょう。ウットリ。

こんなに素敵な利賀村なんですが、ただ一点、「オロロ」と呼ばれている吸血アブが多いことに参ってしまいました。
とにかく多いんです、多い。メチャクチャ多いんですって。
ちょっと外に出ようものなら、瞬く間にヤツらは集団で襲ってきて、一気に身体中を刺されまくってしまうのです。
またこの刺された瞬間が痛いの、刺された箇所が腫れ上がってきて痒いの痛いのと、もう大変なんですって。
もう本当のところ、このオロロ(吸血アブ)に刺されることを考えたら、蚊に喰われることのなんと可愛いこと、と思えるんです。

とまあ、色々とありましたが、そんな訳で利賀演劇人コンクール2010出展作品である.5(てんご)「コーラス・ガール」は無事に終了しました。
……あ、無事じゃないか。
客入れの際、開けっ放しになっていたドアから大量のオロロ(吸血アブ)が劇場内に入り込んできて、もう大変。
本番中に出演者が襲われてしまいました。
足にとまって吸血している真っ最中のオロロ(吸血アブ)を追い払うこともできず、そのまま堪え忍んだ結果、足が大流血してしまうという大惨事となってしまったのです。
客席からも、この出演者がオロロ(吸血アブ)に喰われている様が間近でよく見えていたらしく、終演後にいろいろなお客さんから「大丈夫ですか?」と心配されてしまうほどでした。
いや、これはもう名誉の負傷ですよね。

と言うわけで、ゲネプロの様子を写真に撮りましたよ。

オープニング、「ケロミン」を生演奏する中村早香嬢
オープニング

「ケロミン」を演奏していた中村早香嬢は、責任者である澄井葵さんによって片付けられ、舞台中央に運ばれていきます
舞台中央に運ばれる

山森信太郎“ヒゲ”さんと後藤優佳嬢によって物語が動き出すと、片付けられていた中村早香嬢も一緒に動き始めます
動き出した物語

物語が動き続けていく山森信太郎“ヒゲ”さんと後藤優佳嬢
動かし続けられる物語

物語構造が最後に逆転して、そして、冒頭の「物語の一番外側」に向けて収束していきます
構造が逆転

舞台の全景です
舞台全景

利賀村と言えば合掌造り。
山と合掌造りの家からパワーを吸収する中村早香嬢と山森信太郎“ヒゲ”さん
山と合掌造りの家からパワーを吸収

デジカメの“なんちゃって動画”でも撮影してみました。
「ケロミン」を生演奏する中村早香嬢が、澄井葵さんによって片付けられるまでのオープニングのシーンです。
なお、これは言わずもがなの補足ですが、この動画は、ちゃんと冒頭から物語は始まっているんですよ。

その他の写真はこちらからどうぞ。

.5(てんご)「コーラス・ガール」(利賀演劇人コンクール2010)
.5(てんご)「コーラス・ガール」
(利賀演劇人コンクール2010)

ああ、たまってしまった洗濯物を残り1日で片付けたら、もう夏休みは終わりです……。

新メンバー加入で変化を遂げている高襟「The Michest」(Dance Studio UNO)

と、まあ、そんな訳で。
現在絶賛建設中の東京スカイツリーのお膝元、押上は「Dance Studio UNO」へ、高襟公演を観に行ってきたのでした。
そうそう、押上の東京スカイツリーといえば全然知らなかったのですが、もともとダラーっと広がっていた押上駅周辺の空きスペースに建築していたのですね。
あれ、ずっともったいないなーと思っていたんですよ。
なるほど、そういうことだったのか。

高襟は、今回から今村つぐみさんが新メンバーとして加入しています。
このつぐみさんが、なんというか、“触媒”のような役割を果たしていて、「高襟」に新たな化学反応を引き起こしています。
これまでにない、新たなスタイルでの高襟パフォーマンスが楽しめました。

今回の作品は、もともと高襟の主宰である深見章代さんが、大のマイケル・ジャクソンファンということで、つくられたものだそうなんですね。
そんな訳で、全篇にわたって「これでもか」「これでもか」「これでもか」と、次々にマイケル愛(LOVE)が繰り出されてきます。
それも尋常ではないベッタベタにスウィ~トな愛(LOVE)ですよ。

しかし深見さんはそこに一切言い訳することはなく、逆に、「いいじゃないの。だってわたし、マイケルが好きなんだし。仕方ないし」と言わんばかりに圧倒的な「これでもか」状態。
そんな深見さんに、観客はもうただ、ただ、「うんうん、仕方ないよね」と力づくでねじ伏せられてしまっている状態なんです。

ああ、いやいや。
だからといって別に「観客に無理強いしている」とか、「時計仕掛けのオレンジ」みたいに洗脳しているとか、そんなんじゃないんですよ。
ベッタベタな愛(LOVE)を、「これでもか」「これでもか」「だって仕方ないんだもの」と見せられることで、観ているこちらまで楽しくなってくるんですよね。
これはいったい何なんでしょうか。
あまりの心地よさに、一緒になって「うん、うん」と微笑ましく観ている、そんな感覚なんですねー。
見ていて気持ちのいいラブラブカップルとか、新婚カップルっているじゃないですか。馬鹿ップルじゃなくて。
まさにそういった幸せカップルを見ているような幸福感に包まれて、観客も「うん、うん」とニコニコ笑いをしながら観ているのです。

そんなベッタベタな内容も、まず登場シーンからしてやってくれます。
マイケルと言ったら「ペプシコーラ」、と言うわけで、全員がペプシを持って入場し、合間合間にはペプシで喉を潤わせているんですね。
実に細かい! そんなところまで、実に愛(LOVE)に溢れているんですね。
この様子だったら、他にも気づかなかったことも多々あったかも。
だったら、メッチャもったいないなー。

年代ごとに流されていくマイケルの曲にあわせた、数々の高襟パフォーマンスなのですが、今回はそこに、今村つぐみさんの“しゃべくり”も入ります。
これがもうケッサクで、ケッサクで、客席を笑い殺すつもりか、と覚悟してしまうほどにデインジャラスなんですよ。
ソロでつぐみ節が炸裂する、「ビリー・ジーンに関する考察」は、呼吸困難による窒息死寸前まで陥らされてしまうほどに危険なんです。キケン。デインジャラス。
しかし個人的には、深見章代さんとのアドリブも交えた「池袋の西武の前のマックで待ち合わせ」がもうサイコー。
この2人のやりとりは、スーパーエキセントリックシアターでの三宅裕司と小倉久寛や、シティボーイズの大竹まことときたろう(または斉木しげる)、拙者ムニエルの加藤啓と村上大樹のやりとりを彷彿させるほどに、ワクワク感に彩られていたんですね。
とにかく、今後の高襟におけるこのつぐみスタイルは、ますます期待したいところです。

もちろん、マイケル愛(LOVE)に溢れた高襟パフォーマンスも、魅せてくれます。
抱きしめても抱きしめてもスルリと逃げていく動きが、様々なところで見られたのは、これは深見さんのマイケルに対する思いなのでしょうか……。
ストーリーは徐々に年代を下っていき、「スリラー」後、ここまで順調だったパフォーマンスが、一転して変化を見せます。
やはり、キング・オブ・POPを極めた彼のその後の厳しさは、ファンとしても描きづらいということなんでしょうか。

ラストでは、マイケルの復活を信じているファンの願望と、しかし、一度死んでしまった者の復活を願うことなど禁じられているというはざ間に揺れる「Michest」の複雑な思いが、まるでW・W・ジェイコブズの名作「猿の手」のようなやりきれなさを残して、終わります。

……あ、いや、本当はアンコールがあったんですけどね。
(マイケルファンであるアイドル4人組が、マイケルになりきって幕張メッセでコンサートをしているという設定だったんです)
高襟「The Michest」(Dance Studio UNO)

ブス会「女の罪」(リトルモア地下)

以前、ポツドールで「女組」(とぼくが勝手に呼んでいる)として上演された「女のみち」を観て、そのあまりのすがすがしいラストに、涙が出るほど感動したのですね。
これはまたぜひ観に行きたいなーと思っていたら、翌年には第2弾として「女の果て」というタイトルで、またもう一度公演があったのです。
ところが残念なことに、そのときは行くことができなかったのです。
そんなことがあって、ずっと悔しいなあーとか思っていたら、あらま。

このポツドール女組の作・演出だった溝口真希子(こと、ペヤングマキ)が、今年、新たに演劇ユニット「ブス会」を立ち上げたそうなのですよ。
これはもう行かねばならぬ!と鼻息荒く、花の週末は会社帰り、原宿にあるリトルモア地下に行ってきたのでした。
リトルモア地下の入り口前)

物語は、とても営業しているとは思えないほど散らかっていて、うらぶれた感が溢れている場末のスナックで繰り広げられる密室劇。
こんな狭い空間に、ひとクセもふたクセもある女5人が集まれば、これはもうガチで陰湿なオンナの争いが描かれるんだろうなーとか思っていたんです。

ところが……あれ?
違うのです、違う。全然違う。
ずいぶんとハートフルでウォーミングなストーリー展開なんですよ。
そりゃ確かに、何度か不穏な空気は流れたりもします。
そこで「あ、くるかな」と思っても、そんなイヤーな雰囲気はすぐに流し去られて、皆、和気藹々なんですね。
物語が進むにつれて登場人物たちは互いに垣根を取っ払って盛り上がっていき、ついには一体感まで生まれるほど。
もう、「ヴィヴァ! オンナたちの友情の素晴らしさ!」なんですよ。
なんだー、メッチャいい話やん。素敵やん。ヒトって、友情って、やっぱりええもんやん……そう思っていたんです。

ところが……ウワォ!
実はこの「いい話」「素敵な物語」「ヒトや友情って素晴らしい」と思わせるエピソードの数々が、実は、後半への大きな伏線となっていたのです。
そういえば、確かに何度か「あれ?」と思わされる、小さな小骨がノドの奥に刺さっているような、そんな気持ちの悪さがあったりしたのですね。
思えば、それもぜーんぶ、伏線。

そんないい雰囲気のままで進んだ物語は、後半になると突然に、ちゃぶ台がひっくり返されるのです。
前半におけるすべてのエピソードは、実は、この後半にひっくり返されるちゃぶ台の伏線だったんですね。
とにかくそのちゃぶ台ひっくり返しの伏線が、緻密に綿密に、何重にも渡って張り巡らされてあるのですよ。
ちゃぶ台をひっくり返すことで、そのために張り巡らされていた伏線が、疾風のように一気に駆け抜けて回収していく怒濤のストーリー展開。
とにかく、この流れには、ただ、ただ、唖然とするばかりなんですねー。

そしてラスト。
最大の悲劇が起こることを予感させながらも、すべては描かれず、そして登場人物の誰もが問題を抱えて何一つ問題は根本的に解決しないまま、舞台は終わります。
登場人物のやりきれなさを、観客も共有するかのような、そんなエンディングなんですね。

この観客が登場人物と「共有する感覚」は、会場がリトルモア地下という閉鎖された空間であることから、客席まで「閉ざされた場末のスナック」という舞台感覚に飲み込まれてしまうところにあるのかもしれません。
観客自身も登場人物であるかのような、そんな錯覚を起こしてしまいそうになるんですよね。
登場人物と一緒に観客もお店のなかでカラオケで盛り上がったり、あるいはマジックミラー越しにスナックの店内を覗き見していたり。
客席にいながらにして、舞台上にいるそんな不思議な感覚が味わえたのでした。
ブス会「女の罪」(リトルモア地下)

ところで、すごいことに気がつきましたよ!
これまでの溝口真希子作品にずっと出演している玄覺悠子さんなんですが、彼女の役名がすべて「マリア」だったんですよ!
第1弾「女のみち」ではAV女優、第2弾「女の果て」ではデリヘル嬢、そして今回の「女の罪」では風俗嬢ということで……ひょっとして、同一人物なのかも。

青年団若手自主企画・スミイ企画「日常茶飯事」(アトリエ春風舎)

ポタライブでお世話になっている澄井葵さんの、青年団での初演出作が上演されるということで、小竹向原はアトリエ春風舎に行ってきました。
青年団若手自主企画・スミイ企画「日常茶飯事」(アトリエ春風舎)

席に座って当日パンフレットを見てみると……どわぁぁぁ!
こんなところにぼくの名前を載せてもらっているんですよ。
当日パンフにぼくの名前が!
いいんですか。いいんですか。本当にいいんですか。
こんなこと初めてなので、開演までに何度も眺めては、グフフフフと喜んでいます。

内容は、特に「物語」としてのストーリーが展開されていくわけではなく、登場人物が各々、言葉を羅列していくのですね。
てっきり当初は、こうして紡ぎ出されている言葉が積み上がっていくことで、そこから何かが浮かびあげてくるものかと思っていたのです。

ところが!
ああ、途中から気がつきました!
これって、「格闘技」じゃないですか!

かみ合っているようでかみ合っていない会話は、これ、「言葉による闘い」だったのです。
言葉の次には、これで気がついたのですが、グラップリング形式(寝技形式)による技の応酬が繰り広げられるんですよ。
ここはもう完全に女子格闘技、ジョシカクの世界に染まっていました。
事実、この後のシーンで、彼女たちは膝当て(レガースのようにも見える)を装着していることが判るのです。
ね、ジョシカクでしょ……って、おい。
グラップリング形式(寝技形式)といっておきながら、なぜ打撃形式で必要なレガースを装着しているのかは……まあ格闘技のシンボリックなもの、ということで。

この後は、さらに精神面における闘いへとなだれ込んでいくのです。
この「精神面での闘い」における木引さんは、まさに“「黒」木引”が炸裂していて、マニア的にゾクゾクするシーンなんですよ(←どんな観方だ)。
もちろん、彼女の目ヂカラもいつもながら素晴らしく、セリフがなく、眼の演技だけで繰り広げられるシーンは、これ、もう彼女のファンならずともゾクゾクくること間違いありません。
こうしてデュオの2人が様々なスタイルで格闘技を繰り広げる一方、ソロの人物も、常に自分自身と闘っているのですね。

このように、この作品では様々なスタイルの闘いを観ることができるということで、ある意味、「総合格闘技」のような作品だったんですね。
しかし、この作品での最大の意味での「格闘技」は、観客に闘いを挑んでいることだと思うのです。
この作品、通常のストーリー展開があるような演劇スタイルではないために、作品が観客に対して、イマジネーションを最大に駆使して観ることを要求してくるのですね。
そういう意味で、「作品が観客に闘いを挑んでくる」という仕掛けを含んだ、メタスタイルの格闘技であるということなんです。
だからでしょうか、終演後は、試合で全力を尽くしきった後のような心地よさに包まれていたほどなんですから。

終演後、小竹向原駅周辺をボチボチお散歩。
住宅街のなかの方に建っている団地の給水塔を見上げていたら、メチャクチャ蚊に刺されてしまいました。
カユさは手強いけど、ドラッグストアで購入したウナは無敵でした。
夕暮れ空にそびえる給水塔

金城ちさとプロデュース・ストリップナイト「今宵あなたと♪」(PA/F SPACE)

前々からストリップショーでのダンスを観てみたいなーと思っていたんです。
が、なんとなくストリップ劇場って、精神的に敷居が高いんですね。
知らないローカルルールとかあったらどうしよう、とかついつい余計な心配をしてしまうんです。
だから、観たいと思っていても、なかなか観ることはできなかったんですね。

ところが、なんと。
なかなか関東の劇場に来ることが少ないダンサーが、「だったら自分で東京でやっちゃおう」というイベントを開催するとの情報を聞きました。
やったね! これだったら行けそうです!
しかも共演者として、いつもくすぐリングスで拝見している七雪ニコさんもステージに上がられるのだとか。
これを行かなくて、いったいどうしますか。

そんなこんなで、早稲田大学の隣にある会場「PA/F SPACE(パフスペース)に行ってきました。
金城ちさとプロデュース・ストリップナイト「今宵あなたと♪」

ところが! やってしもたー!
開演時間を30分も早く間違えて覚えていたんです。
会場に入ったら、まだ準備の真っ只中じゃないですか。
どれだけ張り切ってやってきた野郎だ……とか思われちゃったでしょうか。
しかし追い出されるどころか「バタバタしているけど、それでよろしければどうぞ」との暖かいお言葉に……堂々と客席に座って待たせていただくことに。
どうもスミマセン。

ステージは、金城ちさとさんが1部(テーマは「恋愛の切なさ」)と3部(テーマは「沖縄の自然と少女」)、そして七雪ニコさんがその合間の2部(テーマは「80'sのポップ」)と、全部で3部構成になっています。
いずれのステージも、ダンスそのものも確かに素晴らしかったのですが、それ以上にゾクゾクきてしまったのは、お2人の表情だったんですよね。

金城さんの踊りは、1部も3部もスタートこそ華やかな動きで観客のウキウキ心を盛り上げるのですが、途中で一転、「静」の動きに切り替わったときに、切ない表情を演じることで、描く人物の心の揺れを表現してくるのですね。
彼女のその切ない表情で踊ることで、観ている方としてもやりきれないほどの切なさを胸に抱えさせられるのです。
しんみり。
また、この切ない表情は衣装を「脱ぐ」ことの伏線を表していたようにも思うのですね。
切ない表情を浮かべることで、描く人物の心の叫びを表し、衣装を脱ぐことの必然性を生み出していたと思うのです。
このために衣装を脱ぐことが決して唐突なものや、不自然さといったものを感じさせず、観客もすんなりと受け入れることができるのではないかと思ったのでした。
決して「脱げさえすればいい」というものではなく、いかに物語として自然さを組み込むかが、ストリップとしての腕の見せ所なんですねー。

あと沖縄出身の彼女が、3部で披露するエイサー、これにはやられました。
沖縄衣装に身を包み、沖縄独特の片手で持つ太鼓(パーランクーというそうです)を打ち鳴らす彼女からは、もう気迫だけがビンビン伝わってくるんですね。
その気迫がぼくの涙腺をグイグイ刺激したのでしょうか、もうずっと涙が出そうになっていたのでした。
いやー、あのときはホント、涙の堤防が決壊しそうで、実に、ヤバかったのです。

七雪さんの描き出すポップさは、これはもうキュートなんです、キュート! とってもとってもキュート。
何というか、七雪さんのほほえみって、安らぎなんですよね。メチャクチャ癒されるんです。
彼女が、そんな安らぎや癒しを与えてもらえるほほえみを浮かべながら、楽しげにポップに舞っているその姿は、もう可愛くて可愛くて。
すっかり彼女の作り出す世界に引きずり込まれてしまっていたのでした。

ストリップというのは、観た人をこんなにも元気にしてくれる、素晴らしいエンターテイメントだったんですね。
もっと早くに気がついていたらよかったかもしれません。もったいない。
あまりの元気のもらいように、イベントが終わる頃には、観客は皆、男性も女性も(女性の方もかなり来られていました)、一体となっているかのような、そんな連帯感さえできていたような気がするんです。
もちろん、その求心力となったのは、金城さんの持つ、そのキャラクターですよね。
観客の心をクッと掴んで話さないその踊りや話しをすることで、知らず知らずのうちにまわりに「元気」も振りまいていたのではないかと思うのです。

さて、このイベントでは、おみやげとして、観客の1人1人がチェキ(ミニチュアポラロイド)を使って撮影することができるのです。
ぼくも何枚か撮らせていただきましたよ!
しかも! そのうち1枚が超絶的に素晴らしい写真だったんです。
撮ってもらったポーズも、浮かべてもらった表情も、そこに写っている何もかもが素敵に美しい写真だったんですよ!
でも、例によって、このブログは「会社や学校、家族のいるところでも読めること」を目的としていますので、このチェキ写真を掲載することはできません……。
どうもスミマセン。
その代わりといっては何ですが、とりあえず、ぼくが金城さんのお肌を指で隠したツーショット写真を掲載しましょう!
どうかこれでご容赦くださいまし。
爛漫な笑顔の金城さんと、緊張のあまり固まっているぼく
(金城さんは爛漫の笑顔を浮かべているのに、ぼくは緊張のあまり固まってる……恥ずかしい)

COLLOLの「韓国行き直前ワークインプログレス」(BankART Studio NYK)

3月に公演したCOLLOL「このままでそのままであのままでかみさま」が、この8月に韓国で公演するのだそうです。
アンニョンハシムニカー。

そんな訳で、先週末には「韓国行き直前ワークインプログレス(公開通し稽古)」が行われているというのに、うっかりお昼寝ですっかり寝坊野郎になってしまい、結局は行けずじまいなのでした。
しかし「今週も金曜日と土曜日にワークインプログレス、やるよー」とヤッピーさんよりご案内をいただき、これはもう絶対観に行かねば……いうことで、駆け付けたのです。
BankART Studio NYK。
(といっても、ここ、ウチから15分もあれば到着するメチャ近な環境なので、行きやすいのですが……うはははは)

元々はここ、倉庫だったということで、会場ど真ん中にはパルテノン神殿を彷彿させる柱が4本、ドーン、ドーン、ドーン、ドーンと存在しています。
パルテノン神殿のような柱が特徴のBankART Studio NYKホール
(そのうちの1本には、素敵な注意書きが)

そんな会場で行われたワークインプログレス、今回はステージの広さを韓国の会場にあわせたのでしょうか、半分ほどの広さしか使わないのですね。
セリフはほとんど初演時と変わってないはずなのに……どうしてなのでしょうか、メチャクチャ変わって見えるんですよ、内容が。
やっぱり会場が半分の大きさになったことで、印象が変わったということなんでしょうか。

確かに狭くなった分、前回と比べると「登場人物同士の距離感」がかなり近くなっているんですね。
そのためでしょうか、「争い」や「孤独感」といった負の局面が、初演時よりもかなり強調されて見えるのです。
これが初演時の、ホールいっぱいを使った広さだと、登場人物が大きく散らばっていたので、各々の距離感はさほど気にならず、そのため「争い」や「孤独感」といった毒はあまり感じられなかったんだと思うのです。
ところがステージが半分の広さになったことで、その分ステージ上の密度が濃くなり、「毒」が目に見えるまでに濃縮されて噴出してきているような、そんな感じを受けたのです。

そもそもオープニングからして違いました。
初演では、開演前から「神さまが楽しそうに戯れている」感じで、登場人物たちが奔放に遊び回っていたんですね。
(イメージとしては、モンスターエンジンのコント「神々の遊び」ぐらいの奔放さ……かも)

ところが今回は登場人物が仲良く戯れているどころか、客席を挟んで「男子」vs「女子」の対立の構図になってるんですよ。
そういったところからも、今回の作品が「対立」や「抗争」、「孤独」といったものをより重点的に描き出しているんじゃないかなーと思ったのです。
そんなこんなで、今回の作品は、ホント、全体的にかなりヘビーな仕上がりになっていたように感じました。
初演時には「救い」となるべき抱擁シーンも、今回は女子同士という「同性愛」や、客席から相手をナンパして連れ出す「一夜限り」の印象のものなど、あまり救いになってないように思われたのです。

まー、「救いがない」と感じてしまったのも、ひょっとしたら今のぼくがかなりネガティブな精神状態だから、余計にそのように思えたのかもしれませんが……。
いやー、それでも、本当に初演時とは印象がガラリと大きく変わって、びっくりしてしまったというのは事実なんです。

これまで一度観た作品は再演されても観なかったのですが、こんなに異なる印象の物語が生み出されるのでしたら、なんてもったいないことをしてきたのか……。
そんな反省をさせられた、今回のワークインプログレスなのでした。

合間にネコがモフモフおもてなし、ひょっとこ乱舞新旧2作同時公演

ひょっとこ乱舞が新作公演のみならず、過去の作品の再演を同時に行うということで、吉祥寺シアターに行ってきました。
マチネで新作「ブリキの町で彼女は海を見つけられたか」、ソワレで再演作「水」です。
ひょっとこ乱舞「ブリキの町…/水」(吉祥寺シアター)

「ブリキの町で……」は、構成が“物語を作る側”と“作られた物語”の大きく2つに分かれているというもの。
当初は、その“物語を作る側”がやたらと説明的でテンポが悪く感じられ、「ずっとこんな説明口調で物語を進められるのかなー」とドキドキしていたのですが……いえいえ、心配は無用でした。
いったん作中作となる“物語内”のストーリーになると、ここからはひょっとこ乱舞の本領発揮ですよ。
主役である笠井里美さんのトリックスターぶりがもうたまらずケッサクで、物語をグイグイと引っ張っていきます。
この彼女のテンション、もう心地良いまでのぶっ飛びぶり。
やっぱり笠井さんの役どころは、こうした「無邪気なトリックスター」がよく似合ってますねー。
そして、ラスト。
「ひょっとしたらこうなるかな、いや、こうなってほしいな」とぼくが勝手に想像して望んでいたように、“物語世界”の存在が大きくふくらんでいって現実世界を飲み込むメタな展開となったのです。
やったね!

……が、あれ?
どうもその展開があまりパッとしないのですね。なんというか、とても遠慮している感じ。
物語が1つに融合したと見せかけて、「ひょっとしたら、融合した……のかな」という程度で終わっちゃっているんですね。
どうもこの終わり方が弱気に思えてならず、「メタな展開にしてしまうと、お客さんの理解を得られなくなっちゃうかもしれない」という遠慮があるのかも、とさえ感じさせられたのですね。
そう思うと、冒頭のやたらと説明的だったシーンでも、「ちゃんと説明しておかないと、お客さんに伝えられないかもしれないな」という、遠慮が感じられたからこそ、テンポが悪く感じたのかもしれません。
ひょっとこ乱舞「ブリキの町で彼女は海を見つけられたか」(吉祥寺シアター)

「水」の方は、「ブリキの町で……」のような「疾走感」とは正反対の「静」な物語。
いくつにも分断されたエピソードの断片が、徐々に組み立てられていき、時系列が整理されてラストにおける悲劇的(かつハッピーエンド)なエンディングで収束した瞬間に完成する物語は、その叙情的な美しさが観客の目の前に浮かび上がらせる力を持っていると言ってもいいのではないかと思うのです。
あまりの美しさに、終わる間際、もう涙ポロポロでしたもん、ヤバイのですよ、ヤバイ。不意打ちでポロポロきちゃうぼくの涙腺め。

しかしこの構成の複雑さ、およびストーリーそのものにも強弱がなく、あくまで淡々と進むので、始まってから半分ぐらいまでは正直、あまり入り込むことができなかったんですね。
登場人物の名前も、これはいったいどこの国の物語なのかと思ってしまうほどに奇妙な名前ばかりなので、まずは「誰が誰」ということを抑えなければ、まったく物語を理解することは難しいのです。
しかし、いつ頃からでしょうか、ふと気がつくと物語の中身が見えるようになってきていているんですね。
物語の構成が見えてきたからか、それとも登場人物の名前をようやく覚えられてきたからか。
そこで楽しんでいる自分に気がつかされるのです。
この瞬間が早ければ早いほど、もっと楽しめたんじゃないかなーと思うと、なんだかもったい気がしてなりませんでした。
ひょっとこ乱舞「水」(吉祥寺シアター)

そんな2作品同時公演ということでマチネとソワレの合間。
いったい何して時間をつぶそうかなー、そもそも吉祥寺なんてどこに行っても人が多そうだし、井の頭公園に行っても暑いし、雨降ってきたらイヤだし……と悶々としながら劇場を出たところで「あれ?」。
いかにも「ネコがいそうです」といわんばかりの雰囲気漂う路地があるんです。
ここを何気なく覗いてみると……いた。
路地でまどろみ中のグレイのネコ

路地がひんやりとしていて気持ちいいのでしょうか、グレイの毛並みがビードロのように美しいニャンコが寝ころんでいるんですよ。
驚かさないようにそっと近寄っていくと……うひゃ、「んーにゃーにぃー」とご挨拶しながら足下にスリスリと、すり寄ってくるではないですか。
こうなったらアレですよ、ゴールドフィンガーでの必殺テクでお返しですよ。
ぼくのゴールドフィンガーにすっかり昇天してしまったグレイ

一瞬にしてトロトロにとろけてしまったグレイ、それを羨ましそうに見ているキジトラ。
こやつも最初の瞬間に「みゃーみゃー」ご挨拶しながらよってきたのですが、愛想にかけてはグレイの方が上手で、そっちに気をとられている隙に、いじけてしまったのか、定位置らしき椅子の上に座ったまま動こうとはしてこなくなっちゃいました。
ごめんよー……。
定位置の椅子から羨ましそうに見ているキジトラ

こうしてキャツらと遊んでいるうちにすっかり時間は過ぎてしまい、あっという間にソワレの時間となってしまったのでした。
後から考えると、今回のひょっとこ乱舞の新旧2作品は、ともにネコが重要なモチーフとして登場してくるのですね。
そう考えると、ここにこうしてネコがいて、マチネとソワレの待ち時間の間に、「触ってもいいよー、モフモフしていきなよー」とキャツらの方からみゃーみゃーと出迎えてくれるということは……やっぱりこれは劇団側からおもてなしということなんでしょう。
いやー、これはいいですねー、いい、実にいい!
何というの粋な計らいなんでしょう。

ただし。
このおもてなしのニャンコスペースは、ヤブ蚊がメチャクチャ多いのです。
なので残念ながら、あまり集中してキャツら遊ぶことができなかったのでした。
これからの時期、こうしたニャンコたちと心おきなく遊ぶには、「ネコジャラシ」だけじゃなくて、携帯用の蚊取り線香とかベープみたいなやつを持ち歩いていないといけませんな。

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