押絵と旅したかった男

大道芸のパフォーマーとしても大活躍している重森一さんからご案内をいただきました。
そんな訳で、両国は江戸東京博物館で行われたまことクラヴの公演を観に行ってきました。

最寄り駅のJR両国駅を降りると、何だか、駅周辺がかなりにぎやかなんです。
あれ?どうしたんだろうなーと思っていると……ああ、そうだ。
国技館で、今、まさに大相撲が開催中だったんですね。
両国国技館前の相撲部屋ののぼり籏

相撲のことはまったくよく判っていませんが、それでもこの賑やかな光景が珍しくて辺りをウロウロ。
完全にオノボリさん状態です。
すると、歩道に集まっている人たちの中から「がんばれよーっ」なんて、大きな声援があがるんです。
何だ、何だ、いったい何ごとだ?と覗いてみると……おお。
なんとお相撲さんが堂々と国技館入りするところだったんです。
お相撲さん、国技館入り

……あれ?
お相撲さんって、こうして一般市民が行き交う歩道の上を堂々と歩いて国技館入りするの?
てっきり、黒い大きなハイヤーとか、ハマーみたいな巨大な自家用四駆に乗って、中まで乗り付けるのだと思っていましたよ。

クルマに乗ってくるお相撲さんもいることはいるのですが、それでも国技館入りするときは車から降りて、ファンからの声援を受けながら、堂々と歩いて入っていくのですね。
この感じ、何かに似ている……と思ったら、そうそう。
タカラヅカの役者が劇場入りするときも、こんな感じなんですよね。
もっとも、タカラヅカの場合は詰め掛けたファンが醸し出している“場の力”がビンビン働いていて、こんな風に、通りすがりのドシロートが紛れ込める雰囲気ではありませんが。

と、まあ、そんなこんなでウロウロしながら国技館の隣にある江戸東京博物館にやって来ましたよ。
江戸東京博物館

この博物館は初めて入館したのですが、いやいや、ここってこんなスゴイことをしていたんですね。
6階フロアをぶち抜いて、江戸時代の芝居小屋を完全再現してるんですよ。
完全再現された江戸時代の芝居小屋

更には日本橋だって再現されています。
完全再現された江戸時代の日本橋

江戸時代に始まり、開国後の明治、大正モダニズム、昭和まで、様々な時代を断片的に切り取って、そのときそのときの東京の街の姿をあらゆる方法で見せてくれるのですから、これが楽しくないわけがありませんって。

なかでも、とてもお気に入りなのが、関東大震災で崩壊した「凌雲閣(浅草十二階)」のミニチュア。
ミニチュアと言っても3mぐらいはありますから、結構な大きさです。
そのミニチュアの写真を撮ってみました。
すると、これがよくまた「ミニチュア写真」らしくよく見えるのですね。
正真正銘のミニチュア写真ですから当たり前ですが。

ということは、ですよ。
通常の写真を加工して、ミニチュア写真らしく見せる技術があるじゃないですか。
それをですね、このミニチュア写真に当てはめてみたらどうなるのでしょうか。

「現実世界の写真を加工して、ミニチュア写真のようになる」のですから、「ミニチュア写真を加工したら、現実世界の写真のように見える」のではないでしょうか。
そうか!
しかもこの写真は凌雲閣、浅草十二階なんですよ。
凌雲閣といえば江戸川乱歩。江戸川乱歩が凌雲閣を描いた作品といえば、名作短篇「押絵と旅する男」じゃないですか。

「押絵と旅する男」は、凌雲閣から望遠鏡で覗いて見えた八百屋お七の押絵に恋してしまった男が、弟に頼んで自分の姿を望遠鏡を逆さに覗いてもらい……という話でした。
つまり、このミニチュア写真をミニチュア写真風に加工することで、何かが起こるに違いないのです。

わー、もうどうしましょう。
ぼくが突然にミニチュアの中に閉じ込められたら、誰が旅をしてくれるの?
そもそもこんなでかいミニチュアなんて持って旅に出られませんよ……とドキドキしながら加工してみました。
凌雲閣のミニチュア写真をミニチュア写真風に加工してもミニチュア写真のままでした

ミニチュア写真を、いくらミニチュア写真風に加工しても、結局はただのミニチュア写真でした。

ちなみに、両国駅の駐輪場はこんな名前が付けられているんです。
さすが両国、横綱駐輪場だって!……と思ったら全然違いました
横綱駐輪場!
さすがは国技館のある両国、駐輪場の名前も「横綱」って、オイ、全然関係ないやん……と思っていたら、ギャー!

なんとこれ、「横綱」ではなくて、「横網(よこあみ)」なんですよ。
なんでもこの周辺の地名が「横網(よこあみ)」で、その名前が付けられているとか。
これはヤラれました……恥ずかしい。