足がもげても逃げてみせるぜ、ピクトくん

会社ビルの廊下には、非常階段を逃げ降りているヒト、通称「ピクトくん」の描かれた誘導灯が設置されてあるんですよ。
ピクトくんが駆け下りる非常階段の誘導灯

今までまったく、このピクトくんには注意を向けることなんてなかったのですが、ある日突然、フト目についてしまったんですね。
このピクトくん、非常階段を駆け下りているところなんでしょう。
ところが……あれ?
なんだかおかしいのです、おかしい。メチャクチャ違和感ありまくり。
よーく見てみたら……キャー、キャー、キャー、キャー!
すっかり慌ててしまっているからか、それとも普段の運動不足が災いしたのか、彼の右足が、右足が、右足が……

足がもげてます!
グギィー!

足、もげてます。
右足が、真ん中から思いっきり、グギィー!ってもげちゃっているんですよ!

エゲツナイ。これはエゲツナイ。かなりエゲツナイ。
とんでもなくエゲツナイことになってるんですよ。
ピクトくんは「ミザリー」か。
……いやいや、「ミザリー」で主人公の作家がグギィーってされちゃったのは、確か足首だったはず。
そう、これは楳図かずおの『神の左手、悪魔の右手』ですよ!
変質者に捉えられた女子大生が、逃げようとしてこけたところでこけてしまい、そこで足をグギィー! ウギャァァァー!っていうシーンがあったんですよね。

まさにあのグロシーンを彷彿させる、このピクトくんなのです。
ふー、なんてグロなんだ。
しかしこのピクトくん、こんなグギィーというようなグロな状況でも、生への執着を忘れていないのです。
グギィーとなって中途からブランブランになっている足を引きずりながらも、必死に全力で非常階段を駆け下りているんですよ。

このピクトくん、この向きだとグギィーっってなっているのは右足のように見えるのですが、反対側から見ると、逆の足をグギィーってしているんです。
反対側でも足がグギィーとなってます
ったく、どこまでドンくさい ツイてないピクトくんなんでしょうか。

しかし、これ、考えてみたら、このピクトくんの表と裏が合体したら……両足とも無事で、もげることなく無傷のままで逃げ出すことができるんじゃないでしょうか。
試しにチョットやってみました。

両足がもげてしまいました!
……ギャァァァァーッッッ!

スミマセン、見なかったことにしてください。

こうして階段を駆け下りて逃れてきたピクトくん。
あとはこの戸口をくぐれば、そこはもう自由という楽園なんですね!
この戸口のところに掲げられてあるのが、いつも見かける例の「非常口」のピクトくんなんですよ。
いつもの非常口の誘導灯
しかし、ここへきてとんでもない事実に気が付きました。
この非常口のピクトくん、片足を軽快に蹴り上げて、戸口から外に出ようと走っているところだと思っていたんです。

が、この非常階段でグギィーとなっているピクトくんの姿を見てしまったら……嗚呼。
非常口誘導のピクトくん、足がグギィーとなっていた彼でした
「非常口」のピクトくんの足は軽快に蹴り上げられているのではなく、非常階段で足をグギィーとしてしまった彼だったんですね。
気がつかなかったぜ。

どんなに足がグギィーとなろうとも、ブランブランになってしまおうとも、痛みをものともせず、ただ生きることへの執念だけを見せてくれるピクトくん。
そしてついに非常口から無事に外に逃げ出すことができたピクトくん。
「生きる」「命」ということやものが、とかく軽視されがちな現代(いま)を生きる我々は、彼のこの「生きる」ことへの執着を見習わなければならないのです。