宮城聰版「王女メディア」を観に、静岡へ行ってきました

宮城聰版「王女メディア」を観に、ちょいと静岡までクルマで行ってきました。

東静岡駅前でションボリ立っている実物大ガンダムを横目に見ながら、まずは晩ご飯です。
静岡に来たからには、やっぱり静岡おでんですよね!
でも、どこにおいしいお店があるのか判らず、どうしよう……と静岡駅ビルをウロウロしていると、おお。
元気なおばちゃんたちが切り盛りしている居酒屋を発見したんです。
デパートのレストランフロアとは思えない居酒屋テイストのお店。
ここがまた、めちゃうまなんですよ。
ダシがよくしみこんでいてメチャウマだった静岡おでん
ご飯はおいしいわ、おばちゃんの人懐っこさが楽しいわで、エネルギーを120%補給。
静岡の皆さんも、このお店が大好きなようで、店に入ったのはまだ17時半だというのに、あっという間にお客さんでいっぱいになったんですね。
また静岡に来る機会があれば、ぜひこのお店でご飯を食べたいなーと思いつつ、あとにしたのでした。

ここから会場である静岡舞台美術公園の野外劇場にゴウ。
ここがまた予想以上に思いっきり山の中にあるので、車から降りたとたんに「山のにおい」に包まれます。
もうこれだけでテンション急上昇。
しかし山の中だけに、キリがモワモワしてるし、雨も突然ザワザワ降ってくるし、とても不安定な天候なんです。
何しろ今回の会場は、野外。観客席での傘差しはご法度なんです。雨が降ってきたら、レインコートの着用が許されているのみ。
どうなんだろうなーと心配していると、おおう、やっぱり大雨が降ってきました……。
雨ザァザァ降りのなかでの開場。
レインコートを着て観客も皆、テルテル坊主状態
観客席では、レインコートのフードをかぶって皆、テルテル坊主のような格好のお客さんたちでぎっしり埋め尽くされています。
観客はそうやってレインコートを着ていればいいのですが、それ以上に大変なのはステージなんですね。
お囃子である楽器を雨に濡らすわけにはいかないので、和傘を工夫して設置して濡れないようにしていたようです。
そして何よりメディア役の美加理さんが羽織っている着物。これが雨を吸ってとても重そうになっているんです。
美加理さんが舞っていても、ふわっとした感が生み出せないのです。
そのためか裾を気にするそぶりも何度か見られました。

しかし、そんなことは気にならないぐらいにステージでは凄まじい展開となっていたのでした。
それでなくても「子殺し、男尊女卑、他国への侵略」と、暴力的に重い展開を待ち受けているストーリーに、夫に裏切られたメディアの鬼気迫るシーン。
腹を痛めて産んだ我が子を殺すか否かという彼女の揺れる思い、しかしながら夫への報復という方法をとってからの彼女の圧倒的な立ち振る舞い。
そういったストーリー展開にまるで合わせたかのように、生暖かな風が吹きつけ、ステージ上に霧が立ち込め、雨に煙るんです。
もう、そういう演出を行っているのではないかと思えるほどの効果なんですね。
これはもう野外でなければ、しかも山の不順な天候でなければ決して体感できなかった舞台であったと思うのです。
いやー、行ってよかったー。

また、今回の演出では、冒頭で、スピーカーである男性たちの配役が発表され、その彼らが順に自分たちのムーバーである女性を選ぶ(=女性を買うという行為)というメタなシーンから始まって「あれ?」と思ったのですね。
しかしこのオープニングの形をとることで、ラスト、女性が男性たちを皆殺しにするシーンにおいて、その「スピーカー(男性)が、自ら選んだ(買った)、ムーバー(女性)に殺される」という形での回収が活きてきたのではないかと思われました。
男性がスピーカー、女性がムーバーというク・ナウカならではの演出であったと思います。

しかし今回、「王女メディア」を観ての最大の発見は、宮城聰版はタイトルが「王女メデア」と、“イ”が大きいということだったのかもしれません(何だ、そりゃ)。
「王女メデイア」(静岡舞台美術公園)