珍しいキノコ舞踊団「私が踊るとき」(世田谷パブリックシアター)

久しぶりに珍しいキノコ舞踊団の公演を観に、世田谷パブリックシアターにゴウ。
開場19時30分、開演20時と、なんだか「大人の香り」に感じられる公演時間です。
珍しいキノコ舞踊団「私が踊るとき」(世田谷パブリックシアター)

これだけ遅い時間での開演に、ひょっとしたら今回は1時間程度で終わるのかなとか思っていたんです。
ところがどっこい、今日は終わってからもアフタートークがあり、主宰者の伊藤千枝さんによる裏話なども聞けるという、実におトクな日だったのでした。
すべて終わって会場の外に出てみると、わお、時刻はもう22時前で、やっぱり大人の時間だ。
(でも、ぼくの前には子供さんの観客もいたりして、そのあたりはやっぱり観客を選ばないキノコらしいところです)

さてそんな久々の珍しいキノコ舞踊団(以下、キノコ)の公演なのですが、幕が上がったオープニング……え?
なんというか、キノコらしくないのです。まずは音楽が変。ノイジーな不気味な音楽で、メンバーもバラバラに踊るのです。
あれー、イメージチェンジを図ったのかしらん……などと思っていたら、うわー!
違うんです、違う。全然違いました。ネタバレになるから言えませんが(でも言いたい)、実はキノコらしいのですね。
もう「キノコらしさが明らかになった」ときの全員が揃ってのダンスに、もうサブイボがゾワゾワ出ちゃいましたよ。
しかも、このオープニングとまったく同じシーンが、エンディングでもリプライズされるのですね。
しかしこのエンディングのシーンは、オープニングとまったく同じ動きをしているにも関わらず、演出が若干変わっていて、これがまた全然違うものに見えてしまうのです。
すごいよ、すごい。

もちろん今回の公演も、どのシーンをとっても「ポップ」で「キュート」なシーンばかりなので、観ているだけでフワフワとした心地よい気持ちになります。
キノコの公演では、いつもこうした「心地よさ」や「元気」を貰えているような、そんな気がします。

個人的には、山田郷美さんのソロシーン、これがもうサイコーでした。
とてもしなやかに踊られる方だとは思っていたのですが、そのしなやかさがまた、セットや小道具、そしてライティングとピッタリあっているのですよね。
それがもう神々しくて美しいのなんの。
しかしそこはキノコ、ただ単に「神々しい」だけではありません。
セットの「家」では、暖炉から伸びた煙突の先から、煙がポワポワ浮かび上がったりするなど、決して「可愛さ」も忘れてはいないのですね。
なんというか、観客に「畏怖の念」を抱かせるのではなく、「可愛さ」を通じて温かい気持ちを抱いてもらおうとする、そういったところがキノコを安心して観られる理由のひとつなのでしょうね。

「可愛い」といえば、ダンサー2名によるガールズトークのシーンがもうとびっきりのキュートでした。
登場した2人のダンサーがずっと、どうでもいいようなガールズトークを延々と繰り広げているだけなのですが、実はこれ、かなりアクロバティックな動きをしながらの雑談なんですよね。
「どうでもいい話」と「アクロバティックな動き」、このギャップに会場中はもう大爆笑に包まれていました。
どんなシーンでも決して「可愛さ」を忘れない、これがキノコなんですよねえ。
あまりのステキぶりにうっとりしてしまっていたのでした。

次回公演は2月14日に、栃木県立美術館で無料パフォーマンスを行うとのこと。
キノコはこうした「劇場以外のところ」で行われるのがとっても魅力的なので、ぜひ行きたいなあ……と考えているのですが、うーん。
最近、休日前の夜はずっと夜更かしばかりの生活なので、こんな突然に朝起きて、栃木まで行けるかどうか。
(でも行きたい)
珍しいキノコ舞踊団「私が踊るとき」(世田谷パブリックシアター)