超絶的なバカミス、駕籠真太郎『フラクション』

もう、かれこれずっと「すごいよ」「すごいよ」というウワサばかりを聞かされていたので、とてもとても気になっていたのでした。駕籠真太郎『フラクション』。
しかしなかなか本屋で見かけないのです。
そこでネット書店でお取り寄せ注文をしたのですが、これがまた1冊だけだとメール便扱いになって、なかなか届きません。ウキー!
やきもきすること数日、ようやく届きましたよ。
もう会社から帰るやいなや、着替えもせずに即効で封を破ってむさぼるように読んでしまったのでした。

読了後の第一声が、「うあぁぁぁー、いったい何、コレ!」。
イヤ、もう、ホント、コレぐらいしか最初は言葉が浮かびませんって。
読後も唖然ですよ、唖然。AZEN。
スゴイのなんの。
これはもうウワサに違わず、あまりに想像を絶するバカミス中のバカミス。バカミスナンバーワンの称号を授けたいです。

どう説明したらいいんでしょうかねえ。
“マンガであることを最大の武器としたぶっ飛び方”でしょうか。
このラストに、読んだヒトは大爆笑するか、それとも大激怒するか、二者択一、どちらかでしょうね。
それほどまでの、あまりに凄まじい大バカぶりがラストで炸裂しているんです。

でもこれ、ラストでの一発オチかと思いきや、よくよく読み直したら、そんなこと全然ないのですよ。
ストーリー上でちゃんと伏線が張ってあるのですね。
そもそも、そのストーリー展開が素晴らしい。
物語が「連続殺人のエピソード」と、「作者自身がミステリについて語る」と、2つのエピソードが交互に組み合わさって構成されているのです。
もうこれは、マンガ界の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』ですよ!
(なんだ、それは)

この2つのエピソードが交互に語られていくことで、うまく物語は最後に向けて大きく収束していくのですね。
といっても、その収束があの「うああ!」と雄叫びを上げてしまうようなアレなんですが。うああ!
なにしろ、「主人公がうたた寝してしまった間に、バイト先の同僚女性が風呂場で胴体切断されていた」のに、「次の日、バイト先のタイムカードが押されてあり出勤した形跡がある」……って、これ、すごい展開ですよね。
ね、ね、ね、そうでしょう。
しかもこの主人公、犯人と思しき人物と取っ組み合いをして、気絶させられた一瞬の間に、この犯人らしき人物も胴体切断されちゃっているのですから、もうドッキドキなんですよ。
ところが!
その真相が……ぶわっはっは。なんてことなんですか、アレでしょう。アレ。
ああ、言いたい。このあまりのおバカっぷりをここでぶちまけて皆と笑いあいたい!

しかしこの作品、このオチというか、ネタというか、アイデアはぶっ飛んでいて確かにインパクトはあるのですが、どこかおかしいのです。
どうしても、物語の辻褄が合わないのですね。
「ははぁ、きっとこれは、作者が強引にオチをつけたからなのかぁ……」と思ってしまったのですが、いえいえ。
ちゃんと読み返すと、ウッヒョー!
これって作者が物語自体に大きな仕掛けを施していたんですよ!
その大仕掛けが「違和感」となって、最後の最後になってようやく明らかになるという……すごい贅沢なつくりになっているのですよ。
もうスゲーの、なんの。
ああ、言いてえ、メチャクチャこの内容を言いてえー。

そうですよ!
もう1人でも多くのミステリファンに、このバカミスナンバーワンの作品を読んでもらって、このあまりのバカさ加減と、しかし丁重に積み重ねられた伏線の数々、そして物語全体に仕掛けられた作者のトリックを、大いに語り合いたいものです……うずうず。