毛皮族「社会派すけべい」(下北沢駅前劇場)

毛皮族「社会派すけべい」

一時期のあまりの拡大路線についていけなくなっていたのですが、また活動拠点を小劇場に戻してからは再び通うようになってきた毛皮族。
今回も下北沢駅前劇場での公演ということで、これは楽しみなんです。
何しろ毛皮族といえば、あのノリですから、それを間近で楽しむことができるのは、駅前劇場ぐらいの大きさがちょうどいいんですよね。

そんな訳で土曜日のこと、クルマに乗って下北沢にレッツラゴー。
下北沢に来るのもメチャクチャお久しぶりで、駅前劇場、入ってみると最前列でこれはこれはウヒョヒョのヒョー。
もう目の前でポヨンポヨンのプルンプルンなのですよー!(←バカ)

そんな今回の本公演、観終わって驚かされたのが「江本純子が出番を抑えてる……」。
毛皮族といえば江本純子、その彼女のワンマンショーが毛皮族のいちばんの特徴であると言えるのですよね。
当初はその「江本純子と楽しい仲間たち」のノリもとても楽しく思えていたのですが、「毛皮族」という劇団を見慣れてくると、江本純子以外の役者陣もじっくりと観ていたくなるものなんです。
特に毛皮族では、町田マリーという変幻自在なトリックスターや、柿丸美智恵という怪優の存在が大きいのです。
その彼女たちの活躍を、もっとじっくり見せないと、それはそれでもったいないんじゃないかな……と思えてならなかったのですね。

すると、なんと。
今回は、その江本純子が完全に脇役に徹しているではありませんか。
だから、町田マリーのトリックスターぶりや柿丸美智恵の怪優ぶりを十分に堪能できたのですよ。
いや、決して堪能できたのは彼女たちだけではないのですね。
これまで江本純子や町田マリー、柿丸美智恵、澤田育子といった俳優たちに目を奪われてしまってまったく気付いてなかったのですが、今回の主役である羽鳥名美子、彼女の持つハイテンションな魅力がもうスゴいのなんの。ステージからモワンモワンとオーラのごとく押し寄せてくるのですよ。スゴいのです、スゴい。そして、ステキ。
彼女のそのハイテンションな魅力に、最前列席でもうすっかり目を奪われてしまっていました。
今回の毛皮族公演は、そんな訳で、もう色々な魅力で溢れていたといっても過言ではないのですね。

もちろんストーリーでも楽しませてくれます。
前作「暴れて嫌になる夜の連続」では、連合赤軍のアジテーションをパロディー化したセリフがまったく聞き取れず、ストーリー展開に付いていくのがやっとだったのに対して(もちろん、その“聞き取れないこと”が狙いなのでしょうが)、今回はもうすっかりドリフ的なベッタベタの展開。
何しろ舞台が温泉旅館で、非日常的なまでにキチガイな人物の数々が登場し、挙げ句の果てには天井から金ダライが落下し、そしてラストではセットが崩壊……。
ね、ドリフでしょう。

物語中盤以降では、作中作であるはずのベッタベタのメロドラマ(のテレビドラマ)が、現実世界と混合してくる展開となり、「……メタな展開になるのか」と身構えてしまったのですが、いえいえ。
ちゃんとベタベタに判りやすい展開、結末を用意してあったので、最初から最後までとにかく目の前の展開を楽しむことができたのでした。

いやー、それだけに残念だったのは座席です。
いやいや、確かに最前列席でプルンプルンのポヨンポヨンで楽しんでいたのですが、今回、いちばん楽しめたのは、きっと最前列のど真ん中、花道の脇あたりだと思うのですよ。
中盤で雨降りのシーンがあり、ここで町田マリーと江本純子の二人が妙なテンションではしゃぎまわるものだからとっても楽しめるはずです。
特に町田マリーファンのぼくからすると……ああ……想像しただけで……。
とにかく、それぐらい羨ましい席っていうことなんですよ。