川上未映子『世界クッキー』刊行記念サイン会(有隣堂アトレ恵比寿店)

ついこの間、『ヘヴン』でサイン会に参加したばかりなのに、また川上未映子サイン会があると聞いては、もう居ても立ってもいられなかったのです。
そんな訳で、早めに会社を抜け出してアトレ恵比寿にある有隣堂にやってきましたよ。

サイン会そのものは、18時30分スタートだったのですが、今回は変則的に大きく2つのグループに分けられているようです。
整理券に刷られた整理番号が75番までだと、そのまますぐに列を作ってサイン会に突入なのですが、76番以降になると、整列そのものが19時まで待たなければならないようなのです。
思うに、川上未映子人気で150名ものお客さんが一気に集まると、待ち行列がパンクしてしまう……という店側の判断なのでしょう。

何しろ、有隣堂アトレ恵比寿店で行われるサイン会は、待ち行列が「え? ホントに? ここでいいの?」とビックリしてしまう、バックヤードの中なんですよね。
今日だって待っている行列のその脇には、「不良品 返品確認中」と書かれた紙が貼り付けられてある商品が積み上げてあるんですよ。
バックヤードの商品の横に行列中

うーん、外部の人間が並んでいるすぐ横に、こんな風に無防備に商品なんて置かれてあったら、ヒョイッと持っていかれそうなのですが……。
いやいや、サイン会にくるようなお客さんには、そんな悪いことをするような輩はいないということなのでしょう。
あるいは、ここに積み上げられてある商品って、確かに有隣堂の商品じゃないのです(たぶん)。
だから、「ここに並ばせておいても、まあいいか」って訳……ないですよね?

列を作っている客層は、(ぼくから見える範囲では)男女比がだいたい半々ずつといったところでしょうか。
さすがは川上未映子、読者層が偏っていないよなのですね。
ただ、気になるのはその年齢層。
女性はわりと若い方が多いのですが、なぜか男性は結構、年齢層が高いんです。
いや、確かに若いお兄ちゃんもいるのですが、ぼくの目の前にはオジサンたちが結構いるんですよね。
前々回に参加した、芥川賞受賞直後の『乳と卵』サイン会のときは、全体的に圧倒的なオジサン率だったのですが、前回の『ヘヴン』サイン会ではそうでもなかったし……。
この参加者層の違いって、サイン会会場の地理的な要素があるのでしょうか。

  • 『乳と卵』:神田(オジサン率メチャクチャ高い)
  • 『ヘヴン』:有楽町(男性比率高いが、男女とも若い)
  • 『世界クッキー』:恵比寿(男女半々、オジサン率高い)

どうなんでしょ。
個人的な感覚では、有楽町ってそんな「若者」の街という感じはしないのですよね。
どちらかというと、まだ恵比寿の方が若者っぽい。
ということは、あまり地理的な要素って関係ないのかも。

……とはいうものの、この3箇所での客層はいずれも、ぼくが見える範囲で感じた結果に過ぎませんので、ちゃんと調べると、全然違う結果が出ているかもしれません。

そんなこんなで並ぶこと30分、バックヤードを抜けるとあと10人ほど!
やったね!
この光の向こうには、川上未映子が待っている!

そして回ってきましたよ、ぼくの順!
ああ、目の前に川上未映子。
「よろしくお願いします」とご挨拶すると、真っ直ぐにぼくの目を見ながら「こんばんはー」
この元気な声に、その眼力(めぢから)に、もうメロンメロン。
例によって例のごとく為書きをお願いすると、ああん、ああん、なんて言うことでしょう。
「いいですよー」と快諾してくれた彼女、為書きをしながら「しょー、こー、のー、へーや。なー、かー、はー、しー、かー、ずー、やー......さま、と。」なんて、声に出してくれるんですよ。
ああ、川上未映子に名前を呼ばれているぼく……なんてエキサイティングな出来事なんでしょう!
もう声に出されれば出されるほど、ぼくの精神はメロンメロンに解けて溶けて融けて……どこまでも熔けていくのでした。
なんてメルティなオレ。

しかも、「前もいらしてくれましたよね」なんて想定外の言葉まで掛けてもらって、もう頭のなかは真っ白。
「ハイ、皆勤賞です」なんて訳判らんことを言ってしまっているぼく。
皆勤賞? ウソつけー。大阪とか全国のサイン会にも来たの? 金沢の講演会のサイン会にも来たのか? と厳しくツッコまれる……こともなく、そこは素敵な未映子さん、優しくニッコリと微笑みながら「どうもありがとうございます」と言ってくれ、向こうから手を差し出してくれるのですよ!
うはー、いただきます!
お手を握らせていただいて……握手!

ああ、それはもう、なんて柔らかくて、華奢で、だからすぐに壊してしまいそうな手で……。

なぜでしょうか、この暖かな、柔らかな、華奢な、壊れてしまいそうな手の感触がずっとずっと残って消えませんでした。
いつまでもいつまでも彼女の手の余韻が消えないので、帰りの電車ではつり革なんて握れません。
何本も電車をやり過ごして、座って帰ってきました。
川上未映子のサイン会は、いつもサインだけを貰うのではなくて、彼女から「元気」も貰えるのです。
川上未映子のサイン入り『世界クッキー』