猛々しく神々しく美しかったエロスの高襟「milk」(d-倉庫)

いつもお世話になっている青山るりこさんからご案内をいただきました。
高襟の第4回公演「milk」を観に、日暮里はd-倉庫へGo!
日暮里のd-倉庫

19時30分開演ということで30分前にはd-倉庫に着いたのですが、開場は開演10分前とのこと。
それまでは2階のロビーでお待ちください……といわれてまわりを見回すと、ワォ。
広いとはいえないロビーのなかが、ビッチビチのビッチリに、男どもが詰められたようにすし詰めなんですよ。
ロビーに溢れかえる男、男、男……。ここはどこの男子校か、というぐらい見事に「男の園」が形成されていたのです。

「男の園」で待つことしばし。やがて開場となりました。
例によって例のごとく、「高襟」と言えば最前列、かぶりつき席ですよね!
無事にかぶりつき席に座れたことで、スタンバイOK!
始まる前からステージの上に身を乗り出すようにして、鼻息荒くフンガーフンガー。
たまたま、ぼくのすぐ隣に知り合いの方が座ったそうですが、鼻息荒くフンガーフンガーいっていたぼくは、まったく気付きませんでした、ハイ。
その方も、「声を掛けようと思ったけど、あまりに恐ろしくて……」なんて言われる始末。
知り合いからも声を掛けられないほどかぶりついてるって……どんだけかぶりついていたんだろ、ぼく。
もうエロいにもほどがあります。うはははは。

しかしd-倉庫のステージって、広いですよねー。
いや、広いというよりも「奥行きがある」というのでしょうか。
これまで高襟公演は「pit 北/区域」という小劇場や、スタジオで行われてきたので、いつもまるで舞台と客席が一体となっているような、そんな感覚で観ることができたのでした。
ところが今回のステージはかなり奥行きがあるので、客席とステージの間に距離があるような、そんな気がするのですね。
おそらく出演者側も、そのあたりを考慮してのことなのでしょうか。
客席内通路を使用したり、ステージと客席のギリギリのところでパフォーマンスを行ったり、最前列の客を意識してその目の前にコンドームを放置していったりと、「距離感を打ち消す」演出はかなり用意されていました。
それでもやはり、あの大きな空間を埋め尽くすまでは至らず、一度抱いてしまった距離感は、最後まで解消できませんでした。

しかし、逆にその空間の広さを最大限に利用したからか、今回のダンスは非常に「力強さ」がみなぎっているように感じられたのですね。
力強く、猛々しい。
だからでしょうか、今作品の根底に流れていたのは、いつものような「女子のエロス」ではなく、「男性的なエロス」のように思えたのです。
使用するガジェットもマイクであったり、別のダンサーの股間から足首を出してピョコピョコ動かしてみたりと、かなり男性器を暗喩するものが多かったですし。
そういえば衣装も、そうですね。
最初は「白鳥」をモチーフにしたものかと思いきや(「白鳥」も、男性器のメタファーですよね)、段々と精子に見えてきてなりませんでしたよ。

……そうか、精子か!
オープニングは、真っ赤な女性器のような椅子からダンサーがあらわれ、その彼女を目指して四方八方から別のダンサーが集まってくるシーンだったのですが、これ、卵子と精子を表していたのかもしれません。
とすると、公演時間の70分という長い長い時間を掛けて、受精が行われたということなんでしょうね。
ラストシーンで、ダンサー2人が暗がりから全裸で登場したのですが、これがきっと「受精した卵子から誕生した人間」だったのでしょう。

しかし、その「人間として生まれたはずの彼女たち」が、オープニングで射精のように精子たちが飛び出てきた「精巣管らしきところ」に戻っていくのです。
……ということは?
これはつまり、射精前の精子たちが「受精して人間になることを夢見ていた」という、ファンタジーな物語だったのかもしれません……。
ウオォォォー! なんてドラマチックな展開なんだ! まるで神話のようなファンタジーじゃないですか!

そんな男性たちの分身である「精子たち」が夢見た冒険がテーマだったからこそ、今回の公演は非常に猛々しく“男性的”と思えたのかもしれませんね。
あ……。
となると「milk」というタイトルも、これ、“牛乳”じゃなくて、ひょっとして“精液”を表わしている?
だとすると、最初からタイトルで実に大胆にテーマを見せていたのですね。

そして一番の見どころは、やはりラストシーンでしょう。
劇場の照明装置を使ったシーンの数々(上半身裸になった状態を逆光でシルエットに浮かびあがらせながら静かにステージを去るシーン、上半身裸の肌に浮かぶ汗が逆光でなまめかしくきらめかせながら激しく踊るシーン、全裸で登場した2人のダンサーが静かに精巣(らしきもの)に戻っていくシーン)が非常に神々しく、その美しさにサブイボがたってしまいました。
これまでの高襟公演でも、彼女たちの紡ぎ出す「身体の美しさ」には、毎回サブイボが立つほど感動させられてきたのですが、今回のように、これほどまでに、“言葉が封じ込められるほどの神々しい美しさ”は、初めて体験したのかもしれません。

終演後に記入したアンケートでは、「出演者で誰がもっとも可愛かったですか」と非常に困る質問があったので、無難に「全員」と書いておきながら、やっぱりラストシーンでの美しさで「なかでも、特に青山るりこさんと深見章代さんが美しかったです」なんて、書かずもがなのことを書いてしまったアホウなぼくです。

ロビーでは出演者全員が揃われて、お客さんとの懇親タイムが行われていました。
終演後、ロビーでは出演者との懇親が行われます

ぼくはもう青山るりこさんに「今までの美しさだけじゃなくて、今回は神々しさも宿っていて、メチャクチャよかった!」と言いたかったのですが、うまく言えず……アワワワワ。
もうハグして誤魔化してしまいましたよ。
いや! ハグで誤魔化したのではありません! こんなときに言葉なんていらないのです! ハグする力がすべてを物語っているのですよ! ……たぶん。
高襟第4回公演「milk」(d-倉庫)