言いたいことは判るんです

通り掛かったここはラーメン屋さん……というか、つけめん屋さん?
とにかくそのお店。
そりゃもう、入口の看板からは、とってもとっても言いたいことが判るんです。
大将の言いたいことがビンビンと伝わってくるんです。
つけめん屋? ラーメン屋? つけめんラーメン屋?

だけど、この2つの言葉を並べたらダメだと思うんです。
だって、ホラ、この2つの言葉を並べた時点で、すでに「つけめんラーメン」っていう、完全に間違った言葉しか見えてこないんです。

「つけめんラーメン」って……、これはもうどう見ても“馬から落ちて落馬して”状態のネーミングですよね。
だからこれはやっぱり、やっちゃいけないことだと思ったんですよ。

そう、せめて「つけめん・ラーメン」とナカグロを入れて区切ってみたら……と思ったのですが……。
まるで「カツ・カレー」みたいに、“ちょっとイキって英語っぽく発音してみました”状態にしか見えませんね。
これはきっと、「つけめん」と「ラーメン」を一緒に並べるには、2人の相性は最悪だったのかもしれません。
並べてはいけない最凶の2人が、ここで出会ってしまったようなのです。
これはもう間違い以前の問題だったのです。

しかし、どうも早くからこの最凶の相性を持つ2人の出会いに気が付いて、「それ、やっちゃダメーッ!」と警告を発している人物がいたのですよ。
その人物の名前は、西田敏行。
ほら、店先で

嘆く西田敏行
ああ、やっちゃったよぉぉぉー!

思いっきり店主のうっかりさを嘆いてるんですよ。
きっと彼にしてみると、来る日も来る日も目の前で、出会ってはいけない最凶の相性を持つ2人のにらみ合いを見せつけられているものだから、気が気でないのでしょうね。

などと、ここまで書いたところ、改めてこのお店の写真を今、よくよく見なおしてみたんです。
すると……キャー!

食券機が台車の上に載せられているだけ!?
食券機の設置されてあるのが、これ、台車の上じゃないっすか!?

そりゃま、確かにこの方法だと、閉店時は食券機を物騒だから店のなかに仕舞い込んで、開店と同時に店の外に出して……と効率的なんでしょう。
が、しかし、この地震多発の折、こんな不安定な状態で大丈夫なんだろうかと心配になってきましたよ。
いや、もうこの問題の深刻さは「つけめん」「ラーメン」の相性以上のものですって。

何しろ、地震発生時のラーメン屋さんはそれでなくてもデインジャラスゾーン。
店員がラーメンを運んでいる途中で地震が起ろうものなら、お客さんの頭の上でどんぶりをひっくり返してしまって、お客さんの上へ……。
もうその惨劇たるや、どたばたのあとで必ずラーメンを頭の上から滴らせている「オバQ」の小池さん状態ですよ。

しかもこの店ではその小池さん状態のところに加えて、台車に載った自販機が突っ込んでくるのですからね。
もうこれは「ホームアローン」でカルキン少年にやっつけられたマヌケな泥棒並みに悲惨な目にあっちゃいそうなんです。

そうか!
この西田敏行の悲痛な叫びは、決して「つけめん」と「ラーメン」の出会いを警告していたのではなかったです!
地震が起って自販機が突っ込んできて、痛い痛いと悲鳴をあげている不運な、しかしながら情けないサラリーマンだったのです!
警告を発しているのではなく、単に悲鳴をあげていただけの西田敏行