(芥川賞作家なのに)素で間違えられているっぽい

とある本屋さんに行くと、おおう。
先日の芥川賞を受賞した(←第141回受賞作というより、もっといい言い方はないののでしょうか。2009年度上期受賞とか)磯崎憲一郎『終の住処』の単行本がサイン入りで平台にひっそりと積み上げられていました。
ひっそりと積み上げられていた芥川賞受賞作品のサイン本

……ひっそり。
ええぇぇぇ、いいんですか、そのひっそりぶり。
仮にも、「芥川賞」といえば、ニッポンにおけるブンゲイ界での最高峰なんだから(たぶん)、もっと、こう、堂々ときらびやかに「サイン本入荷しました!」「数に限りがあります!!」「お早めに!!!」とか、ビックリマーク付きで告知されていてもいいと思うのですよ。
なのに……ひっそりしているんですよね。

ちょうど今日は、受賞作品が掲載されている文藝春秋も発売日で、本屋さんの入口では特設ブースまで設けて、「文藝春秋、いかがっすかー!」「芥川受賞作、一挙掲載の文藝春秋、いかがっすかー!」などと、そりゃもう何人ものニイチャンたちが声を枯らしての販売を繰り広げているのですから、それに比べて単行本はひっそり、としているように感じたに違いありません。

そもそも、POPもこれ、かなり地味なんですよね。
「芥川賞受賞」という栄誉をまったく感じさせないこの地味さ
なんというか、仮にもニッポンのブンゲイ界の最高峰たる(しつこい)芥川賞を受賞したというのに、その栄誉も、名誉も、微塵にすら感じさせないほどの地味さなんですよ。
しかも……

単行本は7/24頃新潮社より刊行予定です。全文掲載される『文藝春秋 9月号』は8/10発売予定です。ご予約は、レジカウンターまたはインフォメーションカウンターにて承ります。

……って、うぉぉぉい!
もう単行本はこうしてとっくに平台に並んでいるし、文藝春秋は店の入口の特設ブースで声を枯らして販売しているし。
これ、芥川賞受賞したその日に作成したまんまのPOPじゃないですか!

きっと今回、芥川賞受賞をしたこの作者は、本屋さんにとっても晴天の霹靂で、「え? 誰? この人、いったいこれ、誰?」と、パニック状態に陥ってしまうほどのダークホースだったのでしょう。
まったく情報もなく、「いったいPOPに何を書いたらいいの?」という戸惑い、困惑、etc……。
しかし次の日にはもう「芥川賞受賞作品は!?」と目の色を変えたミーハー客どもが押し寄せてくるのは目に見えています。
そんななかで「えーい、もうなんだかよく判らん作家だけど、客につるし上げ食うよりましだぜ」などと、精神的に後ろ向きのままで書いてしまったのでしょう、このPOPは。
そういった背景が、そのままにじみ出てしまって、このような地味さとなって表れてしまったに違いありません。

しかもこのPOPでの、この後ろ向きさ加減は、作者名まで思いっきり間違ってしまっていますよ。
POPでは、作者名の漢字を間違えちゃいました
Oh~、母さん、ボク、やっちゃったよ……。

確かにインターネット世界では、文字化けしてしまうので「磯憲一郎」と記さざるを得ないと思うのですが、印刷では文字化け関係ないですからね……(ちゃんとこの字はフォントにもあるはずですし)。
なので、きっと、本屋さんでは受賞作家の名前を聞いて、「磯憲一郎? 誰、それ、いったい何者?」と必死でインターネットのみで調べた結果なんだろう……と思うのです。

以上、このPOPの恐るべき地味さと、著者名の漢字変換ミスからの推定ごっこなのでした。

そういえば、高村薫の「高」の字も、いわゆる“ハシゴだか”ですよね。
これって、やっぱりPOPに書くときはちゃんと“ハシゴだか”にするのでしょうか。
綾辻行人の「辻」は、最近のWindows フォント(メイリオなど)ではちゃんと“二点しんにょう”になりますから、これは問題なくPOPに反映できますよね!
……たぶん。
(その前に、POPを書くほど出版作品が出てな……(略))