猫☆魂「プラチナ」(下北沢駅前劇場)

元シベリア少女鉄道の秋澤弥里さんが出演していて、またその秋澤さんから直接ご案内までいただいたのですよ!
これはファンだったらぜひとも行かないとダメでしょう! (*゜∀゜)=3 ハフンハフン! ……ということで、下北沢は駅前劇場に猫☆魂「プラチナ」を観に、ゴウ。

この劇団、観るのは前作「アロマ」に続いて2回目(そのときも目当ては秋澤弥里さんだ……)ですが、なんというか、前回に引き続いて今回も「映画を意識している作品づくりをする劇団なんだなあ」と感じさせられました。
今回は、オープニングからしてかなり映画チックなんですよ。
プロジェクターで配役名と役者名を映しだす手法なのですが、ありきたりに壁に映し出すだけではなく、舞台の真ん中にスクリーンを立てかけてそこに名前を映しだし、それに合わせて俳優もステージ上に登場しているというもの。
大きなところでは、NYLON 100℃が毎回かなり凝った映像と役者を絡めたオープニングシーンを用意していますが、駅前劇場でもアイデア次第で「観せたいオープニングを用意できるものなんだなあ」と思わされたのでした。

またこのオープニングに始まり、劇中でもBGMとして流される曲のほとんどが「スパニッシュ・ゴーギャン」というバンドによる生演奏なんです。
この生演奏というアイデアは、かなりいいですよね。
「スパニッシュ・ゴーギャン」というバンドの持ち味(曲そのものだけでなく、女性ボーカルの雰囲気も含めて)がストーリーにピッタリと重なり合い、「生演奏」というライブ感が、ストーリーの盛り上がりをより大きくするのです。
(特に泣かせるシーンでの生演奏、あれはヤバイのです。かなりヤバイ。感情を思いっきり揺さぶられますよ)
ただ前作では「スパニッシュ・ゴーギャンの生演奏」が、お芝居の重要なシーンとなっていたため、ある意味「メタな感覚」でも楽しむことができたのですが、今回は生演奏がそういったお芝居のシーンと絡むことがなかったため、「プラスアルファ」的な要素がなかったところが、残念に思えたのでした。

ストーリーそのものも、かなりアクロバティックなものです。
「ガンを宣告されたサラリーマン」、「付き合っている彼の暴力に悩まされる新聞記者」、「引きこもりの弟を持つ女王様的存在の女性教師」、まったく無関係の3つのエピソードが、やがて、ラストに向けてひとつに大きく収束していくのです。
こうしたパターンは、映画ではよくあるものなのですが、これをお芝居で行おうとすると、個々のシーンをうまく演じ分けるように舞台をつくらないと、観客にはなかなかスムーズに受け入れてもらえないのではないかと思うのですね。

しかしこの作品ではそういった心配はいりません。
身を作者に委ねて、目の前に起こることをそのまま受け入れていれば、ストーリーもまったく混乱することなく追っていけるのです。
正直、ややもすると「ちょっとご都合主義的ではない?」と疑問に思えることもなくはないのですが、いえいえ、これだけ世知辛い世の中なんですもの、せめてフィクションの世界だけでも希望を持って行けるよう、安心してみられるお芝居をつくりたいという作者の心意気が見えてくるのですね。
安定感のある作風で、安心して観ることができる劇団であると思います。

ただし、作品そのものにそういった「安定感」がありすぎるからか、出演する役者たちの“個性”が、まったく感じられないところが残念に思えるのでした。
なんというか、皆、平均的なんです。
だからステージを降りてしまえば、誰がどの人だったかよく判らなくなってしまうような、そんな感じなんです。
そうすると、この劇団のよさは単に「作者の本がいいから」ということだけになってしまい、結局は「誰が演じても同じ」ということになってしまい、猫☆魂という劇団の存在理由がなくなってしまいそうな、そんな気がするのです……。
猫☆魂「プラチナ」(下北沢駅前劇場)