プロジェクトA(有吉佐和子)、始動

遂に「プロジェクトA」が始動したのですよ。
始動した「プロジェクトA」

「プロジェクトA」といっても、ジャッキー・チェンはまったく関係ありません。
正式名称は(どうやら)「プロジェクトA(有吉佐和子)」といいます。
猿岩石も関係ありません(有吉違い)。
熱いメッセージが響いています

そんな訳で、ぼくも微力ながら

ある日、ミステリにはまったく興味がない友人から「これ、絶対にハマるから」と、有吉佐和子『悪女について』を勧められたのです。
有吉佐和子って、あの『複合汚染』『恍惚の人』といった社会派の作品を書いた作家でしょ。しかもこれ、ノンフィクションじゃないの? 社会派路線を軸としたノンフィクション作品って興味ないなあ、ぼくが好きなのはミステリ小説だし……と戸惑っていると、「ミステリ好きだからこそ、絶対にハマるって!」。

あまりの強い勧め方に断りきれず、帰り道でつい、その『悪女について』を買ってしまったのでした。家に帰ると早速読み出したのですが……ウワ、何ですかこれ! スゴイのですよ、スゴイ!
ひとり興奮しながら、読む手が止められなくなったのです。まさに友人のいう「この本にハマってしまった」状態に陥ったのでした。

物語は、“希代の悪女”と呼ばれた女性の半生を描き出すものです。
しかし単なる伝記小説ではありません。実に27人もの関係者の証言だけで物語が構成されているのです。
下手するとこれ、ものすごく単調になってしまうのですね。インタビューの羅列なのですから。
しかし有吉佐和子は見事なストーリー展開を用意して、読者がページをめくる手を止められなくしているのです。

例えば、彼女の行為を傍から「彼女を尊敬する人間」と「彼女を嫌う人間」が観た場合、それぞれまったく異なった行為のように見えてくるのですね。当然、そのために彼女の評価も、ヒトによってまったく異なってきます。
物語は関係者の証言だけで構成されていますから、主人公の女性は一切登場しません。つまり読者に与えられる情報は、関係者の視点だけによる伝聞のみなのです。
しかもこの主人公の女性は、時と状況に応じて平然と嘘をつくのですね。
こうなってくると、読者にはいったいどれが彼女の本当の行動で、どれが嘘の行動なのか、区別がつかなくなってくるのです。

しかし。
この「どれが本当で、どれが嘘か判らない」という状態にこそ、ラストで明らかにされる“真実”を知るための大きな伏線が隠されていたのです!
物語はずっと女性主人公の謎の死を追い続けていたものの、その真実は、最初からきちんと我々読者の目の前に提示されていたのですね。

不自然にならないようにきっちりと計算しながら、その事実を大胆にも目の前にぶら下げ続けていた作者のマジックに、読み終わると知らず知らずのうちにサブイボが立ってしまったのでした。

そんなミステリ節が全開の有吉佐和子作品、“ミステリ小説の伝道師”であるときわ書房の宇田川さんなら当然お店のラインナップに揃えていますよね……とお伺いしたところ、ええっ、在庫がない!?
それはいけません、いけません。この本こそ隠れたミステリ小説の名作として、もっと世に広く問うべきです!とオススメしたところ、さすがは“ミステリ小説の伝道師”、動きが早い。『悪女について』ともう1冊の隠れたミステリ作品『開幕ベルは華やかに』をそれぞれ50冊も仕入れて、今回の「プロジェクトA(有吉佐和子)」を立ち上げたのでした。

皆さんもぜひ、全編にわたって有吉佐和子が仕掛けてくる構成の妙、緻密な計算のもとに組み立てられた構成の妙に、めくるめく思いを味わってください!

などとオススメ文を書かせていただきました。
こちらのオススメ文が記載された冊子も、まもなくときわ書房の本店で配布されるはずです。

有吉佐和子が繰り出す計算された構成のマジックに瞠目を!