復刻版『静かなる祝祭』がサイン本で発売

あれ?
そもそも『静かなる祝祭』自体が、竹本健治のデビュー作『匣の中の失楽』の原型となる作品で、去年に講談社から復刊された『幻影城の時代』に収載されたものでしょう?
その復刻版とはこれいかに?というツッコミをしてしまいそうなのですが、いえいえ、出ているんですよ、竹本健治自筆原稿復刻版『静かなる祝祭』。
紀伊國屋書店の新宿本店でドンと山積みされていましたよ。
紀伊國屋書店の平台に、竹本健治自筆原稿復刻版『静かなる祝祭』

これは、『幻影城の時代』に掲載した作品の元原稿が、その直筆の状態でも十分な完成度だったために、今回“復刻版”として出されたようなのですね。
確かに、ところどころに描かれた挿絵や、おとぼけのスパイスが効いている注釈など、これをそのまま眠らせてしまうのはもったいないと思うのです。

しかも、紀伊國屋書店新宿本店では、これ、サイン本なんですよ。
ご本人の日記によると、同店で90冊ほどサインされたそうです。
「どれどれ、どこにサインがあるかな……」と、買ってずぐに辛抱たまらず、店の外に出たとたんに包みをバリバリと開けて見返しを見たのですが……あれ?
ないのです、ない。サインがありません。
「うわ、これ、サインがない本を掴まされちゃったよ、オレ……」とショボーン。
そのままページをぱらりらぱらりらめくっていると……あり?
「作品表紙」にあたる原稿用紙のページに、なぜかそこだけ黒々としているのですよ。
……って、これ、名前の印刷ではないんです!
こんなところにサインをされていたんです!
一見だけでは判らなかった竹本健治のサインはここに
これだったらきっと「サイン本だと気付かれない本」ベスト5に入りますよ。
うはー、これは気をつけないと。
ぼくが死んだあとで蔵書整理されたら、絶対にこの本は捨てられてしまいそう……。
そうだ、今から遺言書を書いておこう。

しかし、この『匣の中の失楽』の原型となる作品が復刻されたということは、ひょっとしたら、雑誌「幻影城」に掲載されるはずだった幻の2作目『遇という名の惨劇』もそのうちひょっこりと出版されるかも……と想像してエヘラエヘラ。
ただし以前に竹本健治ご自身の講演会で聞いた話では、この「紛失された」といわれている2作目は、実は竹本健治自身が持っているのだけれども、自分の目が黒いうちは絶対に出版することはない、と言い切っていたから、それはないか。