マリー・シュイナール「オルフェウス&エウリディケ」(シアター1010)

マリー・シュイナールのカンパニーが来日、新作「オルフェウス&エウリディケ」の公演を開催しているということで、北千住はシアター1010に行ってきました。
シアター1010(センジュ)

しかしいつも思うのですが、シアター1010(センジュ)ってすごいネーミングですね。
似たようなネーミングは渋谷の「109」がありますが、この場合、読み方は「イチマルキュウ」ですよね。
決して「トウキュウ」とは読みません。
なのに、シアター1010は臆することなく「センジュ」。
きっとこのネーミングの発案者は、自分自身のギャグセンスを揺るぎないものとして確固たる自信を持っていたに違いありません。
(いやいや、これ、誉めているんですよ……たぶん)

そのマリー・シュイナールの新作「オルフェウス&エウリディケ」ですが……うわー、これはいったい何だろう。
どう書いていいのか、まったく判らない面白さなんですよね。かなりエキサイティング。
単なるダンスかと思いきや、そこに留まらない「やりたい放題」の猥雑さが全篇通じて溢れているのです。
しかしその「何でもあり」が決して下品になることはないのですよね。それどころか、なんというか、上品な味わいがあるのです。
うーん、説明が難しい。

クライマックスにおけるカオスは、もうエライことになってしまいます。
あれはスゴかった……。
突然にひとりの女性ダンサーが客席に降りてくると、椅子を乗り越えて後方に向かって踊りながら進んでいく。
他のダンサーたちはなすすべもなく、舞台上から「彼女は危険です」「振り向かないでください(目を合わせないでください)」と観客に警告を発するだけ。
その間にも件の女性ダンサーはキチガイのように雄叫びを上げながら、椅子上でひっくり返ったり座り込んだりとしたい放題。
他のダンサーたちは、「客席」という、彼らが決して立ち入ることができない“向こう側(我々観客からすると“こちら側”)”にいる彼女を遠目に見ながらおろおろしているだけなんです。
これだけ広げてしまった風呂敷を、いったいどうやって回収するのかなあ……と思っていたら、ワオ!
そのカオスを収束させるために……ぶわっはっは、アレですからね、アレ。
考えてみたら、短いダンス(のようなもの)を連続的に演じていながら、それが後々の伏線になってきているという組み立て方は、ラストにおいて、かなりのカタルシスを観客に味わせてくれたのではないでしょうか。

終演後にはマリー・シュイナールのアフタートークがあるということでしたが……うう、もったいない。
このあと、渋谷で行われているpotaliveの打ち合わせに参加するために泣く泣く北千住をあとにしたのでした。
マリー・シュイナール「オルフェウス&エウリディケ」(シアター1010)