ネットレンタルで「リスペクトまつり」?

もうね、「ワザとやってない?」と訊きたくなるような送り方をしてくる某ネットレンタル。
前回は、“クリストファー・ノランまつり”とばかりに「バットマン・ビギンズ」と「フォロウィング」が送られてきたのですが、今回は……これは、何だろう。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ヒッチャー(リメイク版の方)」の2枚なんです。
敢えていうなら、“リスペクトまつり”とでもいうのでしょうかねえ。

しかしこの「ショーン・オブ・ザ・デッド」、さほど期待せずに観たのですが、いえいえ、これがなかなかどうして大正解。
タイトルからして、ゾンビ映画の傑作、ジョージ・A・ロメロの「ドーン・オブ・ザ・デッド」をもじっていることが判りますが、内容がとにかくスゴイのなんの。
通常、ゾンビ映画とくれば「人類絶滅」と、かなり悲壮感が漂う重い内容なのですが、いやいや、そんな気配は微塵も感じさせません。
どうしたらあんなにコミカルにできるのか、と思えるぐらいに明るいのですよ、明るい。
メチャクチャ明るくてポップなゾンビ映画なのです。
そもそも、ゾンビに立ち向かう人間たちが持つ武器が、定番の拳銃やライフルではなく、「ボートのオール」に「レコード盤」ですからね、おバカ全開です。
そりゃ、一般人は拳銃なんて持ってませんからね(イギリスの映画だから)、何とか素手で立ち向かわなければならない訳ですが、それにしてもレコード盤を武器にするときにも

「このレコードは投げていいか」
「おい! それは初回版だぞ」

なんて呑気なやり取りをしていて、おいおい……。
細かいところでも数々のお遊びが盛り込まれており、全体的に明るいゾンビ映画としてつくられています。
クイーンの曲に合わせてゾンビをドツキまわすシーンなんて、笑いすぎてもう死ぬかと思いましたよ。

しかし、だからといってこの映画が「パロディ映画」とか「おふざけ映画」という訳ではなく、きっちり“ちゃんとした”ゾンビ映画に仕上がっているのですよね、これがもう。
だからそのギャップの激しさに、ただ、ただ、笑うしかないのです。
もうロメロ監督のゾンビ映画が好きで好きでしょうがないファンが、オマージュとして作りあげた傑作ですよ。
ラストなんて、……もうゾンビ映画史上あり得ないことになっているんですから(大爆笑)。

そしてもう1枚。
「ヒッチャー(リメイク版の方)」ですが……これは残念です。
何しろ「ヒッチャー」といえば、ぼくのマイ・エバーグリーン作品なんですよ。
だからどんな風になっているのかな、とかなり期待してみてしまったのですが、……うーん。
いや、かなり手を入れて「単なる再制作」としないように頑張った心意気は認められるのです。
ただ、その手の入れ方が「どうしてそうするの?」としか思えないものばかりで……。
例えば、元版ではひとりで仕事のため車を運転していた主人公が、今回は彼女連れでの旅行になった時点で、元版の主人公が感じる「孤独感」「不安感」「心細さ」といったものが薄れてしまっているんですね。
さらには「警察側の視点」も入れたことで、警察内部にも彼らのことを信じる警官がいることが判り、主人公が感じる「不条理感」が薄まってしまっているのです。
そしてなんといってもジョン・ライダー役の俳優の顔が単なる「ワル」役というだけで、元版でルトガー・ハウアーの演じていた「不気味さ」というものがまったくなくなっているのですよね。
薬指にはめた指輪の説明もして欲しくなかったー。
ラストでの、主人公とジョン・ライダーの間に通じる「何か」というものも描かれなかったし。
やっぱりリメイク版って観ない方がよかったのかも……。
ちなみに元版「ヒッチャー」は、予告編だけでもやっぱり、きちんとルトガー・ハウアーの不気味さが描き出されていますね。
彼、やっぱりええわ~(ウットリ)。