狂い咲きサンダーロード

東京では明日、平野部でも雪が積もるかもしれないんだそうですよ、奥さま。
交通機関がズタズタのグダグダになってしまっているかもしれないんですよ。

そんなメチャ寒いこの時期、公園の前を通りかかると……ん?
公園内に植えられている木々も、葉がすっかり落ちて裸んぼになっているのですが、そのうちの1本だけ、何やらカラフルなんですよ。
裸んぼの木々のなかで、1本だけ白いのです
ネコヤナギ……?
いや、それにしては木がデカすぎます。
おみくじを括りつけている……?
いや、この近所におみくじを売っているような神社はありません。

謎なんです、謎。ミステリィ。
そんな訳で近寄って見てみることにしました。

なんと桜が咲いているのでした!
こ、こ、こ、こ、こ、これは!
桜ですよ!桜。さくら。SAKURA。チェリーブラッサム。
そうなんです、これはまごうことなき桜の花なんですよ!
今はいったいいつなんですか。
確か世間ではついこの間まで、やれ師走だ、慌ただしい、クリスマスだ、もう正月だ、明けましておめでとう……なんて言ってたんじゃなかったのですか。
なのにこの時期にして桜ですよ、桜。さくら。SAKURA。チェリーブラッサム。
貴様と俺とは同期の桜ですよ!
いざや、いざや、見にゆかん……って、弥生どころか、まだお正月なんですよ!
いったいこのトーキョーシティのど真ん中、公園の桜の木はどうしちゃったと言うのでしょうか。
もし暖かい日が続いていたとしたら、「ちょっと勘違いしちゃった、エヘ」で済むのでしょうが、そんな暖かい日なんてなかったし。
というか、もう冬本番だし。
不思議です。

しかしもっと不思議だったのは、こんなに桜が満開なのに、誰一人として注目していないんですよ。
オイ、みんな、桜だぜ! 咲いているぜ! チェリーブラッサムッ!
しかし公園の横を通り過ぎていく人、ベンチでお弁当を食べている人、くつろいでいる人。
誰一人として桜の花なんて見ちゃいません。
ぼく一人が興奮して、デジカメでカシャカシャ写真なんか撮りまくっているんですよ。
まさか、ぼくが今こうして見ているこの桜の花は、ひょっとして夢なんでしょうか。幻覚なんでしょうか。はたまた妄想なのでしょうか。
いやいや、写真にだってこうして、ホラ、ちゃんと写っているでしょう。
(とか言いながら、何も写っていない写真が表示されていたら……イヤだなあ)