「ファンタズム」4作を一挙に観る

70年代を代表するカルトムービーとのウワサ高く、これまで4作も作られておきながら、日本では長らくDVD化されてこなかった「ファンタズム」。
TSUTAYAで借りてきて、ようやく観ることができました。
しかも一挙に4本も。
(陛下の誕生日だというのに、キサマは何をやっとるか!というツッコミはナシの方向でお願いします)

そして見終わったところ……「うわおぅ! いったい何じゃ、これは?」。
絶叫してしまいましたよ。

いやいやいや、あまりの衝撃度。
1作目なんて、そのあまりのショボサに「えー!?」
大脱力してしまったのですよ。
だって、もともとが“ホラー”という触れ込みのはずなのに、全然怖くないんですもん。
ホラー映画としては致命的。
うーん、これってホラーというよりも、むしろファンタジーですよね。
主人公の少年が悪と戦う図式って、もはや完全にファンタジーの世界なんですよ。
そう考えると、2作目、3作目……と続いていくにつれて、各地を転々と旅してまわるところはロールプレイングゲームの様相を呈しています。
4作目なんてついに異界まで登場しちゃいましたからね。

ストーリーですが、これもまたよく判らないんです。特に1作目が。
思いつくがままに次から次へと悪夢的なエピソードを持ってきて、それをただ繋いでいっているだけなんですね。
ストーリーに脈略がなく、展開に首尾一貫性がないんです。
そのエピソードだって、「どうだ、これは“謎”だろう」と思わせぶりに提出しておきながら、まったく回収せずにほったらかしにしてしまっているんですよ。
「あれはどうなったの?」とか「それってどういう意味だったの?」という観客の疑問はすべて知らぬ存ぜぬで押し通す監督のワガママぶり。わはははは。
ストーリーそのものもドンドンと大風呂敷を広げていっているのに、それすらも回収しようとはしていません。観客としては、もう笑うしかないんですよ。
……いや。
ちゃんと回収していましたっけ、ラストでは。
でも、それって「回収」というよりも、単に「観客を一瞬にして放り投げているだけ」なのじゃないかと。
一種のちゃぶ台ひっくり返しですね、アレは。
しかし、そのあまりの手際の良さに、怒るどころかしばし呆然となり、そして大笑いしちゃいましたよ。いやー、好きだわー、あの終わり方。
監督のその手腕に乾杯。

さすがにこんなにちゃぶ台ひっくり返しをしてしまっているところからも、続編を作ることなんて考えていなかったのでしょうね。
でも、その10年後に作っちゃいます、「II」。
何とかつじつまを合わせたりしているのですが、それがもう強引すぎちゃって、やっぱり笑っちゃいます。
で、やっぱりやっちゃうのが観客を一瞬にして放り投げてしまうエンディング。

こうして「III」「IV」と進んでいくのですが、笑わせるのが、前作ラストで気になる終わらせ方をしておきながら、次作では「え? そんなこと言ってましたっけ?」と空とぼけるかのように、何ごともなかったかのように触れないところ。
この無責任さ、いいよなあ。
ぼくも現実社会では、これぐらい思いっきり無責任に空とぼけてみたいものですって。

しかしここまで観てしまうと、知らず知らずのうちに“「ファンタズム」ワールドの虜”になってしまっている自分がいるのですね。
“広げて畳まない大風呂敷”、“観客を置き去りにする制作姿勢”、“観客を突き飛ばすラスト”がかなり心地よく感じているのです。
うーん、この感じ、この心地よさ、どこかで味わったような……あ。
そうですよ、そう、これはもう楳図かずおワールドなんですよね。
楳図かずおと同じ香りがする映画だからこそ、余計にはまってしまっているのかもしれません。

そんな、“どこに惹かれるのかよく判らない”けど虜になってしまった「ファンタズム」もいよいよ最後の4作目。
「ああ、これで終わっちゃうのか……」と思いきや、あれ? これ、まだまだ続く終わり方ですよ。
調べてみると、監督は今、5作目を撮っているのだとか(でも情報がかなり古い。いつできるのか)。
何でもこのシリーズは、監督のライフワークとのことで、ひょっとするとこれ、完結しないのじゃないかしらん。

振り返ってみると、個人的には「II」(↓)がいちばん好きかも。