青年団「冒険王」(こまばアゴラ劇場)

出演される木引優子さんから、今回もご案内をいただきました。いつもありがとうございます。

そんな訳で今日の公演のチケット予約を、厚かましくも木引さんにお願いしていたのですが、なぜかすっかり開演時間を19時と思いこんでいたのです。デインジャラス!
しかし虫の知らせがあったのでしょうか、家を出る前に突然、今日の会場が「こまばアゴラ劇場」だったのか、「アトリエ春風舎」だったのか、判らなくなってしまいました。
で、場所を調べようと青年団のWebサイトを観ていたら……キャー!
いや、会場は「こまばアゴラ劇場」であっていたのですよ。
ただ、開演時間が……18時じゃないですか!
このままのんびりしていたらヤバいのですよ、ヤバい。実にヤバい。
慌てて家を飛び出したのでした。
そしたら、もう、なんと言うか、ぼくの普段の行いがよいからか、開場にちょうど間に合ったのですよ。
いや、到着したときにはもうすでに開場は始まっていて「ヤバーい、出遅れた!」。
慌てて受付でチケットを引き替えてもらったのですが、するとその瞬間に「それでは、ただ今より整理番号70番までの方、ご入場ください」と案内があったのでした。
ぼくの整理番号は……66番。わおー、ドンピシャリじゃないですか。
一瞬のうちに装いを変えていた東京タワー

さて、そんなこんなで、なぜか最前列に座ってしまった今日の公演「冒険王」。
青年団の「本公演」としてはこれが初めて観るのです。
しかし、これがなかなか紹介するには難しい作品なのですよねー。
何しろ、舞台上ではまったく何も起こりません。
観客が観ている上演時間と同じ時間が舞台上でも流れている「リアルタイム進行」の物語。
1980年のイスタンブールにある安ホテルに集まったバックパッカーたちが、出会いや別れ、そして何もせずにただ「そこにいる」ということがただ延々と綴られるだけの物語なんですね。
でも退屈とか、つまらないとか、そういったことはまったくなかったのですね。
これはきっと、役者たちの動きや言葉がとてもリアルに描き出されているだけでなく、舞台のつくりにもあると思うのです。
客席キワキワまでベッドが設置されているため、まるで観客自身もそのバックパッカーの部屋と同じ部屋におり、友人としてその場にいるかのような錯覚すら覚えるのですね。
こうしたリアルさで、観客は知らず知らずのうちに物語世界に引き込まれていくのです。

あと、もうひとつリアルに感じた要因としては、物語内のあちこちに徹底的に散りばめられた、1980年の時代背景があると思うのですね。
例えば、

  • ウォークマンの発売
  • 江夏のピッチングがスゴすぎる
  • イランのアメリカ大使館占領
  • 韓国ではクーデターが起こり、光州で暴動事件発生
  • ユーゴスラビアのチトー死去

と言ったエピソードが、数多く埋め込まれているのです。
1980年の時代感を共有している世代であれば、こういったエピソードを聞き、より“リアル”な物語として受け入れられると思うのです。
しかし若い世代では、こういった時代背景を知らないため、「どこか遠い世界の物語のなかの物語」としてしか聞こえないかもしれません。
一応、当日パンフレットには平田オリザの自転車世界旅行の一覧と、その当時の世界情勢や出来事などが記載されています。
ただ、こういった歴史の事実は体感していないと、教科書で習う歴史と一緒で、「ふーん、なるほど」で終わってしまうと思うのですね。
時代背景も含めて、“リアル”な体感ができたぼくとしては、この作品はとても面白く、見終わっての第一声は「ごちそうさまでした」と言いたいものなのでした。

ところで我らが木引さん、その役柄にますます“黒・木引”ぶりに磨きが掛かってきました。
アテネで何やってるんですか……。