ゴム手袋兄弟のひまつぶし

新しく家を建築しているところを通り掛かりました。
大工さんは皆、どこかに行ってしまったようです。
現場だけが放置されて、広々と残されたようになっていました。
新しく家を建てているところ
......いや、ちゃんと留守番がいることに気付きましたよ。
木枠の途切れ目部分、きっとここが玄関になるのでしょうか。
ここにゴム手袋の兄弟がいたのですよ。
建築現場の入口でゴム手袋の兄弟が留守番中

このゴム手袋の兄弟、入口のところに分かれているということは、留守番の見張り役なんですよ。
この入口から入り込む不埒な輩を留める役目を担っているに違いありません。
神社でいえば狛犬、お寺でいえば仁王像みたいなものでしょうか。
しかし、ここは閑静な住宅街なんですよ。
そんな不埒な輩などいるはずもありません。

「兄ちゃん、退屈だなぁ」
「......そうか?」
「退屈だし、オレ、めっちゃ暑いんだけど」
「......そうか?」
「今日は小春日和なんだよ」
「......へぇ」
「しかも色が濃いから熱を吸収するの」
「......そうか」
「兄ちゃんは日が当たってないからいいよ」
「その分、寒い」
「オレなんかもう溶けちゃいそうだよ」
「......いや、溶けるほどの熱はないから」
「気分の問題なんだよ、気分の問題」
「もうちょっとしたら大工さんが戻ってきて、作業始まるよ」
「そしたら、手にはめられたとたん、"うわ、あち!"とか文句言われるんだよ」
「......ふーん」
「で、オレの中でムンムンムレムレ汗臭くなっていくんだよ。たまらないよ」
「......うーん」
「気が滅入るよなぁ」
「......そうか?」
「うん、滅入る、滅入る」
「......そうか」
「......」
「......」

「......なぁ、兄ちゃん、退屈だよなぁ」
「......そうか?」
「退屈だよ。ジャンケンでもしようか」
「ジャンケン?」
「勝った方が日陰で休めるの」
「......いいよ」
「マジで? やったー! よし、じゃあ一発勝負だよ!」
「いいよ」
「いくよ、いくよ! ジャーイケーンでー、ホーイ!」
やる気のない兄が勝ちました
「......あ、オレ、勝った」
「......いいよ、いいよ。どうせ、オレは日なたにいる日陰者だから」
「......おまえの言っている意味が判らん」
「......」