『文(かきことば)』第2期8回発表会

今日も会社が終わってから武蔵小金井へゴウ。
連日、武蔵小金井にお邪魔しています
連日、会社帰りに武蔵小金井に来ているようですね。

この駅前すぐのところにあるシークレットスタジオは、稽古場がよりどりみどりで20室もあるんです。
疲れたらそのままお泊りもOKという、夢のような超豪華スタジオなんですが、なんと使えるのが今日限り。
駅前がちょうど再開発事業の真っ最中で、明日土曜日の朝9時には引き渡しをしないといけないのだとか。
そんな急遽決まった引き渡しにはぎりぎりのタイミングで開催が間に合った『文(かきことば)』第2期8回発表会に来ています。
土曜日9時に立ち退きしなければならない稽古場。なので今日が最終日なんです

スタジオにお邪魔すると......あれ?
演者の皆さんが、そこかしこでもうスタンバイしているんですよ。
お邪魔すると、もうそこには演者の方がスタンバイ中
ひょっとして出遅れた......?と混乱していると、「どうぞ、どうぞ、お好きなところでくつろいでください」ととのこと。
しかしどこに座っていいのやら、と落ち着かずにあっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
そのうちに大きく開け放たれた窓の外、ベランダにいると気持ちがいいことに気が付き、そこに陣取ることにしました。

この『文(かきことば)』とは、夏目漱石『夢十夜』を題材にしたパフォーマンスなんですね。
まず一篇を演者が選び、後はその物語を構成している文章をすべて解体していきながら、どのようにして「音読された状態」で物語を見せることができるか、という試みなんです。
文節まで徹底的に解体された文章は、そこに演者自身が意味を見いだしていき、そして、その意味を被せていきながら物語の再構築を図る、そのようなトンデモナイ作品なんですね。

ぼくが観に来るのは、今日で3回目で、扱っているテキストはそのままですが、毎回内容が大きく変わっています。
同じ演者の同じ作品とは思えないほどに、作品そのものが変化していっているのです。
だから毎回、「今回はどんな作品になっているのかな?」という楽しみもあるのですね。
さらには、偶然にもぼくが参加した回は、どれも違う会場なんです。
この会場のもつ雰囲気も、作品の質感に大きな影響を与えているので、期せずしてものすごく贅沢な観方をぼくは楽しめているんです。

そんな今回の会場は、部屋の大きさの関係で、観客は皆、ベランダからの観賞となります。
そう、「ここが気持ちいいな」と思って最初からベランダに出ていたぼくは、最初から観客席にいたことになっていたのでした。わはははは、先見の明があるでしょ。
しかしベランダで観るのは本当に気持ちいいんですよね!
屋外の暗がりに身を委ね、雨上がりの気持ちいい空気のもとで観ていると、まるで野外ステージにいるかのような感覚になるのですね。
もうそれだけでわくわくしてしまうのでした。

「第三夜」矢口恵子 後藤ゆか
ベランダにいる観客ギリギリまで圧倒する矢口さんの鬼気迫る演技に、もうサブイボ立ちまくりでした。
今回は後藤さんが入ったことにより、矢口さんの演技の「ここぞ」というところでの効果が高まっているように思えたのでした。
しかしこの効果が「パート」単位であったかのようだったので、そこがもったいなくも思えるのですね。
もっと「後藤さんとしての動き」を全体的に取り入れてもよかったのではないかなと、思っちゃうのでした。
矢口さんの鬼気迫る演技にベランダでサブイボ

「第七夜」木引優子 澄井葵
いやあ、木引さん。
あんな華奢な身体のどこにそんなパワーがあるのかと思える木引さんの眼力(めぢから)が光っていた作品ですね。
ずっと眼力を出し続けているのではなく、合間、合間にさりげなくフッと取り入れるので最初は気付きません。
しかし段々とゾクゾク来ている自分に「ん?」。
そして発見する訳ですね、あ、眼力!って。
これって、まさか映画の「エクソシスト」でも使われていたのと同じサブリミナル効果......? いや、まさか......。
映画と言えば、葵ちゃんの役割がまるでプロローグ的なエピソードの語り手であったところが、まるでクロスカットとか、モンタージュのように映画的な技法のようにも感じられたのでした。
サブリミナル効果のように瞬間、瞬間に挟み込まれる眼力に引き込まれる木引さん

「第四夜」青山るりこ
これまでは、どちらかというと「おじいさん」の姿を第三者的にクローズアップされていたような感じだったのですが、今回は「語り手の視点」から観た物語そのものを表わしているような、そんな感じに受け取れました。
うーん、その違いは何だろう。
総評で主宰者の岸井さんが「踊りながら動き回るから、焦点がぼけるのでは?」と言っていたのですが、逆にぼくはその動き回ることで、「語り手の視点」による、おじいさんに付いていく様子が出ていたのではないかと思うのですね。
タライが小道具として効果的に使われていたのですが、ぼくの世代だとあれは、上から落としてひっくり返るためのガジェットなんですよね。
だから、何というか、意外性があったのでした。
いつもと違って動きが取り入れられたことで、「語り手の視点」を見せた青山さんの演技

これでまた武蔵小金井での発表場所がなくなってしまい、次回の発表は......うーん、と悩んでいた主宰者の岸井さんなのでした。
もういっそのこと、駅前のロータリーでゲリラ的にやってしまうという手もありますね!