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長嶋有『ぼくは落ち着きがない』のヒミツ

あるときは、自作の単行本なのに他の作家がサインしていたり
長嶋有のサイン本なのに、山崎ナオコーラのサイン本っぽい『エロマンガ島の三人』
またあるときは、他の作家の単行本なのにこっそり裏側に自分もサインしていたり
福永信『コップとコッペパンとペン』の著者サインメモ用紙の裏にはなぜか長嶋有のメモ書きが......
と、何かしらのお楽しみがある長嶋有のサイン本。

長嶋有のメールマガジンからの情報によると、今回、新作短篇集『ぼくは落ち着きがない』が発刊されたのに伴い、都内の主要書店を営業まわりしたそうです。
6月23日・24日の2日間でまわった書店は、全部で以下の17店舗。

  • オリオン書房ノルテ店
  • オリオン書房アレア店
  • 弘栄堂書店吉祥寺店
  • リブロ吉祥寺店
  • ブックスルーエ
  • 啓文堂書店吉祥寺店
  • 紀伊國屋書店新宿本店
  • 紀伊國屋書店新宿南店
  • 三省堂書店神保町本店
  • 丸善丸の内本店
  • 三省堂書店有楽町店
  • リブロ池袋本店
  • 有隣堂アトレ恵比寿店
  • ブックファースト渋谷文化村通り店
  • リブロ渋谷店
  • 青山ブックセンター本店
  • 青山ブックセンター六本木店

そして書かれたサイン本については、以下のマル秘情報が......。

  • ほぼすべての本に、作中の言葉を抜き書きしました
  • いくつかの本に、手書きの応募券を書き足しました
  • いくつかの本に、作者のメッセージ(というほど素敵な言葉ではないが)を書きました
  • 1冊だけ、なぜかB`zの「ULTRA SOUL」のサビを書きました
  • すべての店で手書きポップを作りました
  • いくつかの店では、先着でナガシマステッカーを添付してます
  • いくつかの店では、夕子ちゃんや、文庫にもサインしました
  • どこかで、ジャージ映画化ポスターにコメント書き込みました

ほぼすべての本に「作中の言葉」が書かれてあるということで、読んでいると「おお! このセリフが書かれてあるのか!」と新たな感動を味わうことができるのですね!
そしてなんと、「ULTRA SOULのがアタリです」とのことですよ。
このアタリの「ULTRA SOULのサビ入り」サイン本を買った方は、(どこまで本気なのか)長嶋有のメールマガジン宛にメールすると、さらに"なんかいいもの"が貰えるそうです。
いいものって何だろう......ブルボン小林のステッカーとか?

しかし、わずか1冊だけですからねえ。確率は17店舗まわってのわずか1店舗ですよ。
いったい、どこのお店なのでしょうか。

そもそも、なぜ「ULTRA SOUL」のサビなのかというと、「移動中に看板をやたらとみたから」なのだそうです。
ということは、最初の方でまわったお店は省かれますよね。
こうした音楽の宣伝を「よく」見かけるとすれば、新宿、池袋、恵比寿、そして渋谷あたりでしょう。
なかでも、渋谷あたりは「これでもか!」とばかりに見せつけられてしまう可能性が大きいですね。
渋谷駅交差点なんて、通常の看板に加えてディスプレイ画面の映像がジャンカジャンカと、やかましいったらありゃしません。
またトラックを改造した移動看板も、信号待ちしている目の前をいったい何回、大音量でジャンカジャンカいわしながら通り過ぎていくか......。

とすると、アタリのお店は、渋谷のブックファーストでしょうか?
いやいや、ブックファースト渋谷文化村通り店って、場所が駅に直結した地下通路にあるのですよね。
だから地下を通っていく可能性が高く、そうすると看板を見る可能性も少なくなってしまいます。
対して、リブロ渋谷店は公園通りに面したパルコにあるんですよ!
とすると、ここに向かう途中で通常の看板やディスプレイ、そしてトラックの移動看板を見てしまう可能性は十分あるのです。
おお、そうですよ、そう! きっとそうに違いありません!
そんな訳で、アタリの「ULTRA SOULのサビ入りサイン本」は、リブロ渋谷店にあるに違いないのです!
あとは、「どれがアタリのサイン本なのか」は、これはもう買う方の運次第なのですが......。
(三省堂書店だったらシュリンクをかけていないから、中身が丸見えで選別できるんですけどねえ ← コラコラ)

そんな訳で、ほぼアタリの可能性がない(と思われる)丸善丸の内本店で買ったのはこれでした。
残念ながら、作者からのメッセージも、そしてやはり「ULTRA SOUL」のサビもありませんでした。
間違えている? それとも狙い? 長嶋有『ぼくは落ち着きがない』サイン本
というか、「Sorry!」って......。これ、間違えてます?
いやいや、長嶋有のことですから、きっと"間違えたように見せかけて、実は狙ったとおり"なのですよ!
たぶん。いや、きっと。

『文(かきことば)』第2期6回発表会-さよなら小金井ver.

夏目漱石の「夢十夜」から、出演者が1話をピックアップし、そのテクストを一言一句そのままを劇にするという、何とも刺激的な『文(かきことば)』。
毎月1回、その発表会が行われているのですが、開催場所が小金井にあるスタジオであり、さらには開催日が平日夜のため、いつも「行きたい」「行きたい」と思いながらも、ずっとご無沙汰してしまっている不義理者なのでした。

ところがモロモロの事情により、急遽、この小金井のスタジオが引っ越してしまうことになったのだとか。
そのため、今月の発表会が最後の小金井公演になってしまうのだそうです。
「最後」とか「限定」とか、そういった言葉に弱い現金なヤツ、今月の発表会は万難を排して参加しよう......
フト気が付くと、ぼくはいつの間にか武蔵小金井の駅前にいたのでした
来ちゃいましたよ、武蔵小金井。

いつもは、このままスタジオにお邪魔して「文(かきことば)」の発表会を観るのですが、今回は最終公演のスペシャル版。
夜の小金井の住宅街を、案内人に連れられて皆でブラブラとお散歩します。
案内人に引き連れられて、夜の住宅街をブラブラお散歩
......あれれれれ?
「住宅街」という日常の世界を歩きながら、あれこれ話を聞いているうちに、そこかしこの暗闇からひょっこりと「非日常」の世界が顔を覗かせるではありませんか。
これは、ひょっとして......。
単なる「お散歩」ではなく、所々で見える「非現実」感
ポタライブだぁぁぁ!

そうです、何と今宵の公演はスペシャル版で、「文(かきことば)」だけではなく、ポタライブの前座も実施するという、非常に贅沢な2本立てだったのですね。
いや、またこの夜に行われるポタライブの気持ちいいこと、いいこと。
心配していた雨も降らず、しかも暑くもなく寒くもなく、そしてまだ今の時期だとヤブ蚊に悩まされることもない、といういいことずくめで、本当に恵まれたポタライブだったのでした。
また「小金井」という場所もきっといいんでしょうねえ。
そこかしこに緑がとても多いから、歩いているだけでそこかしこから、とっても濃厚な草木のにおいや虫のジージー鳴く声などがふわふわ漂ってくるので、癒されるのです。
もうずっと鼻を"くんか、くんか"といわせて、歩きながら夜のにおいをかぎっぱなしだったのでした。
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本来のポタライブだったら、ゴールになっていてもおかしくない立派な神社で皆とお参り。

さて、そんな訳であっという間の1時間半近く。
これで終わりじゃありませんって。まだこれからが本番なんですよ。
今回の文(かきことば)会場は、スタジオを離れて近所の公民館を借り切っているそうです。
休憩室である「畳の間」と、集会室である「洋間」の2箇所を使って、雰囲気も内容も大きく異なる2本が上演されました。

「第四夜」青山るりこ
「第四夜」青山るりこ

「第七夜」中村早香 木引優子 澄井葵
「第七夜」中村早香 木引優子 澄井葵

しかもこれだけではないのですよ。
「公民館を借りている時間が来ちゃいました」とのことで皆でゾロゾロ外に出たところで、「せっかくなので、今から別バージョンでお届けします」。
うわおう!

しかし、部屋の「なか」と「外」とでは、全然違って感じられるのですねえ。
おそらく、部屋のなかだと「囲まれていて(守られていて)安心」とか、「外のノイズから閉ざされるので集中できる」とか、思うところは色々あると思うのですね。
しかし一歩外に出てしまうと、そういった"守ってくれるもの"が一切なくなってしまい、非常に危険な状態に陥ってしまう可能性もあるのです。
しかしそこを逆に「開放感」というメリット、それも最大級のメリットを手にすることができるのです。
だからでしょうか、先ほどとは雰囲気がガラリと変わったような気がしたのでした。
何というか、皆さん、動きがダイナミックになって、より迫力が増したような気がしたのです。
もうサブいぼボーボー立ちまくりですよ。

「第四夜(夜の住宅街ver.)」青山るりこ
「第四夜(夜の住宅街ver.)」青山るりこ

「第七夜(夜の神社境内ver.)」木引優子 澄井葵
「第七夜(夜の神社境内ver.)」木引優子 澄井葵

いやあ、今日という日の公演は、もう一粒で何度おいしかったというのでしょうか......。
本当にごちそうさまです。
あ......、「ごちそうさま」と言えば、終了後にそのまま焼き肉屋で懇親モードに突入したのですが、すみません。
やっぱりココでも不義理をしてしまい、ぼくだけ帰っちゃったのでした。

しかし悪いことはできませんね。
東急東横線が車両故障のためダイヤが乱れまくっていて、結局は渋谷で足止めを食らっちゃいました。

駅の真ん中にヒミツの出入口

とある駅で電車を待っていると、目にも鮮やかな黄色の注意書きがドカーンと張り出されていたのでした。

とりあえずこの前には立って欲しくないようなのです
緊急で開けることがあります。
ここに立つのはおやめ下さい。

……ええええっ!?

いや、まあ“緊急で開けること”があるというのは判るんですよ。
この扉のなかにはきっと緊急事態に備えたヒミツのグッズがギッシリと詰まっているんでしょう。

  • 線路に落ちたものを拾うマジックハンドが仕舞われてある
  • 暴漢から身を守る盾と特殊警棒が密かに装備されている
  • 酔っぱらいから身を守るゲロ防止装置が密かに装備されている
  • サンダーバード2号が飛び立つ秘密基地だった
  • ガッチャマンが出動する秘密基地でもあった
  • さらに科学特捜隊の極秘研究施設でもあった

なるほど、そりゃこの扉の前に不用意に立てませんな。
何しろ駅員の緊急事態に邪魔になるばかりか、サンダーバードやゴッドフェニックスが頭上すれすれを飛び立ち、科特隊のアラシ隊員(毒蝮三太夫)の邪魔をしてしまって「おい、そこの汚ねえ顔したジジイ、どけよ」などと毒舌を吐きまくられ……、あー、もうロクなことないのですよ。
まあ毒蝮三太夫に毒舌を吐かれるだけであれば、そこはガマンすれば済むのです。
しかしサンダーバード2号やゴッドフェニックスがこの扉から飛び立っていくとなると、こりゃもう、全身大ヤケドですよ。
デインジャラスなんです、デインジャラス。デインジャーゾーン。
そりゃ駅員さんも、「ここに立つのはおやめ下さい」などと哀願もしたくなるものですよ。
きっと、この扉は魔の亜空間に通じているトワイライトゾーンなのでしょう。
ほら、ロッド・サーリングがすぐそこで微笑んでいるよ……などと妄想ガンガンに膨らみきってしまったところで「あれぇぇぇ?」

あ……ひょっとしてここのことだったの?
何なんですか、このシマシマ模様は。
あ……。
ひょっとして「ここに立つのはおやめ下さい」の“ここ”って、つまりこのシマシマのことだったのでしょうか?
そりゃ確かに緊急事態にこの鉄板のフタの上に立たれていたら、下から上がってきたアラシ隊員が外に出られず、「おい、コラ、ジジイ、どきやがれ」と怒られちゃいますよね。
(あるいは出動するサンダーバード3号に吹き飛ばされちゃう)

シベリア少女鉄道の再放送

さて、空はドンヨリ、空気はムシムシとお出かけには最悪なのですが、新宿へレッツ・ゴウ。
歌舞伎町の奥にあるシアター・ミラクルで、シベリア少女鉄道の過去作品がビデオ上演されるのですよ。
「シベリア少女鉄道の再放送」(新宿シアター・ミラクル)
今回の上演作品は全部で4本。
本当は全部見たかったのですが、体力的に自信がなく、2作品を厳選したのでした。

「栄冠は君に輝く」
弱小高校野球チームが、エースの転校やマネージャーの交通事故死といった困難を乗り越えていきながら、甲子園に向かって予選を勝ち進んでいく......という、サブいぼが出てしまうほどに青春ド真ん中ストレートなストーリー。
このあらすじ紹介だけで「オレたち青春してるんだぜ」的なつまらない小芝居のようなのですが......いえいえ。
いや、確かに全上演時間90分のうち、前半60分、いや75分は小芝居です。
が、最後の最後で出たーっ!
ラストのシーンで次々と明かされる前半部での伏線の数々。
伏線といいながら、まったく伏せられていません。
「よくここまで隠しとおせたな」とビックリしてしまうほどあからさまに見せつけられているのですね。「あんな伏線」や「こんな伏線」が。
75分にも渡って用意周到にまき散らされてきたその伏線の数々が、ラストのわずか15分ほどのために結実していくさまは、もう感動ものです。
役者の動きが、役者のセリフが、ステージのセットが、それぞれ渾然一体となって織りなしてくるダブルミーニングの嵐に、観客としてはただ、ただ、爆笑するだけです。
ああ、あのセリフはこのための伏線だったのね!
うあ、あのシーンはこのために用意されてたのか!
登場人物の名前が......!

2001年に行われた第4回公演とのことで、正直なところ、役者の演技力や脚本の構成、演出などの部分にまだまだ荒削りなところが感じられます。
しかしそんな些末なことなど吹き飛ばすかのように、この時点で既に「シベリア少女鉄道」というジャンルが確立していることが確認できる傑作なのでした。
個人的には、久しぶりに秋澤弥里さんの顔が見られただけでも大満足なのですよ、もう。
シベリア少女鉄道「栄冠は君に輝く」

「残酷な神が支配する」
これはもう本公演で観ているので、ストーリーも展開も、そして驚愕のオチもすべて知っているのです。
しかし、だからこそ、余計に「再確認」という意味で観直しておきたい作品なのでした。
萩尾望都の名作をそのまんまタイトルにしていますが、内容は一切関係ありません。
ただ、ただ、「残酷な神」によって右往左往する人間たちの哀しみがあぶり出し、その「残酷な神」もまた、"ネ申"によって支配されていたという寓話のようなストーリーです。

改めて見直すと、やはり、前半のストーリー展開は"サスペンス"として秀逸ですよねー。
"論理の塔を組み立てては壊す"という、本格ミステリとしてキッチリ計算された構成の妙に「スゲーよ、スゲー」。
また2度目ということでストーリーが判っているだけに、これまた数々の伏線が仕掛けられていることにも、改めて気が付かされてしまいました。
実に細かいところまで手を抜かず、キッチリと伏線を用意しておき、それをラストの"大バカネタ"で一気に瓦解されるところは、もはやシベリア少女鉄道の十八番......というよりも本作品が今のところ、最高傑作なのかもしれません。
ただそのネタがネタであるだけに、テレビ放映やDVD発売ができないところが実にもったいないところなんですねー。
セットも豪華すぎるのので、再演も難しそうですし。
ああ、この作品は我々の記憶の底に沈み込み、このまま数ある小劇団の演劇史のなかに埋もれていってしまうのでしょうか......。
実にモッタイナイ。
シベリア少女鉄道「残酷な神が支配する」

通路のド真ん中に、黒ネコ

ムシムシと暑い朝のこと。
あちぃ~あちぃ~と汗だらけになりながら駅に向かってダラダラと歩いていると……おお?
アパートの通路の真ん中に、何かいますよ。
通路のド真ん中に、何かいるのですよ
黒ネコだぁぁぁっ!

コンクリートがひんやりしていて気持ちいいのでしょうねえ。
アパートの通路のド真ん中で、くぅくぅと惰眠を貪っているのですよ。
早く会社に行かなきゃ……と心は焦るものの、身体は勝手に黒ネコの方に寄っていってるんですよ。
今日は朝イチからやらなければいけないことがたくさんあるんです。打ち合わせも確か連チャンで……。

ま、いいか。

しかしこのクロ、豪胆な性格なのか、こうしてニンゲンが興味津々、カメラ片手に近寄っていっても、逃げるどころか、まったく起きる気配すらさせないのですよ。
近寄っていっても気付かないのか、知らんぷりしているのか、顔を上げようともしません

もしかして……死んでる……?
大丈夫なのでしょうか、ちょっと心配になってきました。
すると
ようやく目を開けました
あ、起きた。

ヤバイのです、ヤバイ。目が合っちゃいましたよ。
これまでのネコの行動パターンからすると、100%逃げていく展開ですね。
しまったぁ、しくじってしまったぜーなどとアワアワしてしまったのですが……あれ?
また寝ちゃいましたよ
また寝ちゃいましたよ。

せっかく気持ちよさそうに寝ているので、ゴールドフィンガーでメロメロにしちゃうのはやめておきましょう。
……というか、ぼく自身、そろそろマジメに会社に向かわなければ本気でマズイのですよ。

そんな訳で黒ネコとの触れ合いを泣く泣く諦めたぼく。
せめてどこまで近寄らせてくれるのか、それだけでも試してみることにしました。
レンズがくっつきそうなぐらいに近寄ることができました
……警戒心なさ過ぎです。

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