potalives R 練馬編vol.1『記号通り、ハンサムな半生』

一昨年の「FINAL」以降、単発的に公演を行ってきたものの本格的な公演は封印されてきたポタライブ。
それがとうとう! 遂に! やったぜ、ベイベー!
この春、「potalives R」として帰ってきたのでした。

今日はその復活第1弾、「練馬編」ですよ。
待ち合わせ場所の江古田駅は、西武線で池袋から10分弱のところにある可愛らしいステーション。
西武池袋線の江古田駅が今日の待ち合わせ場所
駅前には、実に素朴な商店街が広がっています。
ちょっと早く着きすぎたので、30分ばかりウロウロしていたのですが、うん!
人の生活感が溢れていて、実にいいところなんですよ。
そこにいるだけで、ホッと一息付けるように感じる、とってもステキな場所です。
とても23区内、しかも池袋のすぐ近所とは思えません。

そんな江古田の駅前にワラワラと集まった観客衆、約10名。
16時、前触れもなく突然に公演がスタートしたのでした。

案内人に引き連れられ、駅前を外れた観客を出迎えるのは......オオウ?
これまでのポタライブとは一味も二味も違うテイストの路上芝居......、いや、コント?
軽く観客のゴキゲンを伺います。
そして我々観客は案内人に引き連れられて、江古田の住宅街を練り歩きます。
江古田の住宅街の真ん中で、案内人は愛を叫ぶ

住宅街を歩きながら、"ハンサムな"案内人が語り出すその話は......女にモテる話。
ぶわっはっはっは。
すべての男子が持つ願望を、渾身の一撃で盛り込んでみました的な話が続きます。
このあたり、若手漫才コンビでもよくネタに使う"モテ話"や"恋愛モノ"なのかな、と思わせておいて、実はちょっとずつ方向性が変わってきているのですね。
ハンサムだからモテて仕方がない案内人は、行く先でキャーキャー言われてサインまでねだられます。
気さくに応じる"ハンサムな"案内人。
しかし、いくらハンサムでモテて仕方がない案内人でも、彼とファンとの間に立ちはだかるフェンスを超えることはできないのでした。
ファンと彼の間には高くて超えられないフェンスがある

ハンサムでモテる男がいくら望もうとも、「自分側」と「あちら側」の間に横たわるフェンスを超えることはできない、交わっているようで実は交わらない2つの世界観がここに現われてくるのです。
しかしながら、ハンサムでモテる案内人はそうしたフェンスを我々観客には見せないようにし、そして時には「この通り沿いに住む女は、全員抱いた」などと強がってみせます。
ところが、そんな風に彼が強がれば強がるほど、言葉の端々ににじみ出る弱さが際立ってくるのでした。
そう言う意味でも、最初に行われた路上コントでの案内人の「強がり」も、全篇に繋がる重要な伏線になっていたのかもしれません。

まさにこうなってくると、練馬の片隅、江古田で行われているポタライブのはずが、いつしかピンク・フロイドの『ザ・ウォール』の様相を呈してきたのでした。
ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』でも、主人公のロック歌手が全世界的に売れて満たされる生活を送れるようになっても、心まで満たされることがなく、徐々に破滅に向かっている男の姿を描いていたんですよね。
今回、江古田の路地を歩く彼の後ろ姿にも、観客との壁を乗り越えることができず破滅に向かった「ピンク・フロイド(『ザ・ウォール』の登場人物の方です)」の姿が重なるのですよね。
段々とハンサムな彼の佇まいや言葉の端々に、孤独がにじみ出てきているようなのでした

そんなハンサムでモテる男がなる「プレイボーイ」とは、そうした心のフェンス(孤独)の存在に耐えられて初めてなるものなのでしょう。
途中で一度、別の人物にプレイボーイとしてのバトンが渡されたのですが、やはりそのフェンス(孤独)に耐えられなかったのでしょうか、途中で退場していったのでした。
随所に笑いを散りばめられているからこそ、なおさら、案内人の持つ心のフェンスが浮き彫りになってくる作品なのでした。

笑いと言えば、出演者のミラクル☆パッションズの3人がもうやっちゃってくれています。
いきなりミラクル☆パッションズのチケットが配布され、案内人から会場へと誘われます。
しかもこの配布されたチケット、「ぴあ」のチケットで本格的なのですが、手渡されて見てみると......ぶわっはっはっは。
きったない(失礼)手書きで修整されてるんですよ。
ちゃんと公園入口ではモギリの方に半券を回収されました

その「やくもこうえん」で開催されたのは幻のミラクル☆パッションズのコント。
もう子供たちも一緒になってワーワー、キャーキャー。
大変な騒ぎになっていたのでした。
ミラクル☆パッションズのコントをいちばん楽しんでいたのは、この子供たちではないでしょうか

いやあ、ホントに江古田の住宅街っていいですねえ。
なんというか、初めて来た街なのに懐かしい。いつか来たことがあるような、そんなにおいというか、空気というか、雰囲気を醸し出しているのでした。
そしたら......あらあら?
江古田と小竹向原ってメチャクチャ近いそうです。
小竹向原って、そうです、そうです。あの「作中作中作中作中作」と目の眩むような"入れ子構造"でドギモを抜かれた名作『界』が演じられた場所なんですよ。
そうなると、今回の練馬編『記号通り、ハンサムな半生』は、小竹向原編の『界』と姉妹作品ですね......と言うと、メッチャ笑われてしまいましたよ。
いやいや、そりゃ確かに全然毛色が違う作品です。
でも『界』がしっかり者のお姉ちゃんで、今回の『記号通り、ハンサムな半生』をヤンチャな弟と考えると......ほら、ね! ピッタリでしょう?
やはり街の持つ空気が似ていると、作品の持つ空気もどことなく似てくるのでしょうか?

そういた暴走しがちな弟たちを、陰からこっそり手綱を引いていたのが青年団から参加している木引優子さんです。
一見、不思議少女的な彼女なのですが、いえいえ、あの眼力を見ているとものすごい信念の主であることが判ります。
きっとあの眼力で、やんちゃな男子どもをそれとなく判らないようにコッソリとコントロールしているのでしょう。
ああ、お母さん!
イヌも気になって仕方がないpotalives R
ほら、そんな木引さんが住宅街のなかを行けば、イヌだって注目してるんですよ。メチャクチャ胡散くさい目つきなんですが......。
そこはそれ、こういう目つきしかできないイヌなんですよ! きっと。