いつも真冬になると一斉に姿を消すネコだまりのキャツら。
もうぐっすりと冬眠をしている真っ最中なのでしょう。
きっと日差しの温かい春先になると、あちこちの土から「にゃー」「にゃー」と目を覚ましてきて、またネコだまりが賑やかになることでしょう。
ところが、どうしたことでしょう。
環境破壊が進んだからなのか、世界的な異常気象のせいなのか、あるいは地球温暖化の影響なのか。
冬眠をしていないネコがいたのですよ。
タバコ屋さんの店先で、「寒いよー、入れてよー、ねー」。

メチャクチャ覗き込んでいます。
その視線の先には……オオウ。

ヌクヌクと暖かそうに光るヒーターが室内に点っているのですよ。
きっと、タバコ屋のおばさんは、このヒーターの前でヌクヌクしているのでしょう。
シロは、その様子を羨ましげに見ているに違いありません。
いや、ひょっとするとおばさんはおばさんで、「またあのシロが来てるわ。ホント、しつこいのよねえ」と店のなかから様子を伺っているのかもしれません。
おばさん対ネコの一騎打ち。
巌流島での武蔵と小次郎の決闘のような緊迫感。
この勝負、一体どちらが勝つのでしょうか。
お客さんが店のガラス戸を開けた瞬間にシロが店のなかに駆け込むのが先か、それとも寒さに耐えられなくなって店先から去っていくのが先か。
尋常ならない空気が店先と店のなかから流れ出してくるのです。
じっと勝負の行方を見定めようと立ち止まっていると……あ。

こっちに気が付きました。
しまった、逃げられるかなと身構えると(← それが余計に逃げられる空気を作り出す)、あれ?

「にゃあ」とこっちにやって来たのでした。
よおし、久々のゴールデンフィンガーのテクでメロメロにしてやるぜ。
ほおら、ノドをゴロゴロ、ゴロゴロ……。

「あひぃ、気持ちいい」
はっはっは。
一触撃沈、ぼくのゴールドフィンガーテクはここに健在なのです。
メロンメロンになってしまったシロちゃんは、このまま敢えなく昇天……するはずが、あれ?

いやーん、何だかスゴイ目で睨まれちゃいましたよ。
そして、そのまま「にゃあ」といいながらまた、タバコ屋さんの店先に戻っていったのでした。

やはり指先だけの温かさよりも、ヒーターの醸し出す暖かさの方が魅力的なんですね……。
