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リタイヤしながら復活。ポタライブワークショップ中級「6.戯曲」

昨年10月から始まったポタライブのワークショップ中級篇に「リベンジですよ、リベンジ。」なんてエラソーなことをのたまいながら2度目の参加をしていたはずのぼく。
なのに……すんません!
ちょいとオシゴト上で異動などという変化があり、そのため余裕がなくなってしまい、「2.稽古」まで参加したところで、あろうことにリタイアなんてしてしまっていたのですよ。

ホントにスンマセン!

しかし、「6.戯曲」「7.本番」に出てみませんか?とのお誘いを頂いたので、厚かましくもノコノコとお伺いさせていただいたのでした。
いや、まあ、オシゴトの方も2ヶ月経ってかなり落ち着いてきたので……などとちょっと言い訳してみたり。

今日の内容は、まず参加者3名による作品のプレゼンを見ることから始まります。
その後、プレゼンを見て「この作品に出演したい!」と思ったもの決めるのです。
出演を決めた作品は、ワークショップ最終回となる「7.本番」で、実際にお客さんに来ていただき、発表します。
しかしこれがもう力作揃いで、作品プレゼンを見ているだけなのに、もうお腹いっぱい状態です。

まずは、ダンサー青山るりこさんの作品です。
今回の作品は、“人生”という目に見えない時間の長さを、目に見える“距離”に置き換えて振り返るものです。
波瀾万丈の人生の途中には、「オレの屍を乗り越えていけ」的なイメージが喚起されるシーンもあり、なかなか面白いですよ。
オレの屍を乗り越えていけ、そして踊れ
なぜか青山さんとはポタライブ公演でご縁が続いており、結果的に「専属カメラマン」みたいになって色々と写真を激写させていただいています。
(また今回も写真が増えました)

続いては、終わってみると実に上演時間が1時間40分と、通常公演1本分の時間を掛けて駒場の街をまわった“お散歩”作品です。
非常にストレート、真っ向勝負のお散歩作品でありながら、とんでもなくビックリすること間違いないオチが用意されていて、お散歩好きにはたまらなく楽しい作品であること間違いないです。
ときには地図にない道を行き、ホームストレートでラストスパートを掛ける

しかし駒場の街を1時間40分掛けて歩いたぐらいで驚いていてはいけません。
今日最後のプレゼンは、渋谷から駒場の街まで歩くという、とてつもない超大作が登場したのでした。
渋谷から駒場にかけてがファンタジー小説のような架空の王国となり、参加者はプレイヤーとして、幾多の困難を乗り越えながらゴールを目指すという、リアルRPGとでも言えばいいのでしょうか。
バスに乗ったりしながらも、ラストのご褒美目指して何時間さまよったことか……

3本のプレゼンが終わったところで「では、出演したい作品を決めてください」。
別に3本とも出演してもいいのですが、発表は来週ですよ。
準備期間が全然間に合いません。そんな訳で1本を厳選です。
ええ、もう悩みに悩んで決めました。
こちらの作品でよろしくお願いします。
(どちらだ?)

決まったところで出演プランの披露。
実際にその場所に立って「こんなことをしたいです」。
それを見てもらい、「なるほど、なるほど」と作品内に組み入れてもらいます。
そんなこんなでもう来週の日曜日には、実際にお客さんに来ていただいての発表を行います。
稽古してる時間はほとんどないですよ……。
なんとかみんなの都合をつけて、前日の土曜日に稽古とリハーサルを行うことにしたのでした。

そんな訳でお疲れさまでした!
終わってみると、実に今日1日で10キロも歩いていたことが判明。
うひー、どおりで足やら腰やら全身の筋肉が悲鳴を上げている訳ですよ。
家に帰ってから、筋肉の疲れをほぐそうと1時間ほど風呂で湯に浸かっていたのですが……はぐぁっ!
突然にこむら返りなんて起こしてしまいましたよ!
しかも場所が、これまで経験したことのない「ヒザの裏側のスジ」などというマニアックな部位。
ひぃぃぃ、攣る、攣る、攣る、攣る、攣る……。
湯船の中で悶絶してしまっていたのでした。
身体鍛えなくちゃ。

ひょっとこ乱舞『愛にキて』(王子小劇場)

ひょっとこ乱舞の笠井里美さんから、公演のご案内メールをいただきました。
ひー、危うく見逃してしまうところでした。
すみません、すみません。でもありがとうございます。
そんな訳で、慌てて王子小劇場にレッツゴウしてきたのでした。

しかし王子小劇場って始めていくところなんですが、場所、判るでしょうか。
前の夜、Webサイトで地図を見てみると、なんだ。駅からすぐのところじゃないですか。
だったら楽勝ですよ、ラク勝。楽ショー。ラクShow。

......なんて、王子をナメてかかっていてはエライ目にあうのでした。
何しろ、駅前といえども細かい雑居ビルが多すぎるのです。
どこよ、劇場は......と手がかりを求めて、駅前の大きな道路を行ったり来たり。
ウロウロすること、およそ数往復。
ようやくみつけた入口は、こんなところにあるのでした。
王子小劇場の入口は......どこですか?
ってどこですか!?
ここですよ、ここ。
王子小劇場に入口は......ここでした

ここが王子小劇場と判る案内は、たったのこれだけなんです。
「王子小劇場」と大々的に名前を出すのは、何かマズイ事情でもあるのでしょうか。
きっとウラの事情があって、それで劇場入口はリサイクル店でカモフラージュしているのですよ......って、ハングマンじゃないんですから!
(ハングマンがカモフラージュしていたのはタクシー会社です)

今回は、たまたま行くのがマチネ公演だったからよかったのです。
もしこれがソワレ公演だったら、絶対にこの劇場入口は見つけられなかったことでしょう。
皆さんも、リサイクルショップにカモフラージュされた王子小劇場には、くれぐれもお気を付けください。
......って、こんなに迷ったのってぼくだけでしょうか。

そんなトラブルなんて何もなかった顔をして、観に行ったのはひょっとこ乱舞の『愛にキて』です。
ひょっとこ乱舞『愛にキて』

会場に入ってまず驚いたのは、「セットがあるよ」。
ひょっとこ乱舞といえば、これまで観に行った2回とも、ステージにはセットらしいセットがなかったのですよね。
だだっ広い空間を、役者たちが縦横無尽に走り回る圧倒的なパワーで観客を圧倒するのが、その特徴だったのでした。
下手にセットなんて設置しても、役者たちの動きを封じ込めてしまうだけなんですよね、きっと。

それが今回のステージはどうでしょう。
木製のオブジェが、ステージの両端にまでいっぱい、そして天井高くまで備えられているのです。
だから、ステージ空間なんてわずかしかありません。
いや、通常のステージであればこれだけのスペースがあれば十分でしょう。
が、ひょっとこ乱舞には狭すぎますって。

実際、始まってみると「やっぱり」。
セットを設置してスペースを削ったからかどうも役者の動きが押さえつけられているように見えてなりません。
その分、随分と登場人物によるストーリーの背景説明が多用されています。
この方法は、明らかに前回の『トラビシャ』でも使われていたものですよね。
『トラビシャ』のときは、その内容が「"演劇"という枠組みを破壊する」という実験的なものだったので必要な方法だと思うのです。
しかし今回は、そんな実験的な作品ではないようなのです。
正直、今回観に来たのは失敗だったかな......と思っていたのですが、おいおい。

失敗どころか、これは最高傑作じゃないですか! スゴイのですよ、スゴイ!

確かに前半は物語が説明的だし、エピソードもバラバラでつながりがよく判らない。
それが、中盤あたりでバラバラだったエピソードがひとつに集約していくあたりで話の流れが変わってきます。
それまでバラバラに披露されてきたエピソードが、伏線として効果的に回収されていくのですよ!
一見無関係だと思われていたエピソードや物語背景も、ストーリーとして、また登場人物のセリフの中で伏線として回収されていくこの小気味よさったらありゃしません。

そしてクライマックス。
ここで、大きく散りばめられてきた伏線がキレイに回収され、そして隠されてきた感動的なエピソードが用意されているのです。
この時点でぼくのマナコからは大量のお水が止めどなく流れ出してしまって、モウ大変。
さらには主人公の夫婦が再会するシーンにおいては、「ウソ......」。
ひょっとこ乱舞が今回、ステージにセットを用意したその訳は、このシーンのためにあったのではないでしょうか。
見えたのですよ、確かに。街のシンボルが。その下を走る大きな道路が。その幅の広い道路を挟んで叫びあう夫婦の姿が。
やられました。

これで終わるのかと思いきや、まだエピソードが残されていました。
劇団員全員による迫力ある「動」が一転して落ちる「静」。
もしこれがテレビだったら、放送事故かと思うような緊迫感溢れる静けさを前に、観客はなすすべもなく見守るしかありません。
やがて少しずつ見えてくる動きがちょっとずつ大きくなっていって、そして、あっという間に針は振り切れてしまいます。
緊張感を保ったままの「動」に、観客は居心地悪い思いを禁じ得ません。
このまま終わっちゃうとイヤだよなあ......と思っていたところで、最後の最後。
残されていた伏線が、横手からスッと回収されたのでした。
収まるべきところに収まる見事な回収。
残っていたパズルの最後の一片が、ピタッと収まったようなそんなステキな伏線の回収。
ああ、これはもう卑怯です! 禁じ手です! でも泣いちゃいます!

とにかく、こんな名作をひっそりと終わらせてしまうのはもったいない限りです。
ぜひとも、この作品はひょっとこ乱舞としての代表作として、大々的に世に問うてみて欲しいものですね!

蘇部健一のひみつで営業まわり

ジュンク堂池袋店の文庫コーナーをプラプラ見て回っていると......何デスカ、コレハ!?
ナゾの物体が文庫本棚に置かれてあるのですよ。
手作り感溢れる、ナゾの販促グッズ
野球のボールのようなものにヒモがくくりつけられていて......手作り感満載です。
店員さんがつくった販促グッズなんでしょうか。

しかし、それにしては肝心の本がよく見えません。
一体、何の本なんだろうと、思いっきり背伸びして、よくよく見てみました。
すると......おおう、これは!
どうやら蘇部健一の文庫化された『届かぬ想い』のようです
蘇部健一の文庫化された『届かぬ想い』のようなのです。
「ようなのです」って......。だって見えないんだもん。
販促グッズのはずなのに、何の本なのかよく判らないという矛盾した存在感。
別の本が差し込まれていても判らないのですよ。

きっとこの手作り感あふれるグッズは、蘇部健一本人がつくって、そしてご自身で営業まわりで持ってこられたものに違いありません!
前回の『六とん2』のときも、ぬいぐるみこそ講談社持ちだったらしいのですが、手作りの本を置く台を抱えては首都圏のあちらこちらの本屋さんをご自身で営業されていたようなのですから。

しかもこの本、よくよく見るとシュリンクされています。
ということは、サイン本!
蘇部健一のサイン本!
わぁおぉぉぉうー!
これはある意味、すさまじく貴重本ですよ!
『六とん』好き、蘇部健一好きのぼくが言うのですから間違いありません。
(そんなぼくしか言わないのかもしれませんが)
これは買いです、買い。全力買い。
さらには、それでなくても貴重な蘇部健一のサイン本なのに、たった5冊だけしかないのですよ。
もう早い者勝ちですって!

しかし、そこに落とし穴は待ち受けていたのでした。
このナゾの販促グッズに差し込まれた本のシュリンクをよくよく見ると......

この『届かぬ想い』は蘇部健一からのカード付きのようなのでした
カード付。

何なんですか、"カード付"って。
蘇部健一のカードって......想像も付きません。
想像を絶するナゾのカード。一体どんなカードなのでしょうか、気になります。メチャクチャ気になりますって。
サイン本ならともかく、ナゾのカード付きとは......。
気にはなるものの、そこはいい意味でも、そして悪い意味でも蘇部健一。
我々の想像を大いに絶することをやらかしてくれてもおかしくはありません。
だって蘇部健一ですよ、蘇部健一。
ファンであっても丁か半かの大バクチ。
しかしカード付きのナゾのシュリンク本は、わずか5冊しかないのですよ!
ああ、悩む......。

......。
悩むこと約10分。ぼくにしては驚異的な長考です。
決めました。
男なら、勝負すべきときに勝負しなければならないのです!
孤高の蘇部健一ファンは、ファンとして決断しなければならないのです!
行くよ、ぼくは! おおう!
......そんな訳で、ぼくはお店を手ぶらで出たのでした(おい)。
だって、もともとこの本は講談社ノベルスで出たときにすでに読んでいるんだもん。

あ、一応サイン本もたくさんありました。
平台に積み上げられたこの本全部がシュリンク本で、サイン入りのようです。
平台に積み上げられた蘇部健一のこの本全部、サイン本
しかし......

"サイン本"の文字、小っちゃっ!

通常、サイン本だったら、もっと大きく目立つように「著者サイン本」と書かれています。
だってサイン本ですもの。
プレミアものなんですもの。
ファンにドカドカ買っていって貰いたいものですもの。
なのにこの『届かぬ想い』ではどうですか。
"サイン本"の文字の小ささ......。
しかも殴り書きみたいだし......。
なんだか、嫌々ながらも並べてみました感がヒシヒシ伝わってきているような気がするのは気のせいでしょうか?

しかし、いくら嫌々ながらも並べてみたとは言え、サイン本はサイン本。
しかもこれだけのサイン本の数に対して、"カード付"はわずか5冊ということは、断然、"カード"が大プレミアということになりますね!
グリーンジャンボ宝くじを2枚ほど買う数を減らして、この『届かぬ想い』の"カード付"の方を買えば、ある意味、人生という名の宝くじが購入できるのかもしれません。

......って、何だか好き勝手に散々なことを書いているようですが、いえいえ。
ぼくはホントに蘇部健一のファンです。

バレンタイン・ミステリ(三重密室の謎)

お願いです、誰かこのナゾを解いてください……。

今日は男子も女子も浮かれポンチなバレンタイン・デイ!
ぼくだってウキウキワクワクしながら会社に行ったんです。
席に座って「さあ、女子諸君。恥ずかしがらずにみんな寄っといで」オーラを全開にしたのですが……誰も来ません。
いつもだったらまずは朝イチのコーヒーを買いに行くところをガマンして、席に座っています。
トイレに行きたくなってきました。それでもガマンして席に座っています。
それでも誰も来てくれません。

そのうち始業時間になってしまいましたよ。
仕方ありません、「ううん、もう。みんなシャイなんだから……」と思うことにしました。
オシゴトに取りかかろうと、机の引き出しに掛けてある鍵を開けました。
確かにこの手で鍵を開けました。

すると、そこにあったのは……チョコの包み?
引き出しのなかに?
鍵が掛かっているのに?

確かにチョコの包みが引き出しのなかに置かれてあったのですよ。
鍵が掛かっている引き出しですよ。
どうして……と思ったところで、「あ、そうか」。
合い鍵ですよ、合い鍵。
もしものときに備えて、女子チームのみんなと総務の女の子が机の引き出しの合い鍵を持っているのです。
その合い鍵を使って引き出しを開けて、チョコを入れたに違いありません。
ホント、シャイなんだから……。
しかしこれ、誰から?

名前はどこにも書かれてありません。
そもそも、義理チョコなんだったら堂々と渡してくれればいいものを、こんな風にコッソリ渡すと言うことは……あれ?
マジですか?
義理じゃないんですか?
本気ですか?
本気と書いてマジと読むのですか?
うひひひひ。

だったらソッとでもいいんです、名乗り上げてくださいとばかりに、コソコソ1人になる機会をつくってしまうところが男の哀しい性(SAGA)。
トイレに行くにも「さあて、トイレに行ってこようっと」。
昼休みには「さあて、メシでも食いに行こうかなあ」。
不自然に独り言が多くなっていますよ、オレ。
しかし誰も名乗り出てくれません。
ううーん、イケズー。一体誰なのよ。

そうか!
オシゴト中は周りにみんなの目があるから、きっと終業後にコッソリ名乗り出てくれるに違いありません!
うひひひひ。
だったら、なるべく遅くまで残るようにしましょう。
今日しなくてもいいことまで片付けていっちゃいます。驚異の作業効率です。恐るべき生産性。
そんな来週やるはずのオシゴトを片付けながら、周りの様子を見ていると……おい。
みんな帰っちゃいましたよ!

これはどうしたことでしょう。
そうか!
会社では周りにみんなの目があるから、きっと外でぼくが出てくるのを待っているに違いありません。
こんな寒いなか、あまりに待たせてしまうのは気の毒です。
ああ、こんな時間になってしまっていますよ。風邪を引かせてしまっては申し訳ないのです。
ヤバイのです、ヤバイ。
そんな訳で急いで会社の外に出てみたのですが……おい。
誰もいませんよ!

いや、ひょっとしたら駅にいるのかもしれません。
最寄り駅の改札口でキョロキョロしてしまったのですが、ウワーン、待ち合わせしているアベックばっかりで、ぼくの待ち人(ぼくを待つ人)はいないのですよ。
からかわれたのかなあ、明日みんなに「実はずっと見てたんですよ」って笑われるのかなあ、とモンモン。
遂に家に帰ってきてしまいました。

さて、問題は相方です。相方。
彼女にこのチョコを見せるべきでしょうか。
うーん、ここにきてまだ悩んでしまっているのが、哀しい男の性(SAGA)。
とりあえずカバンの奥深くに仕舞い込み、しかし見つかっても隠しているようには見えないようにさりげなさを装うことにしました(かなりイヤラシイ)。

「ただいまー」と家のなかに入ると、「おかえりー」とニヤニヤ笑っている相方。
チェシャ猫か。
相方は最大限に浮かべたニヤニヤ笑いを隠そうともせず、「チョコ、どうだった?」と訊いてきました。
「うん、義理チョコ、ギリギリかな」。我ながら意味不明な苦し紛れのダジャレです。
すると相方は

「引き出しにチョコ入ってなかった?」

ドキィィィィ! なぜにそれを?
もはやバレてしまっていては仕方ありません。「どうして判ったの?」と訊くと、相方は澄ました顔で

「だってあれ、私のチョコだもん」

……え?
「ほら」とレシートを見せてくれました。
おお、どうやら本当に彼女が買ったもののようです。

相方曰く、毎年、家でチョコを渡しても、ぼくは「ふうん、ありがと。」とあまりに素っ気ないので、今年はギャフンと言わせてやろうと思ったらしいのです。
ええ、ええ、もう思う存分ギャフンと言わせていただきましたよ。
だからお願いです。教えてください。

「どうやって会社の建物に入って、部屋に立ち入って、引き出しの鍵を開けて、チョコを置いたの?」。

これって、いわば三重の密室じゃないですか!
「みえ」じゃないですよ、三重。「さんじゅう」ですよ、「さんじゅう」。3つ重なっているんです。
(判りますって)

相方は、ぼくの会社のことをまったく知りません。
会社がある住所すら知らない可能性が高いのです。
それに、会社だって社員証か入館証がないと建物に入れませんし、さらには部屋にも入れません。
社員に知り合いがいるはずもありませんから、あらかじめチョコを渡して、置くようにお願いをすることもできません。
いや、もし仮に知り合いがいたとしても、引き出しの合い鍵を持っている人は限られるのです。
そんな身近に、相方と知り合いがいるなんて聞いたことはありません。
合い鍵を持っていない社員でも、あるいはぼくが持っているホンモノの鍵を渡して置くようにお願いすることも考えられますが、いえいえ。
置くとすれば昨日の夜ですが、会社を出てから、今日、会社に行くまでの間ずっとぼくが鍵を持っていました。

まさかこれだけのために、合い鍵をつくっておいて誰かにお願いした……?
それはいけません、ダメです。
そう言うと、「そんなことはしません」。
会社に無断侵入したり、勝手に合い鍵を作成したりといった“悪いこと”はしていないということで安心です。
しかしそこはそれ、どれだけお願いしても、彼女がどうやって引き出しにチョコを置いたのか教えてくれないのですよ。

そんな訳でさらにモンモン度がアップしてしまって悶絶してしまっている今日の夜。
お願いです、誰かこのナゾを解いてください……。

ちなみに、バレンタイン・ミステリ、お騒がせの中身は「いちご大福のカカオパウダー掛け」でした。
悔しいけど、メチャウマです。
バレンタイン・ミステリ、お騒がせの中身は「いちご大福のカカオパウダー掛け」でした

冬眠しなかったネコ

いつも真冬になると一斉に姿を消すネコだまりのキャツら。
もうぐっすりと冬眠をしている真っ最中なのでしょう。
きっと日差しの温かい春先になると、あちこちの土から「にゃー」「にゃー」と目を覚ましてきて、またネコだまりが賑やかになることでしょう。

ところが、どうしたことでしょう。
環境破壊が進んだからなのか、世界的な異常気象のせいなのか、あるいは地球温暖化の影響なのか。
冬眠をしていないネコがいたのですよ。
タバコ屋さんの店先で、「寒いよー、入れてよー、ねー」。
タバコ屋さんの店先でメチャクチャなかを覗き込んでるネコ
メチャクチャ覗き込んでいます。

その視線の先には……オオウ。
ネコの視線の先にはヌクヌクと点るヒーターが……
ヌクヌクと暖かそうに光るヒーターが室内に点っているのですよ。

きっと、タバコ屋のおばさんは、このヒーターの前でヌクヌクしているのでしょう。
シロは、その様子を羨ましげに見ているに違いありません。
いや、ひょっとするとおばさんはおばさんで、「またあのシロが来てるわ。ホント、しつこいのよねえ」と店のなかから様子を伺っているのかもしれません。

おばさん対ネコの一騎打ち。
巌流島での武蔵と小次郎の決闘のような緊迫感。
この勝負、一体どちらが勝つのでしょうか。
お客さんが店のガラス戸を開けた瞬間にシロが店のなかに駆け込むのが先か、それとも寒さに耐えられなくなって店先から去っていくのが先か。
尋常ならない空気が店先と店のなかから流れ出してくるのです。

じっと勝負の行方を見定めようと立ち止まっていると……あ。
ネコに気付かれてしまいました
こっちに気が付きました。

しまった、逃げられるかなと身構えると(← それが余計に逃げられる空気を作り出す)、あれ?
「よう、ちょっと聞いてくれよ……」とやってきたのでした
「にゃあ」とこっちにやって来たのでした。

よおし、久々のゴールデンフィンガーのテクでメロメロにしてやるぜ。
ほおら、ノドをゴロゴロ、ゴロゴロ……。
ゴールドフィンガーテクでノドをゴロゴロ
「あひぃ、気持ちいい」

はっはっは。 一触撃沈、ぼくのゴールドフィンガーテクはここに健在なのです。
メロンメロンになってしまったシロちゃんは、このまま敢えなく昇天……するはずが、あれ?
「何だよー、もういいよー」
いやーん、何だかスゴイ目で睨まれちゃいましたよ。

そして、そのまま「にゃあ」といいながらまた、タバコ屋さんの店先に戻っていったのでした。
「じゃあな、あばよ」
やはり指先だけの温かさよりも、ヒーターの醸し出す暖かさの方が魅力的なんですね……。

書店の販促POPって店員の作品ですね

いつも行く本屋さんなので、前からあったら気が付くはずです。
しかし全然覚えがないのです。
だからきっと、最近つくったばかりなのでしょう、ものすごくインパクトのあるPOPが飾られてあるのを見つけました。
直木賞を受賞した、桜庭一樹『私の男』の販促POPです。
すごいPOP

うーん、スゴイのです、スゴイ。
これはスゴイじゃないですか、ムダにスゴイのです(← もちろん褒め言葉ですよ!)。
どうですか、このチカラの入れよう。
アップにして見比べてみましょう。
アップにして見比べてみました
この絵に込められた思いに、我々客は、ただ、ただ、圧倒されるしかありません。

そもそも販促POPは、文字通り「販売促進」のためにあるものですよね。
だから通常、本屋さんでよく見かける販促POPは、「この本はこんなに面白いよ!」「直木賞受賞作だよ!」「イチオシで売れているよ!」「買わなくちゃ遅れちゃうよ!」とあの手この手の売り言葉で、何とか客に本を売ろうとアピールしてきます。

しかしこの販促POPはどうですか!
いつもの販促POPにありがちなあの手この手の押しつけがましい売り言葉がまったくありません。
一番下に小さく押さえ込まれるように一文だけが添えられているだけです。
なのに、この存在感。
なのに、この圧倒感。
何なんですか、この気迫は。
目に付いたときから気になって仕方ありません。

販促POPって、いわば店員さんの「作品」だと思うのですね。
どうでもいい本や売らざるを得ない本のPOPを描いた場合、どうしてもそうした「どうでもいいや」といった思いがにじみ出てきていると思うのですね。
しかしこのPOPの場合は違います。
きっと店員さんはまず、『私の男』を読んで感じた熱い思いを、どうすれば伝えられるか、考え抜いたことでしょう。
そして、それがもっとも形にできると思ったのが表紙だったのかもしれません。
ただ、そのまま表紙をコピーして貼り付けても思いは伝わらないと考えたのでしょう。
自分自身の手によって、POPに絵を、自分自身の解釈で描いていったのでしょう。

観察→選択→構成。
おお、ポタライブですよ。
そうか、だからきっとこのPOPは作品として店員さんの熱い思いが伝わってきているのですね!
なるほど。

やっぱりPOPって、そのお店の顔じゃないかと思うのですね。
出版社から送られてきたものをそのまま使っていると、どうしてもあざとさが目に付いてしまうのです。
特に、最近流行りの手書き風に印刷したPOPなんて、"客をダマシに掛かってるな"なんて思えてなりません。
しかし、こうした店員さん個人の熱い思いが伝わる販促POPがあると、「今度はどんなPOPがあるのかな」と、お店に通う楽しみが増えるのですね。
今後もこのPOPを描いた店員さんのPOP作品を楽しみにしましょう。

円城塔サイン会(リブロ渋谷店)とおまけの新作短篇

今日は、渋谷のリブロへレッツゴウ。
円城塔が、その衝撃的デビュー作である『Self-Reference ENGINE』に次いで、ようやく2作目となる 『Boy's Surface』を出版した記念のサイン会があるのですよ。

しかし昨日から、いや、今週ずっと天気予報では、週末にまた関東地方では大雪が降るとかなんとか言って、サイン会に行こうとしているぼくにメチャクチャ脅しを掛けてくる訳なんですよ。
そんなに雪を降らせたいですか。
そんなにサイン会に行かせたくないのですか。
海は死にますか。
山は死にますか。
風はどうですか。
空もそうですか。
教えてください。

朝......というよりもう真っ昼間。起きるなりドキドキしながら窓の外を見たのですが......やったね!
曇天ながらも、何とか雪は降らずに済んでいる模様です。
そんな訳で、天気予報の嫌がらせにも負けることなく、ぼくは無事にリブロに到着したのでした。
......というか、無事に到着しすぎです。
サイン会は「14時開始」なのに、その1時間も前に着いちゃいましたよ。
仕方ありません、近くの本屋をブラブラするか、と店の外に出ました。
しかしもうブックファーストはありません(いや、小さな店にはなったけど、まだありますって)。
久々に青山ブックセンターの渋谷店に行ってみよう!と、渋谷センター街の方に足を伸ばしてみると......ナントイウコトデスカ!?
HMVと同じビルに入っていたはずの青山ブックセンターが、なくなっているのですよ!
かつて青山ブックセンターがあったフロアには、ビル内での勢力を伸ばしたHMVが居座っています。
青山ブックセンターが撤退したことを知らずに来た客のためなのでしょうか、フロアの片隅には申し訳程度に雑誌や単行本を並べられているだけだったのでした。

旭屋書店に始まって、ブックファースト、そして青山ブックセンターと閉店が続いている渋谷の巨大本屋さんたち。
もう本当にブラックホール状態じゃないですか。

ショックのあまり茫然自失状態で街中をさまよってしまいました。
でも、それがよかったのでしょう。フト気が付くと、もうサイン会が始まる5分前ですよ。
リブロに戻ったところで「ウワオゥ」。
すでに長蛇の列ができていました。
最後尾に付いたのですが......まだまだ列は伸びました
人数としてはそんなに多くはないように見えます。
しかし円城塔のサービス精神なのか、サインを丁重に書いている様子が伺えます。
「出遅れてしまったぜ......」と悔やみながら最後尾に付きました。
しかしその後も、ぼくの後ろにヒトがどんどん並んでいる気配がします。
何気なく後ろを見てみると......ウヒャ。
さほど列は前進していないのに、いつの間にかぼくは真ん中当たりに並んでいることになっているのですよ。

そんなこんなで待つこと約30分、いよいよぼくの順になりました。
用意されたイスに座りながら、「お願いします」。
するとヘルプの方から「こちら、本日のおまけになります」。
お土産のA4用紙
何やら1枚のA4用紙を渡されました。

「今から、こちらの用紙について説明させていただきますが、よろしいでしょうか」
「はい......」

その間、円城塔は無言でサインを書いてくれています。
妙といえばメチャクチャ妙な光景でしょう。

「こちらは、円城塔の新作短篇になります」
「......マジっすか!?」
「マジっす。この紙をまず2つ折りして、裏面をキッチリ糊付けしてください」
「はあはあ」
「そして、2つ折りした紙を、線に沿ってすべて切り離してください」
「なるほど」
「で、切り離した紙を順に積み重ねて真ん中で綴じると......」
「綴じると?」
「このような豆本ができあがります」
新作短篇は自分でつくる豆本なのでした

おおう、なんとグレートなお土産!
これは円城塔がブログで紹介していた「40p 中綴じ本A4一枚(組み立てるの面倒くさかった)」というヤツですね。
これは確かに「組み立てるの面倒くさかった」という意味も判ります。
ぼくだって組み立てられませんって。
いやいや、「面倒くさい」からではありません。ぼくが「ホームラン級の不器用」な人間だからなんです。
(高倉健ではありません ← 当たり前です)
下手に切り貼りなんかしようものなら、もう目も当てられないことになってしまいそうです。
うーん、仕方ありません。
このお土産はそのまま置いておくことにします。
いや、本にしてしまった方が保存しやすいことは判っているのですが......。
で、読むときはページ番号を探しながらそのまま読んでいくことにします。
(それもそれでどうかと)

で、こちらがヘルプの方とやり取りしている間に淡々と書いていただいたサインです。
奇跡のデビュー作である『Self-Reference ENGINE』にも書いていただきました。
"円城塔"の名前どおり、円形の城塔のイラストが描かれているのがお茶目ですよね。
円城塔のサイン入り『Boy's Surface』

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