1日だけの本屋さん「ブックスゴニングミ」東京店

小説家の柴崎友香、長嶋有、福永信、そしてデザイナーの名久井直子と画家の法貴信也と、豪華メンバーの同人グループなのが「ゴニングミ」です。
その「ゴニングミ」が出した同人誌の創刊号「メルボルン1」を、今はなきブックファースト渋谷店で見かけて興奮していたのが、今から1年ほど前のことですよ。
そして今回、創刊第2号の「イルクーツク2」が完成し、京都の書店から順に売り出しが始まっていったのでした。
今日は、「ゴニングミ」のメンバー自身の手により、その「イルクーツク2」の販促イベントが青山ブックセンターで行われるということで、レッツ・ゴゥ、行ってきたのでした。

実は今回の販促イベントは、もともと18時からメンバー全員によるトークショーがあったのでした。
ところが、このトークショー、なんと参加受付を開始したその日のうちに満席になってしまったのだとか。
申込日当日は仕事の関係ですっかり電話を掛けるタイミングすら逃してしまっていたぼくとしては、悔しいったらりゃしません。
しかしお店の方によると、「ゴニングミ」のメンバーはお昼からずっと、18時のイベントが始まるまでお店にいて別のイベントも行います、ぜひこちらにお越しください、とのことなのです。
その名も「ブックスゴニングミ」東京店
「ゴニングミ」のWebサイトや、長嶋有のメルマガの告知によると、

入場料・無料
東京にて「イルクーツク2(Иркутск2)」を初披露、販売!
ほか、同人五人の著作を、同人自らが販売します。
手の空いてる同人とおしゃべりしたり、読者同士で歓談したりできる不思議な書店です。メルボルン1閲覧コーナーもあり。
法貴信也の原画も展示。
トークショーは完売しているのですが、「ブックスゴニングミ」は、トークではなく書店が「面白い」し、同人も力を入れているところなのです。ぜひ、書店にお越しください。

なのだそうです。
これはもう行かねばなりませんよね!

そんな訳で到着した青山ブックセンター青山本店。
立て看板の案内によると、「ブックスゴニングミ」会場は、店内の奥、しかもひっそりと隅にある会議室(みたいなところ)のようなのです。
「ブックスゴニングミ」開催会場前
ね! どうですか、この雰囲気。
「関係者以外立ち入り禁止!!!!!」といったオーラがプンプンと漂ってきていて、なかなか一歩を踏み出す勇気が出てきません。

悩むこと数十秒(はやっ!)。
こんなところ(店の奥の片隅)でクヨクヨ悩んでいても始まりません。
失礼しますよ......とおそるおそる室内に顔を突っ込んでみました。
すると......オアゥ、暑い!
暑いのです、メチャクチャ暑い。室内はものスゴい熱気です。
見ると、さほど広いとは言えない会議室(みたいなところ)のなかに人がギッシリいるではないですか。
会場外に漂っていた「関係者以外立ち入り禁止!!!!!」のオーラは、部屋の外だけのようなのでした。

しかし、そんな入口から顔だけ突っ込んでキョロキョロしている野郎の存在がさぞかし変だったのでしょう。
会議室(みたいなところ)のなかにいた青山ブックセンターのエプロン姿のヒゲモジャ男性と目が合い、 「いらっしゃいませ、どうぞー」なんて言われてしまいましたよ。
「どうぞー」って、えらくまたフレンドリーな店員(しかもヒゲモジャ)だなあ、さすがは青山ブックセンターだなあ......と思ったところで

長嶋有じゃないですかっ!

なんと!
長嶋有自身が、お店のエプロンを付けて会場入口で来場客ににこやかに挨拶しているのですよ。
「ヒゲモジャの店員」だなんて思ってしまってスミマセン。

その長嶋有の傍らでは、同じくお店のエプロンを着た方々が、置かれてある長机に思い思いのところから向かって何やら作業をしているのです。
POP下記の作業でもしているのかな......と何気なく覗いてみると、どうも皆さんは「サインのようなもの」を書かれているではないですか。
そして書かれている名前は......

柴崎友香、福永信、名久井直子、法貴信也

ドシーッ!
「ゴニングミ」のメンバーがこんなところにいたー!
メンバーの皆さんがファンからのお願いに応じて、長机のスペースを利用してサインを書いているのでした。
しかしこれはサイン会ではありません。
よくあるサイン会でのヒトコマのように、流れ作業で次々とファンにサインを書いてこなしていくのではなく、「サイン」という触れ合いを通じてファンと作家が会話を楽しむイベントなのです。
5人もサインをするのですから、サイン場所に気を配ったり、最初にサインを担当する方が為書きを書いたり......と、サインの様子だけでも楽しいひとときです。
その上さらには、作家の皆さんとの話が楽しめるのですから、こんな贅沢はありません。
そんなわけでぼくもお話をさせていただきましたとも。
(以下、いきなり"さん付け"で)

福永信さんには、「長嶋有さんと連名で書かれていた、かなり変則的なサイン本を買いました」とお話しすると、

「ああ、あれはですね、返本対策用なんですよ......」

通常、本にサインをしてしまうと本屋さんは出版元に返本することができません。
ところが以前のこの形式のサインであれば、付箋部分をはがすだけで返本ができるようになるという、そのためなのだそうです。
「いや、ぼくが購入したのは最後の一冊でしたよ」とお伝えするととても嬉しそうに「そうですか!」と喜んでおられました。

デザイナーの名久井直子さんには、「イルクーツク2」の見所を教えていただきました。
曰く、

  • 今回の装丁がまったく前号と違うのは、毎号ごとに趣向を変えようとしているからなんです
    (また次回もお楽しみに)
  • ただし今回は装丁が豪華になってしまった分、値段が高くなってしまってスミマセン
    (でも儲けは全然ないんですよ)
  • 「小口」部分を見てください。シマ模様が浮かび上がのも装丁のひとつなんですよ
    (ホントだ)
  • 本の中に紙を挟み込んでいるのですが、これはメンバー全員がせっせと貼り付け作業したものなんですよ
    (この紙の挟み込みの仕掛けは物語とリンクしているそうです)

長嶋有さんにも、「山崎ナオコーラさんとの連名のサインが素敵でした」とお話しすると、「ナオコーラさん、今日も来ていらっしゃいますよ。どこか店の中にいるんじゃないかなあ」。
それを聞いたぼくは「※▲♂☆〒♯!!!」。
もう、訳が判りません。

本当に楽しいひとときを過ごさせていただいた「ブックスゴニングミ」でした。
これが今回いただいた「ゴニングミ」メンバーのサインです。
メンバー全員(とゲストも)のサイン入り「ゴニングミ」同人誌第2号「イルクーツク2」
......と、ここで「あれ? これ6人の名前があるじゃない?」と思われた方、スルドイ!
そうなんです、そうなんです。「マツダノブコ」なる名前の方が1人入っているのです。
この方、ヨーロッパ企画の松田暢子さんです。
「イルクーツク2」には小説でゲスト参加されており、その関係でしょうか、今回も「ブックスゴニングミ」に参加されているそうなのです。
サインなんか貰っていいのかなあと、会場内をまわっているご本人の様子を遠目に伺っていると......おお!
会場内をまわっているそのお姿の右手にはペンを持っておられます!
これはチャンス!......とばかりにいそいそと傍に擦り寄り、「サインをください!」とお願いしたのでした。
さぞかし松田暢子さんから見れば、不気味なオッサンがやってきた、コワイよ、キャー!状態だったのかもしれません。
しかしそこはさすがに女優。
ニッコリととろけるような笑顔で「いいですよ」。
サラリサラリと書いていただけたのでした。