セコい野郎の話

スーパーでのこと。
買いものカゴをブラ下げて、奥さまのようにアゴの下に右手を添えながら、「今夜のおかずは何にしようかしらねえ」。
棚と棚の間の通路を練り歩いていると、何だかメチャクチャいいにおいが漂ってきたのでした。
これは、コーヒーのかほりですよ。コーヒーのか・ほ・り。
確かにここはコーヒー豆の売り場です。
コーヒー豆のかほりがしていてもおかしくはないのですが、でも、いつもこんないいにおいはしていないのです。
それが今日に限って、なぜ!?

キョロキョロと辺りを見回すと、コーヒー豆をひくミルがエライコトになっていたのです。
ミルのところに豆がこんなにもこぼれているのですよ!
豆、こぼしすぎ。

2杯分か3杯分ぐらいの分量にはなるでしょう。
とってもいいにおいが漂うほどなので、まだひいて時間も経っていない「ひきたてコーヒー」なんですよ。
レジを済ませて袋詰めをするところに行けば、ビニール袋があります。
これを持ってきてこの豆を詰めれば……ウワォゥ!
ハイ、コーヒー豆。

この調子でスーパーのコーヒー豆販売コーナーをまわりまわって、ミルの下にこぼれた豆をかき集めていくと、結構な量のコーヒーが手に入るんじゃないでしょうか。
毎日熱心に数件もまわれば、その日分のコーヒーなんてナントカなりそうですよ!
そうだ、たまには明治屋や紀ノ国屋、成城石井、関西で言うといかりスーパーのような高級スーパーを重点的にまわるのもいいかもしれません。
こういった店では、きっと高級コーヒーがよく買われているに違いないのです!
つ・ま・り!
ぼくが普段では決して飲めないような、おいしぃ~いコーヒー豆を手に入れられる可能性があるのですね!
うー、ブルマン、ブルマン! ブルマン、ブルマン!

……ミルにこぼれたコーヒー豆を見ているだけで、一気に想像はブルーマウンテンのコーヒーを優雅に飲んでいるぼくの姿まで見えてきてしまったのでした。
ステキにうっとり。
ただ、確かにコーヒーを飲んでいる姿は優雅なのですが、それをかき集めている(しかも隠れるように)姿は、メチャクチャセコくて、ちょっと情けないのでした。
ああ、やっぱりそんなことはぼくには決してできません……。
結局は、ネスカフェの徳用ビンでガマンをするぼくなのでした。