日本のサグラダ・ファミリア、「沢田マンション」

たまには読んだ本の話など。

ぼくが勝手に「日本のサグラダ・ファミリア」などと呼んでいる建物が、高知県にある「沢田マンション」なのです。
いや、そんな呼び方をしているのは、ぼくだけかもしれません。
その沢田マンション、オーナーがイチから建てた“手造りマンション”として、「探偵! ナイトスクープ」などのテレビ番組でもたびたび取り上げられているので、「ああ、あれね」と思い出す方も多いかもしれません。
そうです!
綾辻行人の「館」シリーズを彷彿させる、不思議な手造りマンションが沢田マンションなのですね。
沢田マンションの前景

その特徴を、思いつくがままに挙げていくと

  • 迷路のような構造になっている(どこに何号室があるか判らない)
  • 通路はバルコニーを兼ねている
  • 通路やテラスには土が敷き詰められ、どの階も地上にいる感覚が味わえる
  • 屋上には水田や畑、池が設置されている
  • マンション5階までクルマが乗り入れられるようになっている
  • エレベーター代わりのリフトが設置されている
  • マンション専用の観光バスがある(以前はこのバスで住人旅行にも行ったとか)

ちょっと考えただけでも、こういった特徴が挙げられます。
そして、何と言っても最大の特徴は“このマンションがオーナーとその家族による手造りマンションである”ということに他なりません。

この沢田マンションのどこがサグラダ・ファミリアなの?と言われてしまうかもしれません。
いやいや、大きな共通項があるじゃないですか。
それは“未完成であること”。
サグラダ・ファミリアの場合は、スペイン内線でガウディが作成した資料などが失われてしまい、その結果、「こう設計したに違いない」と推定しながら建設しているため、完成まで多大な時間が掛かっているとのことです。
一方、沢田マンションはオーナーである沢田さんが理想的な集合住宅を造り上げていっていたために時間が掛かっていたのだと思うのですね。
そもそも屋上にクレーンがあるところなんて、まさにこれ、サグラダ・ファミリアじゃないですか。
沢田マンションの屋上にも、サグラダ・ファミリアのようにクレーンがあります

あるいは、「セルフビルド」という観点から言うと、フランスの郵便配達夫シュヴァルが1人で建設した「理想宮」とも同じと言えるかもしれませんね!
フランス版沢田マンション「理想宮」

その沢田マンションの資料本と題された本が、『沢田マンション超一級資料 -世界最強のセルフビルド建築探訪』として出版されたと、以前に新聞広告で見たのでした。
これはもう買うしかないでしょう。
いつも本はネット書店で購入するのですが、今回ばかりは到着するまで待ちきれません。
そんな訳でリアル書店で購入し、その日の帰り道から読んでいたのでした。
うはー、うはー、すげー。
もうページをめくるごとに大興奮なのですよ。
タイトルの“超一級資料”というのは決して大げさではありません。
一般的な“資料本”としては、やや小ぶりで厚さもそんなにないハンディタイプなのでちょっと物足りなさは覚えてしまいます。
それでも中身が“ギュッ”とコンパクトに詰められており、その充実ぶりには目を見張るばかりです。
階段の裏や通路の見えないところのような、まず普通は見ないだろうと言いたくなるような細かい箇所まで、写真を駆使して紹介しながら解説する筆者の丁重な姿勢には頭が下がる思いです。
これはもうまさに“超一級資料”として間違いないでしょう。

しかもこの本は、ただ単に沢田マンションだけを紹介するに留まりません。
オーナーがこの巨大戦艦のような沢田マンションを手造りで建設する以前にも、彼の手によって建てられ、現存しているアパートの数々が紹介されているのです。
これにはもうビックリですよ。
てっきり沢田マンションのオーナーは沢田マンションだけを建てていた訳ではなかったのです。
……と言うことはですよ。
この本は思った以上に貴重な資料になるのではないでしょうか。
現在では、まだどちらかと言うと好事家向きの建設物という印象も否めない沢田マンションですが、ひょっとして何十年か後には、「早すぎた建築物」として注目が集まるときが来るかもしれません。
そのときになって慌てて彼の軌跡をまとめてももう遅いかもしれないのです。
そうならないためにも、後世にきちんと情報を残すためにも、作品(と言ってもいいでしょう)が現存しているうちにできるだけ詳細にまとめておかなければならなかったのかもしれません。

この本を読むときはヨダレ掛けをしてからでないと、ふと気がつくと、本のページがよだれだらけでジュルジュルになってしまいます。

ああ、1度はこの沢田マンションを見てみたいのですが、高知かあ。
行くとしたらどんな道のりなのかな、と何気なく「乗り換え案内」で検索してみると……おおう。

08:00 横浜
       ↓ (京浜急行線)
09:05 羽田空港
       ↓ (飛行機)
10:40 高知龍馬空港
       ↓ (バス)
11:39 高知駅
       ↓ (JR)
11:41 薊野

なんと!
余裕で日帰りで行けるじゃないですか!
しかも、飛行機代もネット予約のサイトで調べてみたら安! 13,000円ですよ、13,000円!
これは「安心して高知にいらっしゃい」ってことなのでしょうか?
うーん、マジで行っちゃおうかしらん。

コメント

こんにちは。
もう見るからに魅力的なマンションですね。
こんなところに住んだらおもしろいだろうなぁ。

もしかしたら秘密の通路などのカラクリ趣味もあるかもしれませんね。

このマンションは、見ているだけで、こう、心の奥底に訴えかけてくる「何か」が
ありますね。
ちょっと前までは、割とお年寄りの方が多かったそうですが、今では結構ウワサも
高まって、若い方も多く住んでいるようですよ。
秘密のカラクリ……はオーナーが仕掛けなくても、こっそり住人が仕掛けているかも
しれませんね。
あと全棟を利用したドミノ倒しとかやっても面白いかもしれません。
設置が大変そうですが。

(コメントは一部修正させていただきました。申し訳ありませんが、ご了承ください)

っと、失礼しました。
少々趣味の悪い冗談でしたね。