小指値「[get] an apple on westside」「R時のはなし」

最近、ネット上のどのレビューを観ても、かなりの人が絶賛しているのです。
だからメチャクチャ気になっていたのですね、「小指値」。
そんな訳で、どんな劇団なのかなと公式サイトで調べてみると、おお、何という僥倖。
もうすぐ公演があるという告知があるのですよ。
それも、場所が横浜というすぐご近所。
ううーん、これはぜひとも観に行かねばなりません。
そんな訳で今日、ドッキドキの初体験で小指値を観劇に、STスポットに行ってきたのでした。

いつもお芝居を観に行くのが東京方面なので、移動するのに最低でも1時間、余裕を見て1時間半は前に、家を出なければいけないのですよね。
ところが今日のぼくはいわば"ジモティ"、つまり地元民なんですね。
余裕、余裕。ぶわっはっは。
こんなにのんびりしていていいのかと思えるまで、家でゆっくり。
大体こんな風に余裕をぶっこいたときは、得てして時間を読み違えていたり、電車が事故にあったりして遅刻しちゃうものですが、いえいえ、そんなことは一切ございませんとも。
それどころか、まだまだ時間が余ってしまいましたよ。
仕方がないので、会場近くのスターバックスでアイスコーヒーなど飲んでおりました。
ああ、そう考えると、いつも東京へお芝居を観に行くのに、どれだけ時間を損していたことなのでしょうか。

会場に赴くと、「今日は満席ですのでお詰め合ってお座りください」。
時間たっぷり余るほど早く着いてしまったぼくは、開場と同時に一番端っこの席の座りやすい所に座ります。
そのあとも、確かに続々と観客が詰め込まれてきました。
ううん、やっぱりすごい人気なのだ。
年齢層は20代ごろでしょうか、ぼくのようなオッチャンより若い世代が多そうです。
男女比はほぼ半々......んー、女性が多いかな?
何となく客席に元気があるような感じがします。
(演劇系で観客に女性が多いと、そんな感じがするんですね、なぜか)

今日の公演は、旧作の再演に、新作の上演と同時2本立てです。
小指値「[get] an apple on westside」「R時のはなし」(横浜・ST Spot)
まず始まった「[get] an apple on westside」は、オオカミに育てられた子イヌの生涯の物語。
子犬の視点による一人称なのですが、語り手と主人公が別々というスタイルなんです。
そのスタイルが活きてくるのはラスト。
物語においての大きな出来事があり、そのシーンを効果的に活かすため、このスタイルを崩すのです。
いや、もうカッコいいんですね、とってもとっても。
また大きな驚きだったのは、舞台セットが一切ないこと。
舞台セットがないので、役者の身体が舞台装置(大道具)になるのです。
しかし不思議なもので、彼らが身体を使って組み出すそれぞれがちゃんと見えてくるんですね。
特に、子イヌが母オオカミに拾われるシーンでは、子イヌから見た母オオカミの"巨大さ""神々しさ"が現れていて、サブイボが立ってしまいましたよ。
この"神々しさ"は、ラストシーンにおいても非常に美しく、印象的に描き出されており(姿形だけでなく、衣装からも、どこかギリシャ神話を思いました)、母親の神々しさはある意味、伏線として用意されていたのかもしれません。
とにかく、そのラストシーンの美しさ、神々しさにはなぜか涙がポロポロと溢れてしまったのでした。
ラストということで暗転したから、さりげなく汗かいたフリして、涙をぬぐっていたのですが。
いや、一発目から不意打ちでヤバい状況に陥ってしまいました。

5分ほどの休憩ののちに演じられたのは、新作「R時のはなし」。
先ほどの「[get] an apple on westside」と違い、人形を使ったコミカルな恋愛ストーリー。
しかしこの人形が......何でしょう。
およそ人間らしからぬ、デフォルメされたつくりなんですね。
顔なんてハサミやクリップが使われているんですよ。つまり、「目」「鼻」「口」が文房具......。
しかも、動きがまた、ハリウッド映画並みに現実世界ではあり得ないデフォルメされた超人ぶり。
なのに......どうしたことでしょうか。これら人形の動きが、とてもリアルに見えてくるのですよね。
人形を操る役者が、まるで文楽の人形遣いのように「見えない」存在にまでなってしまうのです。
もはや演劇というよりも、人形劇です。
それを活かしてなのか、ときには人形を操る役者自身が舞台セットになったりしているのです。
これには思わず「スッゲー!」。
また人形を操りながら役者が同時に競演したり、人形を操る役者自身が人形の変わりになったり。
単なる「人形劇」だけでは終わらせない、変幻自在な演出が目を引くのですね。
そして徐々にラストに向けて、さりげなく張ってあった伏線が少しずつ回収されていきます。
また意味不明だったタイトルの謎も、ストーリーのなかで提示されてあった伏線とともに、明確に示されます。
ラストシーンにおいては、ストーリー上で唐突に示された"ある出来事"が、実は伏線であったことが示され、そしてファーストシーンへと繋がっていく"仕掛け"が施されています。
ここで観客は、「ああ、ファーストシーンから、実はラストシーンへの伏線が張られてあったのだな」と言うことが判り、一見、"コミカルな恋愛人形劇"だと思えたこの芝居が、実は緻密に構築されたストーリー仕立てであったことに気付かされるのです。

ううーん、どちらの作品もとてもスゲーや。

終了後は、「初日の終演後限定・特別お楽しみ会」の開幕。
あ、この「初日の終演後限定・特別お楽しみ会」があるから、今日は満席だったのか?
この特別お楽しみ会だけは「写真をバンバン撮ってもらって結構です」とのことでしたので、もう遠慮なくデジカメでパッシャパシャ撮らせていただきました。
内容は......うー、とても説明できるものではないので、この写真を見ておいてくださいませ。
この写真からもお判りかと思いますが、出演者も観客も、皆一丸となってはじけていました。
小指値「初日の終演後限定・特別お楽しみ会」の模様
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コメント

小指値、良かったですよね~。
私は残念ながらお楽しみ会の回ではなかったのですが…

ところで公式webのMemberの見方が半年くらい
ずーっと理解できないままなのですが(笑)、
なかはしさんは判ります?

いや、初小指値経験だったのですが、あれはやばかったですよ。
特に1作目のカッコよさには参ってしまいました。
涙が止まらなくなっちゃうのって、久しぶりのことですね。
今後も楽しみにしています。
「お楽しみ会」もメチャクチャはじけていて、楽しかったですよ。
あの企画があったから、ひょっとして初日は予約が一杯になってしまったのでしょうか。
今回は「3年ぶり」とのことでしたが、また機会があればやって欲しいものですね。

ところで公式サイトの件、ぼくも悩んでいます。
ひょっとしてまだ紹介記事が書けていないか、それとも単なるミスなのかで、リンクが張られていないだけではないのかな、と思っているのですが……。
(ページが改装されてまだ日が経っていないようなので)