闇夜のネコトラップでネコパンチを浴びせられました

確かついこの間までずっと「あつ~」と言い続けていたような気がします。
ところがフト気がつくと、陽が沈むとあたり一面夜のにおいが立ち込めて虫の声が大きく響くように聞こえるようになってきました。
いやあ、秋を感じる夜って気持ちいいんですよねぇ。

そんな心地よい自宅最寄駅からの帰り道。
気分よくハナウタ交じりで夜の住宅街の真ん中を歩いていたときのことです。
ネコだまりスポットを通りかかりました。
このネコだまりではいつも夜、ネコたちが思い思いの格好で涼んでいたり、集会を開いていたりしています。
しかしどうも彼らは人間に対して警戒心を解くことがなく、まったくもって触らせてくれません。

今日も一応、いつもの習性で覗いてみたのですが……、案の定、すごい勢いで数匹のネコたちが逃げ去っていきました。うう、残念。
仕方ありません。こちらも帰ろうとしたところで……ん?
何かいます、何か。
茂みの暗がりに、ゴソゴソうごめく何かを見つけました。
ぼくのネコレーダーが敏感に反応ましたよ。
「フフフ、そこにいるのは判っているんだもんねー。さぁ、出てらっしゃい」と茂みのなかをよくよく見てみました。

おおう、そこにいたのはクロでした。クロネコのクロちゃん。
逃げようともせずにこっちをずっと見ています。
これはひょっとしてひょっとするかもしれないな、と指を近づけてご挨拶をしてみました。
すると、
出たー、必殺のネコパンチ(ニクキュウ篇)
出たー、必殺のネコパンチ!

肉球でチョンチョンと突くような、優しいネコパンチを繰り出してきたのです。
おお、コイツは遊びたい盛りだな。
ならばこっちも……と指を鼻先でチョイチョイと動かしてやりました。
フフフ、段々と興が乗ってきたようですよ。
腰を浮かし、半立ちの状態で繰り出されるネコパンチのラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。
そして両手でワンツーを繰り出すようになり、ついには「拝みパーンチ!」。
拝みパンチ、それは両方の手でまるで拝むかのように手を合わせて目標を挟み込む、幻のパンチなのです!
両側から感じる柔らかい肉球のぷにぷに感に幸せ。
もはやぼくがネコに遊んでやっているのではなく、ネコにぼくが遊んでもらっている状態です。

ネコはますます燃え上がってきたようでぼくの爪をカミカミと甘噛みし始めてきました。
かじっていると言うよりも、オッパイを飲んでいるかのような優しい歯ごたえ。
男なのに母性を感じてしまうひとときですよ。

しかし。
こうして人の指を甘噛みをしていても、コヤツはネコという“ハンターとしての本能”は忘れませんよ。
爪がものごっつい立っています。
指をかじりだしました(でも全然痛くない)
しかしこれがまた全然痛くないんですよね。
コヤツなりに気を使っているのでしょうか。

こうして30分以上は遊んでいたでしょうか。
住宅街の暗がりの茂みに向かって「……フフフッ」「お、いいパンチだ」「噛み噛みしているぼくの指、美味しい?」などとブツブツ言っているオヤジガ約1名。
しかも時折フラッシュ焚いている姿は怪しいノゾキにしかなりません。
よくぞ通報されなかったものです。
恐るべし、ネコトラップ。

そんな訳で、もうお腹一杯になるまで遊んできたのでした。