POTALIVE 駒場編vol.2『LOBBY』 一挙3本立て

こまばアゴラ劇場を中心に、1ヶ月にわたって開催されているPOTALIVE 駒場編vol.2『LOBBY』。
今日は13時半開演から、21時開演のものまで一挙3本続けて観に来ています。
1日中駒場の街をうろついていることになりますね。うへへへへ。
そんな訳で以下、駆け足で観たものをご紹介します。

「リ・リニア」
【作・演出・案内】笠井真人
【出演】青山るりこ、岸井大輔、中村早香、米光一成
途中、観客にはお手紙が届けられます
この作品では、案内人から最初に「2部構成となっている」旨が知らされます。
まずは第1部。
案内人に連れられて、"階段の街"駒場を見て回ります。
そこかしこに存在する階段を見ながら、案内人が階段の魅力について語るのです。
そこで我々観客は、普段何気なく利用したり、見かけたりする階段に様々な魅力があることに気が付くのです。
まるでこれはもう「ポタライブ」の公演ではなく、「路上観察学会」の講演を聴いているかのような錯覚さえ起こしてしまうほどです。
案内人の"階段・愛(love)"に感化された参加者たちは、案内人が何も言わずとも観客の方から進んで

「あんなところに階段がある!」
「ほんとだ、とっても魅力的な階段だね」
「あの階段の種類は......」

などと、階段トークまで始めてしまうのでした。
そして第2部。
階段についての知識を得た観客は、ここから案内人の元を離れて、観客だけで階段を探す旅に出るのです。
しかし......。「第1部に続いて第2部」という言い方に大きなトリックが仕掛けられていることを観客は気づきません。
なんと、いきなりここからちゃぶ台ひっくり返しの大ワザが炸裂してくるのです。
「第2部」なんて、「第2部」なんて、「第2部」なんて......ウガー!
第3部、第4部、第5部......ああ、永遠にループする駒場の街並み。
炎天下、ぐるぐる回るのは我々の行進なのか、意識なのか、単なる眩暈なのか。
最初はおずおずと行く観客たちも、もう最後には全員が一丸となってはじけてしまいます。
ヤケクソですよ、ヤケクソ。はじけなければ、やってられません。
真夏の午後の炎天下でのビリー・ザ・ブートキャンプ。
出演者と観客の全員が、不思議な連帯感で繋がれる実験的大作なのでした。
ヴィクトリー!

ちなみにタイトルの「"リ"・リニア」とは、以前に公演された「リニア」の再演、つまり「リターンズ」としての意味かと思っていたのですが、ひょっとして、第2部で永遠に続くかと思わされた趣向を指していたのかもしれません。
とすると、最初からそんなとんでもない趣向があることはタイトルでストレートに明示されていたのですね......とほほ。

終了後、 出演者のお一人である 『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』(絶賛発売中)の米光一成さんより、著書にサインを頂きました。
(↑ご本人のリクエストにより(笑)、ご紹介文を変更させていただきました)
この米光さん、「ぷよぷよ」の生みの親なんですよ。
なのでぼくがサインをしてもらったと言うことで、なぜか共演者もサインをおねだりしています。
「ぷよぷよも描いて」とリクエストされた米光さん、「いいよ」と気さくに応じているのですが、あれ?
ぷよぷよに 身体なんてあったかしら?
手足なんて生えていたかしら?
と思っていると「UHA味覚糖のキャラクター」のようなもの、になってしまったのでした。
いいなー、いいなー、うらやましいなあー。
ということで、既にぼくはもうサインをいただいたのですが、厚かましくも「じゃあ、ぼくもぷよぷよを描いてください」とリクエストしたのでした。
これまた米光さん、気さくに応じていただいたのですが、これは「もやしもん」じゃないですか!
(いや、心が純粋な人にはぷよぷよに見えるのです)
下に描かれてあるのは「ぷよぷよ」であって、「もやしもん」ではありません! 米光一成さんのサイン

「平原の森」
【作・演出・案内】愛川武博
【出演】家所辰顕、岸井大輔、谷口真衣、村井美樹
足元に広がる森を眺めながら、心の叫びを放つ彼女の声はどこに届くのでしょうか
駒場の街に「森」を探したいと考えた案内人は、自分自身の意見に賛同してくれた"彼"とともに森を探して歩き周ります。
森を探しながら歩いてまわる観客に、案内人は遠い昔のお話を語り、1つのテーマが示唆されます。
しかしながら都会の真ん中には森そのものがなく、敢えて森や平原といったイメージを喚起させる「部分」「部分」が断片として現れては消えていくのです。
しかしながらそのラスト。
それまで断片化された存在で、我々の目の前に現れては消えていった自然の「部分」「部分」。
それが実は伏線として示されていたのでした。
ある場所から見る駒場の街並みは初めからひとつのまとまりであったのでした。
断片的な伏線が一気に回収されていく様は圧巻です。
目の前に森はないように見えたのだけど、それは実は大きな森の中にいたからなのかなと思わされる、実に不思議な物語なのでした。

「燈 ともしび」
【作・演出・案内】村井美樹
【出演】愛川武博、青山るりこ、家所辰顕、垣内友香里、重森一
夏祭りが始まるときのワクワク感と、終わったときの空虚感
駒場の街は、ちょうど夏祭りの真っ最中。
そのなかを浴衣姿の案内人に連れられてどこか懐かしい光景が浮かぶ語り口に、誰もが持つ夏休みの郷愁感がかき立てられます。
商店街を離れ住宅街に入ると、やがて語られる駒場で起きたある事件、そして人物。
ひとり語りをする案内人に連れられ、歩く裏道からは、語る内容とは対称的に、明るくはじける家族の声や、平和な生活音。
そして迎えるひとり語りのクライマックス。
一筋の光明が、その人物の救いとなったのか、ならなかったのか。
曖昧なままに、語り終えた案内人と観客一同は、童に連れられて再び住宅街の中心へ向かうと......これは何と言うことなのでしょうか。
(おそらく)ポタライブ史上、類を見ないダイナミックなエンディングの舞台がそこには待ち受けていたのでした。
祭りです、祭り。ポタライブが、祭りを住宅街の真ん中に持ってきたのですよ!
その祭りのあまりの迫力に、観客はもうなす術もなく呆然としてしまうしかないのです。
立ち尽くす我々が小さく、空虚に思えてしまうほどにその祭りは圧倒的な迫力をもって、駒場の街を飲み込んでいくのです。
ああ、スゴイよ、スゴイ。
涙がこぼれそうになるほどの感動が伝わってきます。
しかし。クライマックスは、やがて迎えるエンディングのためにあるのかもしれません。
駒場の街を飲みつくした祭りは突然に終了のときを迎えます。
祭りが終わると、人はまた、それぞれの居場所へと戻っていきます。
戻っていった場所には、彼らを迎える温かい人と温かい光に溢れています。
しかし、駒場の街をさまよい続ける人物も、そこにはいます。
その人物には、もう帰るところがないのでしょうか。
あるいは。
ただ駒場の街が好きなだけで、自らの意思で歩き続けているだけなのでしょうか。
祭りのときは終わり、駒場に静寂が戻ってくるなか、1人立ち去っていった人物の影を見送りながら、そう考えさせられるのでした。