POTALIVE 駒場編vol.2『LOBBY』 SHOW CASE DAY

ぼくも1人の出演者として参加させていただいたポタライブの本番、『LOBBY』も無事閉幕を迎えることができました。
こんなサラリーマン野郎の出演を、温かく見守っていただいた観客の皆さん、どうもありがとうございました。
今一度、11日・12日に『LOBBY』として発表された作品を紹介させていただきます。

1.『ぐるぐる』
【作・出演】木室陽一(舞踊家)
ダンスとは、単なる身体表現のあり方だと思っていたのですが、いえいえ、とんでもありません。
この作品では、ダンサーが"踊る"ことによって、ダンサーそのものの表現だけではなく、なぜか舞台となっている"駒場の街並み"がダイナミックに変貌していくのです。
ダンサーの息づかいに合わせて、街そのものも激しく息づかいをしていることが感じられ、"街は生きているんだ"と実感させられる不思議な30分間の旅でした。
これがポタライブの面白さといえるでしょう。
ダンサーの動きによって、駒場の街並みに

2.『着信』
【作・演出・出演】笠井里美(俳優/ひょっとこ乱舞)
【案内】岸井大輔(劇作家)
【出演】中橋一弥(サラリーマン)涌坂草平(コント作家/ミラクル☆パッションズ)
案内人に連れられて、駒場の街中を歩いているうちに目にするのは、物々交換をしていく女性、街中のいたるところに置かれた「ご自由にお持ちください」というモノ、目印がなぜか見つからず彷徨い歩くはめになってしまう迷い人、後輩のクレーム対応を指導するサラリーマンといった、バラバラな光景です。
しかし物語が進むにつれて、バラバラに思えたこれらがひとつに繋がっていくという物語になっているのです。
どこまでが仕込まれた物語で、どこからが現実の出来事なのか判らなくなってくる、一種の巨大な騙し絵のような構造の作品です。
街中のいたる所に現れる物々交換

3.『三人姉妹』
【原作】アントン・チェーホフ
【演出・振付・出演】垣内友香里(ダンサー・振付家/Benny Moss主宰)
【出演】井上こころ(劇作家・演出家/青年団演出部)岸井大輔(劇作家)笠井里美(俳優/ひょっとこ乱舞)中橋一弥(サラリーマン)
ダンスで三人姉妹。ポタライブで三人姉妹。ソロダンスなのに三人姉妹。
そんなキャッチコピーを思い浮かべてしまいました。
これは色々な意味でかなり強烈な作品です。
もともと、ソロダンス用に「三人姉妹」を創作していたそうですが、今回はさらにポタライブ版として「案内人」と、そして「幸せの求道者」が登場してきます。
ダンスそのものは、なんと言うのでしょう、かなり「痛み」に訴えてくるものです。肉体的な痛みではなく、"精神的"にキリキリと打ち込まれてくるような痛みです。
その痛みとは、ひょっとすると主役の『三人姉妹』が抱いている"理想の日々に対する、現実の日々の鬱屈感"なのかもしれません。
「三人姉妹」を踊っている前で、幸せについて演説しています

4.『待惚』
【作】重森一(パフォーマー)
【出演】垣内友香里(ダンサー・振付家/Benny Moss主宰)
案内が「あなたは無事エンディングを見ることができるのか?」ですよ。
キャッチコピーが「怪奇浪漫ポタライブ」ですよ。
もうそれだけで、ドキドキしてしまいます。
何を紹介してもネタバレになってしまうスリリングな体感型作品、観客だけではなく出演者も非常にスリリングな体験をしています(ネタバレ寸止め)。
何しろ作者自身が登場しません。
作者は遠く富山の海水浴場で、観客も出演者もコントロールしていたのです。
そうです、ここでは出演者はもちろん、観客ですら作者の操り人形になってしまうという恐るべき作品なのでした。
作者自身の手によって、遠隔操作されているとも気付かず、皆、メチャクチャ楽しそうです

5.『もっとおもしろくなりたい』
【作・演出・出演】涌坂草平(コント作家/ミラクル☆パッションズ)
【出演】笠井里美(俳優/ひょっとこ乱舞)
売れない落語家の夫を、妻が観客の協力のもとに「もっと面白くさせたい」と鍛えるべく、東奔西走する物語。
しかしやる気のない夫はどうしても観客の前での噺に空回りしてしまい、ドンドンとダメっぷりが出てきては妻を激高させるのです。
この作品は、そうした売れない落語家の亭主と彼を支える妻との「掛け合い漫才(夫婦漫才)」であり、またその漫才のなかでは、夫が案内人として駒場の街を落語をしながらまわっているという、ある意味メタ的な構造を持つ不思議な作品です。
ヤル気のない夫のダメさ加減や、しっかり者の妻の甲斐甲斐しさと、出演者それぞれの持つインパクトが印象に残る、不思議な味わいの作品です。
面白くないうえにやる気もない落語家の夫を、妻が献身的に支えているのです

6.『みち』
【作・演出・出演】木引優子(俳優/青年団)
【出演】中橋一弥(サラリーマン)井上こころ(劇作家・演出家/青年団演出部)
真夏の暑い駒場の街を歩きながら、案内人が語るかつて体験した祖母の話。
彼女の話を聞いているうちに、いつしか自分の歩いている道が此岸と彼岸の区別がつかなく、曖昧なものになってくるのです。
そしてラスト、目の前に現れた枝分かれした道にふと迷いが生じます。
しかし人はそれでもどちらかの道を選択し、歩み続けなければなりません。
登場人物たちは、それぞれの道を見つけて、それぞれ歩き出していくのです。
駒場の街に現れた

7.『僕がゲームを作らないと世界が滅んでしまうから』
【作・案内】米光一成(ゲームデザイナー/立命館大学教授)
【出演】大倉マヤ(俳優/マヤ印)
本編でも行われる作品なのですが、いち早く売り切れになってしまった人気作品のため、1日だけ、しかも1時間だけ設けられた奇跡の公演です。
作者は、ゲームに詳しくないぼくでもよく知っている『ぷよぷよ』をつくられた方です。
本好きの方には、あの『日本文学ふいんき語り』の執筆者の1人と言った方が判るかもしれませんね。
作品は駒場の街案内......のはずなのですが、そこはそれ、ゲームデザイナーで発想トレーニングの作者の手に掛かると、そのまんまの"街案内"で終わるはずがありません。
現実世界におけるあれやこれやを、ゲーム要素に置き換えた、ご本人曰く"妄想型"の街案内に仕上がっています。
前回、2月に行われたときの写真です
(写真は前回、2月に行われた公演のときのものです)

8.『未来の記憶』
【作・演出・パフォーマンス】井上こころ(劇作家・演出家/青年団演出部)
【出演】家所辰顕(受付)垣内友香里(ダンサー・振付家/Benny Moss主宰)木引優子(俳優/青年団)笠井里美(俳優/ひょっとこ乱舞)
こちらも、本編で行われる予定の作品なのですが、急遽1回だけ公演されることになった作品です。
案内人に連れられて、観客は真っ暗になった駒場のある場所を訪れます。
そこでは幻のように浮かび上がる光の数々に、案内人が語る幻のような物語がリンクしていきます。
"夜"という独特の雰囲気が、登場人物はもちろん、案内人の語る物語や観客をも包み込み、圧倒的な効果をあげて不思議な印象を残していく作品です。
夜という独特な雰囲気を持つ空間で繰り広げられる幻のような物語

9.『グッタリ』
【作・演出・出演】家所辰顕(受付)
【出演】垣内友香里(ダンサー・振付家/Benny Moss主宰)
こちらは12日のみ急遽公演されることになった作品です。
案内人に先導されて、観客は駒場の街を歩いてまわるのですが、どうも案内人の様子が変なのです。
最初は「あれ?」と思っていただけでも、徐々にその"変さ"は度合いを増していき......というものです。
疲れきった現代人と現代社会に警鐘を鳴らす"問題提起型ポタライブ"。
先が読めない展開に、観客はなすすべもありません......。
先が読めない展開に、観客はなすすべもなくついていき、最後に「ああ、なるほど」と頷くミステリ仕立てのパフォーマンス
(写真は、2月に小竹向原のワークショップで初演されたときのものです)

コメント

今更なコメントになってしまいましたが・・・おつかれさまでした!!

&思いっきり楽しんできました!ありがとうございました・・・あの短時間の間の参加で「いいなぁポタライブ、いいなぁ駒場」と思い切りうらやましがって更に新宿までの電車の中で岸井さんのチラシのコトバを読んで「そうか!そういうことか!」と改めて大興奮して(今更(笑))・・・あぁ、他にも参加したかった。。。

「着信」実は見終わった後ポカーンとしてしまったんですが(最後あれですし)今読んではああ、なるほど、と思いました・・・すみません。。。
でもとにかく途中どこから現実でどこから仕掛けなのかわからなくなってましたよ完全に。やられました。。。また機会があれば是非是非参加したいです!

chietheさん、当日は、東京に遊びに来たお時間のなかから、わざわざ駒場まで足を伸ばして遊びに来ていただいて、どうもありがとうございました。
ずっとご紹介したかったポタライブを、直接ご覧頂いて本当によかったと思います。
「ポタライブとは、お散歩ライブ」と言う意味が、まず話だけでは伝えることが難しいので、観ていただいてよかったです!
今回のような「ミニポタライブ」だけではなく、通常の公演にもお越しになっていただければ、ますます、はまっていくのではないかと思います。
(通常公演は、真冬や真夏には行われませんので、今回のように大変な暑さに参ってしまうこともないですので……)

「着信」は、本当にどこまでが仕掛けで、どこからが現実に街で起こっていることなのか判らなくなると思います。
実際、出演者自身も、街で起こっている現実の出来事に引っ張られてしまう“ハプニング”もたびたびありましたし……。
ラストのアレは、やはり直接アレされた方が一番、ポカーンとしてしまったことでしょうね(笑)。
ただ残念ながら、ぼくはそのシーンを直接観ることができないのですね。悔しいことなのですが。