荻原浩サイン会(リブロ池袋本店)

今日は、荻原浩が『ハードボイルド・エッグ』の続篇、『サニーサイドエッグ』を東京創元社から刊行した記念として、リブロ池袋本店でサイン会が開催されると言うことで行ってきました。

思えば、初めて「荻原浩」の名前を知ったのが、まさに『ハードボイルド・エッグ』だったのでした。
ちょうどその『ハードボイルド・エッグ』が文庫化されたときのことでした。
ある大きな本屋さんをうろついていると、あれは出版社の営業担当者だったのでしょうか。
若い男性の方が本屋の店員さんに、

「この『ハードボイルド・エッグ』が今、一番イチオシなんですよ。これは間違いなく売れます」。

かなり熱心に売り込んでいる声が聞こえてきたのです。
ジャンルとしての「ハードボイルド」なんてあまり得意ではないのですが、その営業担当者の熱心な姿に思わず「どれどれ」と手に取ったのでした。
で、読んでみたのですが「面白い」。
「ハードボイルドじゃないの?」と身構えていたのはすっかり杞憂に終わり、今から思えば「おかしくて」「ホロリとくる」、まさしく"荻原節"と言ってもいいストーリー展開が既にこのときから全開、あっという間にその世界にはまってしまったのでした。

そんな荻原浩を知ったきっかけである『ハードボイルド・エッグ』の続篇、しかもその本の刊行記念サイン会とあれば、是が非でもサイン会に行かねばなりません!

しかしあいにくと、今日は夕方とはいえ、平日の開催だったのですね。
もうそこはそれ。
「チョチョチョイと仕事を片付ければ、余裕余裕。あっはっは」と構えていたのですが、なかなかどうして。
世の中っていうものは物事がうまく流れないものです。
会社を出る直前になって、ご用事発生ですよ。

そんな訳で会社を出たのがすっかり遅れてしまい、お店に到着したのはサイン会の開始直前です。
サイン会会場には、もう既に長い列ができています。急がねばなりません。
しかし、本は昨日売り出されたばかりなので、現物をこれから買わないといけません。
電話で既に取り置きをお願いしていたのでレジに直行したのですが、「うああ」。
夕方、しかも週末とあればお客さんがレジ前に行列をなしています。
その列に並ぶこと約5分......、ようやく順番がきましたよ。
レジのお姉さんに、「荻原浩さんのサイン会で、本の取り置きをお願いしていたのですが」と伝えると、隣にいた店長らしき方が「荻原浩サイン会用の本は、サイン会場でお渡ししてますから」
ドヒー。
サイン会場って、さっき通り過ぎたあそこ......? ぜっんぜん気が付きませんでしたよ。
そんな訳でスゴスゴと会場に引き返し、行列をなしている人々の向こう側、隅っこをよくよく見てみると......あった、あった、ありましたよ、特設販売コーナーが!
「すみませーん、取り置きをお願いしていた者ですが......」と寄っていくと、突然に

お待たせいたしました! 荻原浩先生のご入場です! 拍手でお迎えくださいっ!

ひぇぇい、始まっちゃっいましたよ......。
しかしなぜかスピーカーが特設販売コーナーの真後ろにあるのです。
だからスピーカーからの声にかき消されてしまって、こっちの話が全然店員に伝わりません。
まるで、往年のドリフでの志村のコント、

「あなたは、神さまですかっ!」
「とんでもねぇっ! アタシャ神さまだよ」

状態を地でやっている店員と客。
オレはいかりや長介か......と、焦る、焦る。

一方でサイン会場に颯爽と現れた荻原浩は、Tシャツにジャケットというステキなナイスガイです。
シャイな笑顔や、トツトツとした話し方で述べるご挨拶も、これまでインタビュー記事や写真なんかで見たとおりに優しそうな方です。
なぜか、「激怒するところがまったく想像できないなあ」なんて思ってしまったほどですよ。

特設販売コーナーでお金を払って本を受け取り、会場にうねうねとのたうつ長蛇の列の最後尾に並び、待つこと30分。
ようやくぼくの番が回ってきました。

今回は為書きOKということで、例によって例のごとく、「書庫の部屋」まで書いてもらうようお願いしています。
するとシャイな笑顔がナイスガイな荻原浩、気軽に「いいですよ」とサラリサラリ。
さらにはわざわざ顔を上げて

「Webサイトは、本名でされているのですか?」

なんて訊いてくれるのですよ。
ああ、もうどこまで爽やかナイスガイなんだ、荻原浩。
ぼくも、もうここがチャンスとばかりに

「はい、もうずっと本名でやっています......で」
「......で?」
「今日のサイン会の様子をアップしてもよろしいでしょうか」

......ああ、言っちゃいましたよ。
もうサイン会になると、いつも訳判りません。 しかしそこはナイスガイな荻原浩、「じゃあ、いつもより丁寧に書かなくっちゃなあ」
その気軽さに厚かましさはふくらみ、さらには「サインを頂いているところを写真に撮らせて貰ってもいいですか」
すると、またしても気軽に「どうぞ、どうぞ」。
遠慮なくパシャパシャと撮らせていただきました。
いや、隣でアシストされている女性の方が、写らないようにページを押さえる手だけを伸ばして、まるでイナバウアーをする荒川静香のようなスゴイ体勢でフレームアウトしようと気を配っていただいているのが申し訳なかったです。
(申し訳なかったと言いながらも、何枚も撮ってしまっていたのですが)
サインのリクエストにも気軽に応じてくれるナイスガイ、荻原浩

しかしあっという間にサインは書き上がります。
いつも荻原浩のサインは、何かしらのイラストが添えられてあるのですが、今回はタマゴですよ、タマゴ。
ツルッツルのハードボイルド・エッグ。
「いつも荻原さんのサインはイラストが楽しみなんです」とちゃんとお伝えしておきました。
すると眩しいばかりにシャイな笑顔で「ありがとうございます」。
いえいえ、こちらこそありがとうございました。

そんな訳で、小説世界のみならず、現実世界でもすっかり荻原浩ワールドに染め上げてしまっていた不思議なひとときなのでした。
荻原浩『サニーサイドエッグ』サイン本