駒場でポタライブワークショップ中級「7.本番(1回目)」

今日は、これまで6回行ってきた「週刊ポタライブ」ワークショップの最終回、「本番」です。
しかし、ただ単にワークショップメンバーに発表するだけの「本番」の緊張感がありません。
そんな訳で呼ばれちゃいましたよ、お客さん。
街の片隅でこっそりと開催された「本番」なのです。
こっそりと開催されたポタライブ・ワークショップ「発表会」

そんな訳で、今回発表された作品4本をハイライトでご紹介します。

1.『ピンク色の夕暮れ』
【作・演出・案内】井上こころ
【出演】小沢哲人、木引優子、笠井里美
東大の駒場キャンパス内で、そこかしこに現れる「ぽっかりと浮かび上がった」風景、またはそんな風景の見える場所。
そういったところを巡りながら案内人が語る“ある”物語。
そんな作品内世界にいつしか観客は引き込まれていき、そして迎えるラストの場所。
そこで見える光景は、観客ひとりひとりのなかに、大きな心象風景として広がり、そしてじんわりと染み渡る、そんな作品です。
見終わると「不思議な気持ち」にさせられるのですが、きっとその「気持ち」は、人それぞれ異なるものなのかもしれません。
井上こころ・作「ピンク色の夕暮れ」

2.『i will, i will wrap you』
【作・演出・案内】小沢哲人
【出演】涌坂草平、木引優子
案内人はただ黙って、カートを引いて歩いているだけの作品です。
そのカートには、水が湛えられたケースが積まれており、時折水がピシャピシャはねるのですが、そんなことはお構いなしに、彼はドンドンと歩を進めます。
そんな案内人の沈黙を破るかのように鳴り響くのは、水に浮かべられたラジオ。
そこから流れ出すのは何だかよく判らないトーク番組に、外国語放送に、ノイズ。
案内人は時折、そのラジオの饒舌さが嫌になるのか、水の中にラジオを沈めこみ、チューニングを回すだけ。
観客はただ、そんな案内人のあとをついて歩くしかないのです。
しかしその姿が何だかよく判らないけれど、おかしいのです。
行っていることの意味はさっぱり判らない、だけどその意味がさっぱり判らないところに、何かおかしさが隠されているのです。
。 そしてラスト。唐突に訪れるぶち切った終わり方に唖然としてしまうのですが、そこにまたおかしさがこみ上げてきて余韻を残す、かなりの野心作なのでした。
小沢哲人・作「i will, i will wrap you」

3.『もっとおもしろくなりたい』
【作・案内】涌坂草平
【出演】笠井里美、小沢哲人
売れない落語家の夫を、妻が観客の協力のもと、「もっと面白くさせたい」と鍛えるべく、東奔西走する物語。
しかしやる気のない夫はどうしても観客の前での噺に空回りしてしまい、ドンドンとダメっぷりが出てきては妻を激高させるのです。
この作品は、そうした売れない落語家の亭主と彼を支える妻との「掛け合い漫才(夫婦漫才)」であり、またその漫才のなかでは、夫が案内人として駒場の街を落語をしながらまわっているという、ある意味メタ的な構造を持つ不思議な作品です。
ヤル気のない夫のダメさ加減や、しっかり者の妻の甲斐甲斐しさ、そして何より突如現れる「笑いの神様」の悩みっぷりなど、出演者それぞれの持つインパクトが印象に残って仕方がなかった作品です。
涌坂草平・作「もっとおもしろくなりたい」

4.『着信』
【作・出演】笠井里美
【案内】岸井大輔
【出演】涌坂草平、中橋一弥
案内人に連れられて、駒場の街中を歩いているうちに目にするのは、物々交換をしていく女性、街中のいたるところに置かれた「ご自由にお持ちください」というモノたち、目印がなぜか見つからず彷徨い歩くはめになってしまう迷い人、クレーム対応に悩むサラリーマンといった、バラバラな不思議な光景です。
しかし物語が進むにつれて、バラバラに思えたこれらがひとつに繋がっていくという物語になっているのです。
どこまでが仕込まれた物語で、どこからが現実の出来事なのか判らなくなってくる、一種の巨大な騙し絵のような構造の作品です。
笠井里美・作「着信」

発表数が多いため、実はこの「本番」は2回に分けられており、また来週にも同様に発表が行われます。
今のところ3つの作品が発表される予定です。
なので実質的なワークショップ中級篇の最終回は、次回、8月5日と言うことになります。