連城三紀彦『夕萩心中』でもやっちまいました

「何を今さら」と言われそうですが、光文社文庫から連城三紀彦の『夕萩心中』が出ています。
光文社文庫で“再復刊”された連城三紀彦『夕萩心中』
連城三紀彦と言えば、直木賞の印象もあってか、しっぽりとした恋愛ものを書くエロい作家と言うイメージが先行してしまいます(← ものスゴイ偏見)。
が、彼のデビューは「幻影城」。
バリバリの本格作家なんですよ、奥さま方。
そんな、本格ミステリがバリバリ大好きなミステリファンの間で連城三紀彦といえば、やはりデビュー作が表題作となった『戻り川心中』が有名どころなんですね。
そのデビュー作である「戻り川心中」を含め、雑誌「幻影城」(およびその廃刊後は「小説現代」)に連載された短篇8篇が“花葬シリーズ”とされているのです。
“シリーズ”とは言うものの、特に各作品間に繋がりはなく、ただそこにあるテーマは“ミステリと恋愛の融合”。
だからでしょうか、どの作品も必ずや「ぬぉぉ!」とドギモを抜かれるミステリ的な仕掛けのみならず、後の「エロい恋愛ものを書く作家(← だからそんな偏見はやめなさいって)」となる連城三紀彦を思わせる叙情的な文章や男女の機微に溢れているのです。

ところが。
もともと講談社から出ていた『戻り川心中』には、この花葬シリーズの短篇のうち、5篇しか収載されていなかったのです。
その後、長らくしてようやくハルキ文庫から復刊された『戻り川心中』では、花葬シリーズ全8篇が収載され、ファンを喜ばせたのですが……、そこはそれ、短命なのが運命(SA・DA・ME)のハルキ文庫。
もうとっくに品切れになってしまったのでした。

そんななかで、“再復刊(とでも言うのでしょうか)”したのが光文社文庫なんですね。
しかしそこはニッポンのカイシャ組織。
光文社の親会社である講談社の意向を尊重してなのか、なぜか“再復刊版”の『戻り川心中』は、講談社版と同じく花葬シリーズが5篇しか収載されていなかったのでした。

もともと『戻り川心中』は、講談社文庫で持っていたので、“再復刊”の光文社文庫版はパスしていたのですが、今回、ようやく『夕萩心中』が光文社文庫版で復刊されるにあたって、「よし! これで“花葬シリーズ”はコンプリートだぜ!」と意気込んで購入したのでした。

しかし、やはり読むには“花葬シリーズ”として全8篇を読んでみたいのです。
そのためには、まずは『戻り川心中』の再読から始めよう!……ということで、文庫本棚の講談社文庫コーナーを物色していたのでした。
「連城三紀彦、連城三紀彦……」と重なり合っていた本を取り除き、「あったー!」と『戻り川心中』を取り出したその瞬間、ぼくがそこで見たものは……!
他の本に比べてとても状態がきれいな『夕萩心中』、持ってました……

『夕萩心中』、もう持ってましたよ……

そう言えば、以前にも天城一の本が勝手に床の同じところから2冊も生えてきたりと、ぼくの部屋には、どこからともなく本を持ってきてくれる親切な小人さんが住んでいるのかもしれません。

コメント

「夕萩心中」なんてきれいなタイトルですね
こういう和風きれい系タイトルに弱いわたしは
買って読んでみようかなっと思ったのでした
戻り川心中は昔、TVで見た覚えが・・・
タイトルは違いましたけど、内容は戻り川心中だったよーな

ずっと前、「新自由クラブ」という政党があって
高校の政経の先生が
『決して自由の「ゆ」を小さく読まないように』と言われていたのを
思い出しました

ダブルブッキングですね!
わたしはそれほど本を沢山持ってないので
小人さんに来て欲しいくらいですが
高橋留美子さんの「人魚の森」(漫画かよ)をやってしまいましたね

連城三紀彦って、どうも恋愛系が多いので「エロい作家」というイメージがあるのですが(まだ言うか!)、ミステリ作品ではいつもドギモを抜かれてしまうトンデモない作品が多いのですね。
なので、その基礎となっている“花葬シリーズ”はご一読されることをお勧めします。
あと、『どこまでも殺されて』なんて読んでいる最中は「一体これはどうなってしまうの!」と何度叫んでしまったことか。
だって何度も殺されちゃうんですよ(そのままだ)。

しかしダブルブッキングとは……まさにそのとおりです。
いやいや、ひょっとするとダブルとは言わず、トリプル、クアドラプル、クインティプル……まではさすがにいかないか。
積み上げられた本の奥の奥には、いったい何の本が潜んでいるのか……もはや神のみぞ知ることでしょう。