傘はチョットだけよ

朝、天気予報を見ていると「今日はものごっついこと雨降るよ」なんて言っています。
しかしぼくが観ている天気予報は、朝っぱらからみのもんたと“なあなあ”状態で著しく不愉快な思いをさせてくれるので、あまりしっかりと観ていないのです。
でも確かに言っていました。
「今日は大きめの傘をご用意ください」って。

だからわざわざ折りたたみ傘を鞄から出して、大きな傘を持っていくことにしました。
この傘、開くと「ゥオィッ、ビーチパラソルかよ!」と通りすがりの通行人から突っ込まれてしまいそうなほどの巨大傘なのです。
わはははは、梅雨前線でも秋雨前線でも台風でも、これで何でもやって来やがれ、ってなものです。
そんな訳で、右手には鞄、左手にはビーチパラソルもどきの巨大傘を持って、会社に向かった訳なんですよ。

しかし。
家を出ても雨なんかぜーんぜん降ってません。
確かに空はドヨーンとしています。
これはきっと、会社に行く途中に一雨くるでしょうね。
いつ雨が降って始めてもいいようにと、ビーチパラソルもどきの巨大傘をスタンバイ状態で歩くことしばらく……駅に着いちゃったよ。

仕方ありません。
駅にやって来た電車に乗って、ガタゴト揺られている間に雨は降るでしょう。
最寄り駅で電車を降りると、おお!
ますます空はどんよりと曇っていて、雨までもうひと踏ん張りといったところでした。
頑張れ、雨。
これでますます張り切っちゃいます。
いつ雨が降ってもいいようにと、ビーチパラソルもどきの巨大傘をスタンバイ状態で歩くことしばらく……会社に着いちゃったよ。

いやいや、こんなことでめげていてはいけないのです。
何しろ今日の天気の山場は午後から夜に掛けてと言っていたような気がします。
つまり、会社から帰るころには「傘があって助かったぜ、ベイベー」なんて言っているに違いないのです。

そんな訳でオシゴトを無事終わらせ、外に出てみると……雨降ってませんよ。
いや、道路は濡れているので、ちょっと前までは雨が降っていたようです。
しかしぼくが帰ろうとしたとたんに雨がやむとは……運がいいんだか、悪いんだか。
持っていた折りたたみ傘を“わざわざ置いて”、大きな傘を持ったところに、どうやら「運がいい」「悪い」という問題ではなく、ただ単に「変なところで運を使い切ってタイプ」と言わざるを得ないのでしょう。

そんな訳でデカイ傘を持てあましながら帰ってきたのです。
が、神様はぼくに味方してくれました!
なんと、自宅最寄り駅で電車を降りると、雨がシトシト降っているのですよ!
しかし霧雨のようなシトシト降りに、「これ、折りたたみ傘で十分じゃなかったのだろうか」。

いやいや、余計なことを考えていてはいけません。
まっすぐ前を向いて歩くのです。決して過去を振り返ってはいけないのです。

こうしてまっすぐ前を向いて人生の歩みを再び始めようとした、そのとき……キャウァァァァ!
空はすっかり曇天に覆われているというのに、ぼくの真っ正面前には夕陽が、雲の割れ目から「こんばんはー」。
雨雲からわずかに顔を覗かせた夕焼け空

これでは、やっぱり今日は傘いらなかったんじゃないかしらん。
いやいや、それでも、持っていかなかったら持っていかなかったで、きっと雨が「これでもかっ!」と言わんばかりにザァザァと降っていたことでしょう。

ああ、そうさ!
だからぼくの人生や性格はこんなに薄汚れちまっているのサ……。