桜庭一樹『青年のための読書クラブ』はサイン本とフリーペーパーでお祭り状態

桜庭一樹の新刊『青年のための読書クラブ』がサイン本で、「ウソッ!」って言ってしまうぐらいにあちらこちらの店で積み上げられています。
特設平台に積み上げられた桜庭一樹『青年のための読書クラブ』
今週末に池袋リブロで行われるサイン会に行く予定なのですが、やはり中身が気になる桜庭一樹サイン。
ちょうどシュリンクが掛けられていない本屋さんがあったので、「どれどれ」と中身を確認してきました。
すると......おおう!
今回のワンポイントシール、とってもキュートでプリティーですよ!
今まで見てきたなかでも一番プリティーなタイプかもしれません。
これってひょっとすると、物語内で新聞部のカメラマン「キャパ」がはいていたパンツの柄なのかしらん......と思い、家に帰ってから改めて確認しました!
あら残念。
「キャパ」がはいていたパンツの柄は"パンダ柄"だったのでした。

そして、こちら紀伊國屋書店の新宿南店では特設平台にサイン本だけではなく、フリーペーパー「Darkness book catalog」も置かれてありました。
「ご自由にお取りください」が嬉しい桜庭一樹応援フリーペーパー「Darkness book catalog」
内容は、物語舞台である聖マリアナ学園読書クラブの「蔵書リスト」。
「先輩たちが作りあげてきた読書クラブの蔵書のなかから30冊をセレクトした」ということになっているのですが、これらの本の発行年が1901年から2002年までと、ほぼ100年になっているところに"こだわり"が感じられます。
しかも、「"(読書クラブの)部室に本を寄贈していただいた方"から貴重なコメントをいただいた」として桜庭一樹のコメントが載っているという、実にメタなつくりになっています。
また全体としてはクラブ誌の体裁をとっていて、とても凝ったものになっています。
しかし残念ながらこのフリーペーパー「Darkness book catalog」だけ読んでも、あまり意味が判らないと思うのですね。
なので、まずは『青年のための読書クラブ』を読んで、この物語が持つ世界観にどっぷりと浸ってから、さらに「Darkness book catalog」を読むと、『青年のための読書クラブ』におけるストーリーの幅が広がると思うのです。
きっとこれは販促品と言うよりも、『青年のための読書クラブ』を楽しむためののオマケみたいなものなのでしょうね。

なお、この「Darkness book catalog」ですが、今日見たときは残り2部ほどしかありませんでした。
ただし、いつものフリーペーパーのごとく、なくなると新しくコピーをドンドンして補充していくことと思うので、焦る心配はいらないでしょう。
でもこれは前々から気になっていたのですが、どうも店によっては、補充していくごとにコピーの質が悪くなっていっているような気がならないのですね。
まさかとは思うのですが、「コピーからコピーをとっている」ってことは......ないでしょうね。
うーん、でも気になります。
やっぱりあるうちになるべく早めにいただいた方がよいかもしれません。
(どないやねん)

さて、今回のこの新刊『青年のための読書クラブ』は、以前に参加したMYSCON 8でご本人が「今後の出版予定作品」として紹介されていたものでした。
しかしその予告されていた内容があまりにスットンキョーだったため、いったいどんな話なんだ?とずっと楽しみにしていたのですね。
だから、もう買うなりすぐに読んでしまいましたよ。
しかしこれがまた予想どおり......いや、予想以上におバカ全開で(もちろん、いい意味で)大爆笑モノなんです。
いや、きっと作者である桜庭一樹本人は至ってマジメに書いたのでしょう。
しかし「書きたいように書いていたら、いつの間にかこうなってしまった......」という感じのストーリー展開なんですね。
例えていうなら、ジョン・ウー監督作品のアクション映画みたいなものでしょうか。
別にジョン・ウー自身は「アクション映画で笑わせてやろう」なんて微塵にも思っていないはずです。
しかし彼の映画作品を観ると、ものすごくおバカっぽくて笑えて仕方ないのは、きっと彼自身が自分の欲求にストレートに応えてマジメに撮った結果、観客が「行き着いてしまったところがそこかい!」みたいなツッコミの笑いのせいだと思うのですね。
『青年のための読書クラブ』も、そんなジョン・ウー監督作品(あるいは『リベリオン』でもいいや)と同じ香りがしてやまない、愛すべき「おバカ度全開」の作品なのでした。

また桜庭一樹自身がMYSCON 8で述べていたことですが、前作『赤朽葉家の伝説』では様々な思惑から「50年」の歴史を描いたそうです。
しかし実際にはバージニア・ウルフの『オーランドー』のように、300年に渡って1つの視点に絞った物語を書きたかったそうなのです。
今回は、読書クラブで伝統的に受け継がれてきた「"秘密のクラブ誌"の存在」という趣向を用いることで、物語として100年に渡る学園の創世から新たな歴史への移行という一大叙事詩を描くことができ、『オーランドー』へのオマージュを捧げることができたのではないかと思うのです。
いや、あるいは桜庭一樹版『百年の孤独』と言った方がいいのかもしれませんが。

コメント

突然失礼いたします。桜庭一樹さんの「青年のための読書クラブ」を読んで、いろいろと
ネットで調べていたらこちら辿り付きました。突然で申し訳ありません。
フリーペパーの「Darkness book catalog」の内容をご存知でしたら教えて頂きたいです。
「先輩たちが作りあげてきた読書クラブの蔵書のなかから30冊をセレクトした」ということになっているということで、ぜひ、その本を読みたいのです。
お忙しいとは思いますがご連絡頂けたらと思います。
勝手なお願い申し訳ありません。
よろしくお願いします。

ゆかさん、こんにちは。コメントをありがとうございます。
確かに調べてみたところ、「Darkness book catalog」の内容についてはあまり触れられていませんね。
ということで、コードネーム「永遠の本棚」による“マリアナ学園読書クラブ 蔵書リスト”を以下、抜き出しておきますね。
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発行年/書名
1901 みだれ髪
1903 緋文字
     → 2009年読書クラブ誌参照のこと
    マクベス
     → 1990年読書クラブ誌参照のこと
1907 ハムレット
     → 2009年読書クラブ誌参照のこと
1912 サロメ
1914 アンナ・カレーニナ
1917 秘密の花園
1920 シラノ・ド・ペルジュラック
     → 1990年読書クラブ誌参照のこと
1922 紅はこべ
     → 2019年読書クラブ誌参照のこと
1925 黒薔薇
    ゼンダ城の虜
1930 ジェインエア
1931 オーランド
1936 黒いチューリップ
1938 風立ちぬ
1939 女生徒
1946 チボー家の人々
1951 デミアン
1954 悲しみよこんにちは
1960 パルタイ
1975 雪の断章
1976 はみだしっこ
1978 マンスフィールドパーク
1979 西瓜糖の日々
1983 エレンディラ
1991 人体模型の夜
    → 2009年読書クラブ誌参照のこと
1994 西の魔女が死んだ
1995 日月両面世界旅行記
2002 黄色い本    
    下妻物語
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以上です。
ちなみに1930年は「ジェイン・エア(ジェーン・エア)」、1931年は「オーランドー」、1976年は「はみだしっ子」、1978年は「マンスフィールド・パーク」だと思うのですが、1995年の「日月両面世界旅行記」というのは判りませんでした。
いずれも「Darkness book catalog」の原文ママで表記しています。
シラノの「日月両世界旅行記」だったら17世紀だし……うーん。