ここ最近、こちらのブログでの更新は、珍しくミステリ関連のものが多くなってきました。
看板に偽りなし、いいことです。
と言うのも、やはり今年、2007年は「講談社ノベルス創刊25周年記念」として、数多くのイベントが仕掛けられているからなんですね。
数えてみました。
すると5月から6月にかけてのわずか2ヶ月弱の間に、これだけの数が講談社ノベルス関連としてエントリーしているんですよ。
(一部、「講談社ノベルス25周年記念」イベントとはまったく関係ないエントリーも混じっていますが、そこはそれ、講談社ノベルス関連には違いないということで)
- 2007年5月11日:桐野夏生と勇嶺薫のサイン会と講談社ノベルス特製しおり
- 2007年5月22日:蘇部健一が放つ最終兵器
- 2007年5月27日:勇嶺薫サイン会(リブロ池袋本店)
- 2007年6月10日:講談社ノベルスの特製グッズ、取りたい放題
- 2007年6月10日:講談社ノベルス25周年記念「全国25ヵ所サイン会&トーク会」のナゾ
- 2007年6月20日:京極夏彦サイン入りで旅から帰った『邪魅の雫』
- 2007年6月24日:フレンドリーな霧舎巧サイン会、取りたい放題の講談社ノベルス特製しおり
2007年の今年が「講談社ノベルス創刊25周年記念」なのであれば、その5年前、2002年は「講談社ノベルス創刊20周年」だったのです。
(当たり前だ)
このときの「講談社ノベルス創刊20周年記念」のイベントが「密室本」シリーズの発行だったのですね。
扉から奥付まで含めたすべてのページ(つまり、表紙・裏表紙ページ以外の中身がすべて)が袋綴じされた状態、つまり"本が密室状態である"「密室本」が、メフィスト賞受賞作家たちの手による書き下ろしで、1月から12月までの1年間で16冊発行されたのでした。
そんな「密室本」シリーズ、毎月の発売日には、わざわざ"開封用"と"未開封用(置いておく用)"の2冊買っていたんです。
嗚呼、「大人」ってヤツの穢れにまみれているぜ、オレ。
そんな5年前から既に穢れきっていた自分を懐かしく思いながら(懐かしむんかいっ!)、久々に本棚に並んでいる「密室本」を眺めていたのです。
......が、あれ?
数が合わないようなのです。
もう一度数え直してみましょう。
やっぱり15冊しかありませんよっ!
どうなっているのでしょうか。
確かに当時、ぼくは「これで「密室本」シリーズはすべてコンプリートしたぜ!ワハハハハ......」と哄笑した覚えがあるのですよ、穢れきった自分に乾杯。
なのに1冊、数があいません。
ええっと。
念のために、2002年当時に出版された「密室本」をもう一度、チェックしてみましょう。
- 2002年1月:『捩れ屋敷の利鈍』(森博嗣)
- 2002年1月:『QED 式の密室』(高田崇史)
- 2002年2月:『それでも君が』(高里椎奈)
- 2002年4月:『芙路魅(Fujimi)』(積木鏡介)
- 2002年4月:『四月は霧の00(ラブラブ)密室』(霧舎巧)
- 2002年4月:『世界は密室でできている。』(舞城王太郎)
- 2002年5月:『浦賀和宏殺人事件』(浦賀和宏)
- 2002年6月:『樒(しきみ)/榁(むろ)』(殊能将之)
- 2002年6月:『袋綴じ事件』(石崎幸二)
- 2002年8月:『クリスマス・テロル』(佐藤友哉)
- 2002年8月:『クビツリハイスクール』(西尾維新)
- 2002年9月:『木乃伊男』(蘇部健一)
- 2002年9月:『迷宮学事件』 (秋月涼介)
- 2002年12月:『秘密室ボン』 (清涼院流水)
- 2002年12月:『殺しも鯖もMで始まる』(浅暮三文)
- 2002年12月:『闇匣』(黒田研二)
うーん、やっぱり数が合いません。
何が足りないのか、1冊ずつ突き合わせ照合していったところ......おおう!
積木鏡介と舞城王太郎の間が抜けていたのですよ。
その本は......
『四月は霧の00(ラブラブ)密室』(霧舎巧)
どひゃー!
この本って密室本だったのですか!
......そうそう、すっかり思い出しました。
基本的に「密室本」の表紙カバーは、西尾維新や佐藤友哉、あるいは高里椎奈のような路線の作家は別として、"辰己四郎"風の表紙デザインだったのですね。
ところが!
それまで「開かずの扉研究会」シリーズで、ガッチガチの新本格ミステリ路線だった霧舎巧が、いきなりタイトルが『四月は霧の00(ラブラブ)密室』、しかも表紙絵も「何じゃこの絵は!」とツッコむばかりのポップでキュートなライトノベル路線になってしまっていたのです。
大衝撃。
例えるなら、渡辺淳一が「新本格ミステリはいいのう」と上機嫌で褒めまくった挙げ句、「直木賞だ、直木賞! 新本格ミステリにはドンドンと直木賞をやりなさい」と言い出し、周りの選考委員が「ご乱心でござるか」と慌てふためくぐらいの衝撃度......と言えば判っていただけるでしょうか。
この表紙を見て、もうすっかり「密室本」のことなんて頭から吹っ飛んでいましたよ......。はあ。
それに、この月(2002年4月)には霧舎巧以外にも、積木鏡介と舞城王太郎と、2冊も「密室本」が出ていたから別に変に思わなかったのでしょうね。
1冊も出ていない月は「おかしいなあ」とチェックをしていたはずなので......。
ぐはー!
それにしても なんて悔しい!
でも、もう今さら2002年の本なんて買えやしないし!
(いや重版分は十分に手にはいるのですが、「密室本」としてはもう無理でしょう)
ああ、コンプリートしているつもりだったのに。
あと一歩で及んでいなかったこの悲しみよ、こんにちは。
フランソワーズ・サガン風に締めくくって今日はもう寝ます。
(いや、別に斉藤由貴でもいいのですが)