こんなところでロケしてました

寝ぼけ眼で大手町。
朝っぱらだというのに、何やらサンケイビルの方角からとてつもない明るさを感じるのでした。
太陽の光とは違う、メチャクチャ人工的なにおいを感じさせられるそんな光が目を射貫くのです。
何というのか、眩しさがビルの向こうから溢れてしまい、こちらに押し寄せてくる、そんな感じなんですね。
「うへえ、こいつは朝から眩しいぜ。でもおかげでスッキリと目が覚めたぜ」
不自然なほどやたらと語尾に「ぜ」がつくあたり、意味が判りません。
とにかく、それぐらい眩しかったものだと思ってください。
(余計に意味が判りません)

サンケイビルには特に用事はなかったのですが、その煌々とした明りに幻惑され、まるで誘蛾灯に吸い寄せられる夏の虫のようにフラフラとそちらの方まで行ってしまいました。
文字通り、"飛んで火に入る夏の虫"状態のぼく。
会社は......まあいいでしょう(よくありません)。
ビル前に出てみると、人混みでガヤガヤ。
おお! 明るさの元はアレだったのですね。
何やらロケの準備中
サンケイビル前でロケが行われるようなのです。
本番はまだのようで、エキストラのお兄さん、お姉さんたちがサラリーマンやOLの格好をしてスタンバイしています。
照明のタワーを組み立て、カメラもわざわざレールを敷いて移動ができるようになっているところは本格的ではありませんか。
うわおう、いったい何のロケなんだろう......と興味津々。
本番が始まるまで観ていたかったのですが、東京の人って皆、クールなんですよ。
誰ひとりとして立ち止まることなく、通り過ぎていくのです。
うわーん、そんな中、ひとり立ち止まって野次馬になる勇気はありません。
いや、まるっきり無関心という訳でもなさそうです。
「ん、何かやっているな」と現場の方を見ながら、歩き去っていくのですから。
だったらみんなー、そんなに気になるんだったらちょっとは立ち止まって見ていこうぜ!
......心のなかで叫んでも、誰にも届きはしないのでした。
そんな訳で、いったい何のロケなのか、そして誰が撮影に来ているのか、何一つ情報が判らないまま、泣く泣く、現場を後にしたのでした。

しかし会社に着いてから「そうか!」
いいことを思いついてしまいましたよ。
ぼくの格好はスーツを着て立派にサラリーマンなのですから、何気なくエキストラに混じって「まだ始まらないんですかねえ」などとスタンバイしていればよかったのです。
これだったら、野次馬になって恥ずかしい思いをすることなく何のロケか判ります。
いや、ひょっとするとテレビに出演できていたのかもしれないのですよ!
しかしもう会社に来てしまっています。
もうロケ現場に出向けるはずもなく、もったいないことをしたと後悔しながらオシゴトに専念するサラリーマンの鑑なのでした。