うわ、田中康夫だ

陽が長くなりましたねー。
ちょっと前までは、もう真っ暗になっていた時間帯でも明るくなっています。
会社前にある大通りの交差点で信号待ちをしているときに、フト横を見ると、大通りの向こう側にまだ夕焼けの名残がビルの隙間から見えていたのでした。
交差点で信号待ちをしながら、ビルの谷間越しに夕焼けの名残を眺める
信号が青になって、通行人たちにもみくちゃにされながら渡らざるを得なくなってしまうその前に、急いで写真を撮っておこう……とカバンからカメラを取り出してカシャカシャやっていた、そのときのことです。

突然に後方から、拡声機を使って何かをトツトツ述べている声が聞こえてきました。
右翼のような高圧的なものではなく、また選挙のように無意味な絶叫連呼ではありません。
しかしながら断片的に聞こえてくるキーワードは、「道路公団……」「民営化……」などとまさに選挙そのもの。
しかもこの演説が、本当にトツトツと述べられていて、聞いていて心地よささえ感じてしまうほどだったのです。
またこの拡声機の声に混じって、これまたどこか気の抜けた感じで

「みなさぁ~ん、こんにちはぁ~」

という声も聞こえてきます。
いったい何だろうと、そちらの方を見てみると……ああ、あれか。
やはり信号待ちをしているクルマでした。
その中の1台、白いワゴン車がどうもそれらしいのです。
ルーフ部分には拡声機のスピーカーと、……あれは何でしょうか、手作り感に溢れてお世辞にもスマートと言えない看板を載せています。
まさに選挙時の演説カーのようなものなのです。
しかし都知事選、区長選、区議選と、もう一通り選挙は終わったはずですよね。
なのになぜ今頃演説カー?

そして、そのワゴン車の後部座席の窓を開け、その向こうからひとりの男性が、なぜか恥ずかしそうにこちらに向かって手を振っています。
相変わらず

「みなさぁ~ん、こんにちはぁ~」

に混じって、たまに

「ありがとぅございまぁ~す」

と言う声が聞こえるのは、誰か手を振り返す物好きでのいるのでしょうか。
そんなことで、その気恥ずかしそうに後部座席の窓の向こうから手を振る男性をよくよく見てみると……

田中康夫だよ、あれ!

長野県知事を追われ、今や優雅にプー太郎の身かと思いきや、なぜかスマートとは決して言えない「新党日本」と党名の書かれた看板を載せたワゴン車の車内から、丸の内で恥ずかしそうに手を振っているのです。

あまりの突然の出来事に、手にカメラを持っていたにも関わらず、呆然とクルマが、いや、田中康夫が手を振りながら通り過ぎていくのを見送るだけだったのでした。
アカンやん。
しかし本当にアカンのは、田中康夫に洗脳されそうになってしまっている自分のことです。
何しろ、拡声機を使ってあれほどまでに心地よい演説を聞いたのは初めてのことなんですもん、「もっと聞きたい」と思わされるのでした。
また田中康夫自身の

「みなさぁ~ん、こんにちはぁ~」

という気の抜けた挨拶も、さらに耳に心地よく聞こえてさえくるのですね。
絶叫連呼型の選挙の演説カーとはエライ違いです。

……う、ヤバイヤバイ、これは本格的に田中康夫に洗脳されそうになってしまっているようです。
もしぼくが田中康夫に洗脳されてしまったら、きっとこのブログも「ぼくのミステリなペログリブログ」などと訳の判らないタイトルに変わってしまい、とてつもなくイヤラシイてエロくて変態チックで、それでいて高慢な態度がむかつくブログになってしまっていたところでした。
あぶないところでした。