劇団乞局「媚励(ビレ)」(こまばアゴラ劇場)

先週は週末に電池が切れてしまい、せっかく前売券を買ってた指輪ホテルに行けずじまいでした。
どうも今年は本当に、週末のお出かけは1回こっきりになってしまいそうな、そんな気がします。
(と言いながら、もうすでにお盆まで週末の予定は結構埋まっていたりするのですが……とほほ)

体調を万全に整えた今日は、劇団乞局(こつぼね)を観にこまばアゴラ劇場にやって行ってきました。
こまばアゴラ劇場
そう言えば、ここ最近は一時よく通っていた劇場のメッカ“下北沢”より、その手前の駒場に来ているような気がしてなりません。
最後に下北沢に行ったのっていつのことなのよ!となぜか妙なオカマ言葉になりながら調べてみると……オオウ。
去年の11月、ナマ竹下景子を目と鼻の先数十センチのところで見たのが最後のことなんですね。
それ以来、半年は行っていないのです。

そんなことはどうでもいいのです。強引に駒場に話を戻しましょう。
今回の劇団乞局、実は初見なんですね。
では、なぜそんな劇団を見に来るのか。
それは……ひょっとこ乱舞の伊東沙保さんが客演しているからなんです!
ウシャシャシャシャシャ。
会場は自由席の上に、行ったのは開場直後。もう座りたいところを選びたい放題なんですよ。
もう速攻で最前列に陣取っちゃったですもんねー、えっへっへ。
(でも真ん中に座ると後から来る人に邪魔かな、と遠慮して一番隅っこに座ったのですが)

ストーリーは一言で言ってしまうと、「かつては隆盛を極めた家柄の“屋敷”に住まう三姉妹の物語」。
しかし、なぜかその“隆盛を極めた家”はいまや面影もないらしいのです。
屋敷は「保存会」の面々によって管理されており、女性専用の下宿として部屋を貸し出されています。 三姉妹は「大家」として何となく生活をしている……といったもの。
内容は至ってシンプルながらも、登場人物が揃いも揃って一癖も二癖もあるため、ストーリーはかなり人間の嫌な部分、特にオトコとオンナの嫌な部分を「これでもか」「これでもか」と見せつけてきます。
しかしながらその描き方はストレートではありません。
ソフトながらも静かにエグイ部分を徐々に見せてくるため、何というか、真綿で徐々にノドを締め付けられてくる気持ちの悪さを味わうのですね。
主役である色麻(シコマ)家の三姉妹も、その癖の悪さをかなり引き立てられており、特に精神不安定な長女の絡まり方には、観ている方にもサブイボが立つ思いでした。
また家を飛び出した次女、のらりくらりとした三女も、ストーリーの波乱を引き立てていき、ついにはクライマックスで、冒頭に提出された謎が回収されて行くという、ある意味ミステリ的な手法がとられているのでした。

しかし本当の主役は三姉妹ではなく、その「屋敷」であり、「色麻家」という家柄にあったような気がするのです。
屋敷なんて「洋館」と呼ばれるにふさわしい白塗りの外観で三階建て。
二階には陽当たりのいいガーデンテラスがあり、舞台はそのガーデンテラスと言う設定なのでした。
人々はそのガーデンテラスで集い、くつろぎ、食事をし、酒を飲み、ウワサ話に花を咲かせ、ドロドロした人間関係を繰り広げるのです。
ドロドロした人間関係はともかくとして、その心地よさそうなガーデンテラスに「いいなあ」と言う気持ちがずっとあったのでした。
だからもっと屋敷そのものにもスポットを当ててほしかったですね。
どのような間取りになっているのか、誰の手によっていつ頃建てられ、なぜそんな間取りになったのか……などなど。

また作者は三姉妹の物語を描写するに気をとられたのか、それともわざとなのか

  • 「色麻家は何で隆盛を極めたのか」
  • 「なぜ色麻家は没落したのか」
  • 「なぜ保存会が存在するのか」
  • 「三姉妹はなぜ毀れたのか」

といった背景はまったく描こうとしていません。
そのほかにも気にある背景はたくさんあるのですが、一切合切は省略されています。
「まあ、何も言うな。オレのハナシを黙って聞け」状態なのですね。
しかし、こうした物語の本当の主役は“その背景”にあると思うのです。
その背景を描き出すことで、現在ある三姉妹の存在がよりリアルに浮かび上がってくる、そんな気がしてなりません。
それだけに、こうした背景を思い切って省略してしまった今回のストーリーは非常にもったいないと思ったのでした。
劇団乞局「媚励(ビレ)」(こまばアゴラ劇場)

劇場を出てみると、ありゃりゃ! 雨降ってるよ!
幸いにしてこまばアゴラ劇場から、最寄りの駒場東大前駅までは近いので、何とかOKでした。
が、問題は自宅最寄り駅から家までの距離です。
うーん、仕方ありません。駅のキオスクで折りたたみ傘を買いましたよ。
(ビニール傘だと今後も使えずもったいないですからね)
ところが! Oh~!
折りたたみ傘をスタンバイして、自宅最寄り駅の改札を出たところ……「雨降ってないよ」。
すっかり雨はやんでいたのでした。
駅のキオスクで最後の1000円札を使ったので、財布のなか、スッカラカンです。
コンビニで晩ご飯のお弁当を買うこともできず、傘の分だけやけに重たく感じるカバンを肩からぶら下げながら、トボトボと家路についたのでした。