こんなところでプチ新刊タワー

その昔、今はなき2時間サスペンス(「火曜サスペンス劇場」とか「土曜ワイド劇場」とか)全盛期には、我が家で「変態夫婦」などとヒドイ呼ばれ方をしていた俳優夫婦がいます。
中尾彬と池波志乃のご夫妻です。
何しろ、そのどちらとも演じるのは、もうねちっこいわ、ねばっこいわ、イヤラシイわと、観ていてもうイヤになるほどの役ばっかりだったのですよ。
だから我が家ではずっとあの2人が出てくると、「あ、変態夫婦が出てきたで」「きっと普段の生活もあんな変態ぶりを夫婦で発揮してるんじゃないか」なんて家族で議論していたのでした。
(我が家の方がいったいどんな家族やねん)

ところが。
今や中尾彬はバラエティ番組で押しも押されぬ大人気を確立したオヤジキャラの代表格。
例え中尾彬という名前を知らなくても、ねじり鉢巻きならぬ「ねじりマフラー」のあのオジサンといえば判るほどの人気者になっちゃいました。
一方の池波志乃も、いつの間にか「エッセイスト」の肩書きで、なぜかミステリなどの書評を書くようになり、「このミス」にも投票したりするようになってしまっているのです。
かつての「変態夫婦」が、いまや「文化人」のようになっちゃったのですよ、お父上、お母上、妹よ。
そう、まさに月日は百代の過客にして行き交ふ年も又旅人也というわけなのです。
(by 松尾芭蕉)

さて、そんな元「変態夫婦」の片割れにして(← やっぱりヒドい書き方だ……)、現「エッセイスト」の池波志乃が、本を出したということで特設平台にドーンと品出しされていました。
池波志乃の新刊エッセイがタワー積み
これぞまさしく新刊タワーですっ!

……が、どうもおかしいのです。
以前に別の本屋さんで見かけたタワーのように(↓)
村上春樹訳のレイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』がスゴイことになってます
「これでもかっ!」などと積み上げすぎて、挙句の果てに崩れそうになっていたトリッキーなツイストタワーはムリとしても、低いのです。低すぎる。
これでは「タワー」としての意味合いを成していません。
しかも雑なんですよ、雑。メチャクチャ雑。
これだったら、まだ不器用なぼくの方がきれいに積み上げて見せますって。

こんな特設の平台という一等地に、いったい何が起こったのか……とよくよく見てみました。
すると……
池澤夏樹のエッセイなのでした
出たーっ!
本も作者もまったくの別物だったのでした。 どこでどうこんがらがってしまったのか、“池波志乃”のエッセイの平台に“池澤夏樹”のエッセイが、雑な新刊タワーとして建立されていたのです。

“池”しかあってないやん。

これはいったいどうしたことなのでしょうか。

  • 新入社員が、作家名の“池”だけを見て早合点してしまい、新刊タワーを組み立てた
  • 「“池”だけで早合点して買う客がいるぞ。うへへへ」という池澤夏樹サイドの陰謀
  • 本の池澤夏樹が本の池波志乃に言い寄っている
  • 中尾彬のマフラーは夏になると暑苦しい
  • 中尾彬と江守徹とたまに混同してしまう
  • そんなときは「マフラーをねじっている方が中尾彬」と認識する

何だかよく判らなくなってしまっていますが、要は池波志乃の上に池澤夏樹が乗っかっているというイヤラシイ構図なんです。

しかも、池波志乃には新たにこんな悲劇が待ち受けていたのでした!
サイン本なのに片隅に放置されていたのでした……
なんと、せっかくのサイン本なのに、買い物カゴに入れられたまま、店の片隅に放置されていたのでした……。
いや、これから池澤夏樹をどけて、このサイン本を置くのかもしれません。
いや、そうなんでしょう。
では池澤夏樹はどこへ行くというのでしょうか。
そして、最大のナゾは「どうして池波志乃のサイン本が、小手鞠るいの特設平台の横にそっと逆さ向きに置かれていたのか」。
日常系のナゾですよ。

きっと本屋さんの品出しには、我々シロートでは計り知れない大きな大きな“何か”があるに違いないのですね。