ページ/4ページ |次のページ最終ページ

シティボーイズミックス「モーゴの人々」(天王洲 銀河劇場)

今日は毎年ゴールデンウィークのお楽しみ、シティボーイズのライブを観に、天王洲へ行ってきたのでした。
シティボーイズミックス「モーゴな人々」

それにしてもこの「銀河劇場」ってどこなのよ、と思っていたら、以前で言うところの「アートスフィア」だったのですね。
昨年に改装をして、そのついでに名前も変わっちゃったようです。
確かに、「アートスフィア」という名前は、どこか下北沢か新宿にある小劇場のような印象を受けていたので、ちょっと規模と名前があってないなあとは思っていましたが......それが一気に「銀河劇場」!
急にスケールが大きくなってしまいました。
もっと中間ぐらいでいいんじゃないでしょうか。

  • 太陽系劇場
  • 地球劇場
  • ユーラシア劇場
  • 亜細亜劇場
  • 大日本劇場

ダメですよ、まだまだ規模が極端にデカ過ぎです。
それならば、いっそのことストレートに

「天王洲劇場」でどうだ!

......ストリップ劇場みたいになってしまいました。

ちなみにこれが「銀河劇場」です。
そのまんま、アートスフィアです。
中に入っても、どこがどう改装されたのかよく判りませんでした。
「アートスフィア」とどこが変わったのかよく判らなかった「銀河劇場」

いやいや、そんな劇場の名前はどうでもいいのです。
シティボーイズですよ、シティボーイズ。
毎年、ゴールデンウィークに公演を行うのはいいのですが、これまた毎回行くたびに「以前ほどのパワーが感じられない。そろそろ行くのをやめるべきか」と言い続けながらも、ズルズルと観に行ってしまっては、後悔していたのですね。
そんな訳でついに、去年の公演(「マンドラゴラの降る沼」)は行くのをやめました。
その代わりにWOWOWで放映されているのを観たのですが......しまった!
面白かったのです、メチャクチャ面白い。
往年のパワーが復活していて、ドタバタもあり、何よりストーリーがこれまでのような「やりっ放し」ではなく、ちゃんとオープニングに回収されていくオチが、三木聡時代を彷彿させて良かったのです。

これはいかん、やっぱりシティボーイズを観に行かなければ、ゴールデンウィークという気がしないしな......と今年はチケットをとったのです。
そしたら場所は「銀河劇場」と来たわけですよ。
「銀河劇場? どこだそりゃ......」と、ここで話は冒頭に戻ってしまうわけです。
いや、戻ってはいけません。
今回は、残念ながら冷徹なツッコミ役のいとうせいこうは出演していなかったのですが、客演として大森博史にムロツヨシと、"しっかりとした"役者を揃えての公演。
しかし今年もやっぱり! 往年のパワーが復活しており、見事にドタバタが発揮されていたのでした。
やはり中村有志の妙なテンション、あれがおかしいのですよね。
また客演としては、大森博史の怪優ぶりには目を見張るものがありました。
全体的にはパワーがあり、それでいて「言い意味での」どこかグダグダ。
これがやっぱりシティボーイズなんだなあ......と満足した約2時間の公演なのでした。

やはり今年もステージの模様はWOWOWで放映されると思うのですが、きっと放送できないであろうギャグやセリフも多数あって、カットが予想されます。
(カットされなくても音声はピー音で、画像はモザイクで消されるだろうなあ......と)
そんな訳で100%楽しむためには、やっぱり来年からも行こうかしらんと思うのでした。

篠田真由美サイン会に行ってきました

篠田真由美の新刊『風信子(ヒアシンス)の家 神代教授の日常と謎』発売記念のサイン会が、丸善丸の内店といういつもウォッチングに欠かせない本屋さんで行われるということで参加してきました。
篠田真由美サイン会の告知
考えてみたら、サイン会なんて去年10月の「京極夏彦・大沢在昌合同サイン会」以来ですから、もう半年ぶりです。

サイン会の開始は18時30分からとのことでしたが、早めに行き、18時過ぎに会場の様子を見てみると......おお。既に列ができはじめています。
慌てて本を取りに行き、空いているフロアのレジでお会計を済ませて並びました。
早めに並べたのは良かったのですが、順番的には最悪でした。
ぼくの後ろに若い男性と年かさの女性の2人連れが並んだのですが、とにかくこの女性の方のやかましいこと、やかましいこと。
どうも話す内容から、この方、権威のある賞に関係のある某出版社の方らしいです......というか、丸判りです。
しかもこの方、とにかく話すことに夢中なのか、肩から提げたカバンやその方の身体がぼくにドンドンと当たるのです。しかも全然気が付いていないようです。
鬱陶しいことこの上ありません。
仕方なく、ぼくの方で身体に当たらないように向きを変えると、どういう訳か、ギャーギャー話しをしながらも向きを変えた方向に向かってピンポイントでカバンがガンガン、身体がドンドン当たってくるのですよ。
もうね、アメリカ軍の戦闘機にロックオンされた気分はこんなものなのか、と絶望感に襲われてしまいました。

さりげなく「当たっていますよー」と視線でアピールしたのですが、話すことに夢中でさっぱり気付いて貰えません。
ならば、相づちを打つお連れの男性に「アナタのお連れの女性が、ぼくにドンドンとぶつかってきて鬱陶しいのですよー」とアピールしようとしたのですが......ありゃりゃ。
そのお連れの若い男性、女性の方を見ずにどこかよそを向いていて、ぼくのすがるような視線には気づいてもらえないのでした。
いや、もし気が付いていたとしても、その女性の話し方や態度から発せられる

「ワタシは天下の●●●●社なのよ。ワタシに刃向かう輩は、遠慮なく潰しちゃうからね」

というオーラに押されてしまって、注意はできなかったかもしれません。

そしてこの女性は絶口調となり、ついには、ある物書きの方の悪口まで言い始めちゃいました。
天下の●●●●社の方が、公共の場(しかも自分の商売のテリトリーである本屋さん)のど真ん中であんな大声で、お願いする立場にある方の悪口を言うのですから......うひゃあ、恐ろしい世界ですよ。
しかも、その物書きの方と同じスタンスでいる割とキャリアの長い別の物書きの方は

「あの人はまだいいんだけどねー」。

その露骨な権威主義的なお言葉に、現代ニッポンの文壇社会を垣間見た思いがしたのでした。
文壇世界とは、かくもコワイ世界のようです。

しかし早くから並んで先頭の方にいたのが幸いしました。
後方からぼくの身体にタックルを食らわせ続けながら、現代ニッポンの文壇社会におけるキビシイ現実世界を絶口調で思い知らされ、気が狂う寸前に無事、ぼくの順が回ってきたのでした。

「お願いします」と席に着きながら、為書きには例によって例のごとく、「サイト名も一緒にお願いできますか」。
このセリフを恥ずかしげもなく言うあたり、ひょっとしたら後ろに並んでいた天下の某出版社のタックル女性と同レベルの厚かましさを身につけてきているのでしょうか。
篠田真由美はサラリサラリと"書庫の部屋"と書きながら、「書評サイトをされているのですか」。
......う、痛いところを突かれてしまいました。
「あ、いや、その昔は......あははは」と言葉を濁します。
「篠田さんには、TRICK+TRAPで何度かお見受けしたことがあるのですよ」と言ったことから、話題は自然とTRICK+TRAPのことになっていきました。
「いつかあそこでサイン会をしたかったのですけどねえ」とのこと。
やはりTRICK+TRAPでのサイン会は、作家の方にとっても一種のステイタスなのかもしれません。
また、「戸川さん、お店を閉めてからすごくつまらながっているらしいですよ」とも言われていました。
さらには「あの店に作家が行くと、すべての本にサインさせられたんですよ」と楽しそうに笑っておられたのが印象的でした。

落款まで押していただいたところでサインは終了。
サイン本を受け取り、「ありがとうございました」と立ち去ろうとしたところで「これをどうぞ」。
今回のサイン会のために用意された特別ペーパーだそうです。
内容は篠田真由美のご挨拶に今後出版予定されている作品の紹介、そしてメインは短いながらもちょっとした"お楽しみ企画"となっているのでした。
篠田真由美『風信子(ヒアシンス)の家 神代教授の日常と謎』サイン本

うわ、田中康夫だ

陽が長くなりましたねー。
ちょっと前までは、もう真っ暗になっていた時間帯でも明るくなっています。
会社前にある大通りの交差点で信号待ちをしているときに、フト横を見ると、大通りの向こう側にまだ夕焼けの名残がビルの隙間から見えていたのでした。
交差点で信号待ちをしながら、ビルの谷間越しに夕焼けの名残を眺める
信号が青になって、通行人たちにもみくちゃにされながら渡らざるを得なくなってしまうその前に、急いで写真を撮っておこう……とカバンからカメラを取り出してカシャカシャやっていた、そのときのことです。

突然に後方から、拡声機を使って何かをトツトツ述べている声が聞こえてきました。
右翼のような高圧的なものではなく、また選挙のように無意味な絶叫連呼ではありません。
しかしながら断片的に聞こえてくるキーワードは、「道路公団……」「民営化……」などとまさに選挙そのもの。
しかもこの演説が、本当にトツトツと述べられていて、聞いていて心地よささえ感じてしまうほどだったのです。
またこの拡声機の声に混じって、これまたどこか気の抜けた感じで

「みなさぁ~ん、こんにちはぁ~」

という声も聞こえてきます。
いったい何だろうと、そちらの方を見てみると……ああ、あれか。
やはり信号待ちをしているクルマでした。
その中の1台、白いワゴン車がどうもそれらしいのです。
ルーフ部分には拡声機のスピーカーと、……あれは何でしょうか、手作り感に溢れてお世辞にもスマートと言えない看板を載せています。
まさに選挙時の演説カーのようなものなのです。
しかし都知事選、区長選、区議選と、もう一通り選挙は終わったはずですよね。
なのになぜ今頃演説カー?

そして、そのワゴン車の後部座席の窓を開け、その向こうからひとりの男性が、なぜか恥ずかしそうにこちらに向かって手を振っています。
相変わらず

「みなさぁ~ん、こんにちはぁ~」

に混じって、たまに

「ありがとぅございまぁ~す」

と言う声が聞こえるのは、誰か手を振り返す物好きでのいるのでしょうか。
そんなことで、その気恥ずかしそうに後部座席の窓の向こうから手を振る男性をよくよく見てみると……

田中康夫だよ、あれ!

長野県知事を追われ、今や優雅にプー太郎の身かと思いきや、なぜかスマートとは決して言えない「新党日本」と党名の書かれた看板を載せたワゴン車の車内から、丸の内で恥ずかしそうに手を振っているのです。

あまりの突然の出来事に、手にカメラを持っていたにも関わらず、呆然とクルマが、いや、田中康夫が手を振りながら通り過ぎていくのを見送るだけだったのでした。
アカンやん。
しかし本当にアカンのは、田中康夫に洗脳されそうになってしまっている自分のことです。
何しろ、拡声機を使ってあれほどまでに心地よい演説を聞いたのは初めてのことなんですもん、「もっと聞きたい」と思わされるのでした。
また田中康夫自身の

「みなさぁ~ん、こんにちはぁ~」

という気の抜けた挨拶も、さらに耳に心地よく聞こえてさえくるのですね。
絶叫連呼型の選挙の演説カーとはエライ違いです。

……う、ヤバイヤバイ、これは本格的に田中康夫に洗脳されそうになってしまっているようです。
もしぼくが田中康夫に洗脳されてしまったら、きっとこのブログも「ぼくのミステリなペログリブログ」などと訳の判らないタイトルに変わってしまい、とてつもなくイヤラシイてエロくて変態チックで、それでいて高慢な態度がむかつくブログになってしまっていたところでした。
あぶないところでした。

西加奈子短篇集の恐るべき販促戦略

西加奈子が初めての短篇集『しずく』を出版しました。
そんな訳で、紀伊國屋書店の新宿南店では西加奈子の専用特設平台がドーンと登場してるのですよ。
西加奈子、初の短篇集『しずく』発刊記念特別平台、ドーン
本屋さんの定点観測に勤しむウォッチャーとしては、特に専用特設平台があるだけでは珍しくも何ともない訳です。
しかし今回、これまで見たこともない方法で販促をしていたのです。
POPでも看板でもなく、そこに掲げられていたのは
確かに、西加奈子のキュートなサインを直接見てしまうと、手に取らずにはいられなくなる

サイン本の中身の直接展示!

っかぁぁぁ~、これはなんと恐るべき販売戦略なのでしょうか。
確かに西加奈子のサインは、名前だけでなく、毎回キュートなイラスト(しかもかなり種類がある)と、一言が添えられているので、そのイラスト見たさにサイン本を楽しみに買ってしまうのです。
それを直接こんな形でアピールしてしまうとは......紀伊國屋書店、おそるべし。

しかしこの展示してある本はもう売り物にはできないですよね。
こうしてずっと開かれた状態では、変な形とか付いてしまいそうですし。
そもそも、サイン本は書店の買い取り品なので返品は不可だから、返すわけにもいかず、これはもう担当者のお買い上げになるのでしょうか。
ん......? ちょっと待ってください。
ということは、あらかじめ担当者が自分の好きな作家のサイン本が入荷されたら、「販促用の展示コーナーをつくります!」などと言いながら、1冊を開いて、それ自体をPOPにしてしまえばいいんです。
で、展示が終わったら「変な形が付いてしまったので、責任とって買い取らせていただきます」。
おお、どんな人気作家のサイン本でも、これなら確実に手を入れられますね。
もし「変な形が付いていても大丈夫です。気にしません」というお客さんが来たらどうするのかなあ......と、ちょっと無責任に気になってしまったセコい野郎なのでした。

しかもこの本、装丁もなかなかキュートなんですが、なんと! 今なら西加奈子のイラスト入り「特製カバー」がもらえるそうですよ。
西加奈子のイラスト入り『しずく』専用特製カバー
"特別"とか、"特製"とか、"限定"とか、"リミティッドエディション"とか、"あなただけに"とか、とにかくそういったフレーズにはトコトン弱いぼく。
「特製カバー」には興味津々です。
でもレジで「特製カバーを付けてください」なんて言わないといけないのかなあ、それはちょっと卑しいみたいで恥ずかしいなあ、ヤだなあ......などとウダウダしていると、なんと。
何も言わなくてもレジのお姉さん、スルリスルリと「特製カバー」を付けてくれたのでした。
さすが判っていらっしゃる。

しかしこの特製カバー。
西加奈子自身によるイラストとタイトルが入っているのはキュートでいいのですが、残念ながら紙質は普通に本屋さんが掛けるカバーのような薄さなんです。
いや、カラーになっている分だけ、もっと脆くて弱そう。
なので取り扱いには厳重に注意しなければなりません。
雨で濡れたりしたら、もうボコボコにふやけてしまって一発アウト!ですね。
持ち歩くときは「特製カバー」は外して、普通の本屋さんの「書店カバー」に差し替えた方がいいかもしれません。

ちなみに今回、ぼくが選んだ西加奈子サイン本に描かれていたイラストは
こんばんはー。マックシェイクです
これは......マックシェイク......なんでしょうか?

ある意味スゴイ販促POP

またしても万城目学の話題ですみません。

先日は、「カモン、マイシカ!」の著者直筆色紙の張り出し位置で、(ぼくのなかでは)物議を醸し出していた万城目学ですが、今度は販促POPです。
やはりこちらのお店でも、本屋大賞ノミネート効果からか、"青春バーベキュー物語"である(ウソです)『鴨川ホルモー』とともに、第2作目の『鹿男あをによし』が平台にドーンと積み上げられているのでした。
本屋さんとしては売れるときにバンバン売っておきたいものです。
売りましょう、売りましょう。ドンドン売りましょう。
「万城目......まんじょうめ......?」と初めてこの作者の名前を見るお客さんのためにも、バンバン売りましょう。
そのためには販促POPで、店員さんの熱い思いを伝えるのが一番です。
最近のベストセラーは、本屋さんのPOPから生まれていると言っても過言ではありません。

そして立てられたPOPがこれです!
これまで見たなかでも1、2位を争うほどのすごいPOP
どうですか、この見事なボールペンPOP!
決して美しいとは言えない字で、敢えていい言葉を当てはめてみると......うーん、「疾風怒濤の勢いを感じさせる」でしょうか。
こんなにも(いろいろな意味で)客の目を引きつけるパワーに満ち溢れたPOPは、そうそうお目に掛かれるものではないですよね。

そしてこのPOPは、決して見た目だけのインパクトではありません。
出だしのキャッチコピーからしてスゴイのですから。
いいですか。

鬼才!
紹介!!
大喝采!!!

ですよ。どうですか、この三拍子。

なんと、律儀にビックリマークが1つずつ増えていっています。
しかもなぜか韻を踏んでいます。
そして、意味が判りません。

これまた三拍子のインパクトに満ちあふれています。
きっと、このPOPを書いた店員さんにとっては「韻を踏むこと」がマイ・ブームなのでしょう。
1行目で「鬼才!」と書いたのはいいとして、2行目でいきなり「紹介!!」と来ちゃいました。
「紹介!!」って......。
そして最後に「大喝采!!!」。......ちあきなおみじゃないんですから(それはただの「喝采」)。

さらになんとこのPOP、キャッチコピーや作者名、書名など目立たせたいところはすべて"明朝体っぽい"(あくまで"ぽい")字体でレタリングしています。
このゴシック文字に溢れたIT時代にアナクロニズムを演出すべく、敢えて"明朝っぽく"レタリングをしちゃうあたり心憎いばかりの演出です。
そしてこうしたレタリングは、伝えたいところだけで十分だとばかりに、それ以外の箇所は思いっきり殴り書き......。

こうしてすべて書き終えたところで、「あ、右上が妙に空白だ......」と気がついてしまったのでしょう。
とりあえずこの空白を埋めなければなりません。
そこで思いついたキャッチコピーを下書きもせずに書いてしまったのです。

「良めば」って......これは敢えて狙って書いたのでしょうか?

おそらく書き間違えちゃったのだろうなあと思ったのですが、「いやいや、"良い"と"読む"を掛けてみました」とか言われることも考えられちゃうのです。
(そのダジャレセンスはともかくとして)

あれ? でも、そもそも「良い」と「読む」を掛けるのってメチャクチャ無理があるやん。
やっぱりこれ、間違えちゃってますね。
本屋さんにコッソリ教えてあげるべきなのでしょうか。

こうして各本屋さんで常に様々な騒動を巻き起こしている万城目学『鹿男あをによし』なのでした。
(万城目学が決して何かをしているわけではないのですが)

大手町ビル屋上にある謎の部屋の正体

前回までのあらすじ
ひょんなことから、サラリーマンにとって禁断の地「オフィスビル屋上」に上がることになったぼく。
頭のなかでは「バレーボールをしている制服女子社員」の妄想がいっぱい。
ところがもちろんそんな制服女子社員などいるはずもなく、他の会社の人たちに混じり、大手町ビルヂング屋上の小部屋に納められている観音さまにお参りするのでした。
観音さまの供養って......お焼香かよっ!
無事にお供物もゲットし、名残惜しく屋上を去ろうとしたときに目にしたもの、それは......
屋上の上にはさらに一部屋あるようなのです
屋上なのに、なぜかその上にはさらに出窓のある部屋だったのです。
しかもその出窓は......
出窓じゃない、高所ドアなのでした
トマソンの「高所ドア」なんですよ。
屋上の上にある部屋の謎、謎が謎をよぶ大都会のど真ん中の直球ミステリ。
いったい誰が、何の目的で、こんなビルの屋上に部屋などつくったのか。そもそも屋上に部屋をつくったら、もうそこは奥ではありません。
矛盾に満ちた存在で我々を翻弄し、あざ笑うサスペンス。
本日、いよいよその謎に迫ったのでした。

......って何じゃ、この出だしは。
でも、まあ、そういう訳です。
とにかくこの屋上のさらに上にある部屋が気になって仕方ありません。
見た感じでは、単なる「オフィスフロア」というよりも、もっと大きな「講堂」のような雰囲気を湛えているような気がします。
しかも、この古びた感には「使い込まれた」というよりも「そのまま放置された」ような熟成した香りが漂っているのです。
東京の地下には、その昔、設置したまま放置されている地下鉄の駅が残っていると言います。
ならば地下のその逆、ビルの屋上にも放置されたままの施設があってもおかしくありません。
何しろ、この大手町ビルヂングが竣工したのは昭和33年といいますから、もう築50年!
そんな昔のビルングですから、使われなくなってそのまま忘れ去られた講堂が残っていてもおかしくないのです。

そう思うと、居ても立ってもいられなくなりました。
そこで、直接訊いてみることにしました。大手町ビルヂング所有者の三菱地所さん。
幸いにして、この大手町ビルヂング1階の入口すぐ横に、三菱地所さんの総合受付があるのですよ。
やったね!
もしこれが高層ビルの上の方だったりしたら、さすがに敷居が高くて気後れして行きたくても行けないところですが、ビル入口のすぐ横ですからね。
何気ない顔でビルに入って「あ、曲がるところ間違えちゃった!」みたいな顔をして受付に入っていけばいいのです。
そうです。何もビビる必要はありません。堂々と正面突破、三菱地所さんに「すみませーん」と突撃してきました。
お仕事中に失礼しました......と言っても、お仕事中にしかお邪魔できないのですが

「ハイ、何でしょう」

とってもステキな営業スマイルで応対してくれる受付のお姉さん。
しかしぼくはオシゴトで客先訪問したのではないのです。
説明に困ってしまいました。

「あの......、えーと。この間、このビルの屋上にある観音さまにお参りさせてもらったのですが」
「ありがとうございます」
「いえいえ。で、ですね。そのとき、その上にも窓があるのを見てしまいまして、それがちょっと気になってしまったものですから......」
「はあ」
「......えーと、あそこはいったい何なんでしょう

「あそこはいったい何なんでしょう」と訊くぼくこそいったい何なんでしょう。
きっとお姉さんもそう思ったに違いないのですが、そこはそれ、ニッコリと微笑みながら

「担当の者に連絡しますので、お掛けになって少々お待ちください」

ロビーの一角の椅子を指し示すではないですか。
いや、あの、お客ではないのですが......。
商用でもないのにロビーの真ん中でふんぞり返って座って待つのも厚かましいので、適当にロビーのなかをウロウロ。
さらに用事のない「新丸ビルのオフィス入居用パンフレット(いい紙使っていて、かなり分厚い)」などを眺めて待っていたのでした。
受付ブースからは、「屋上の観音さまの......」「その上に部屋が......」「いえ、窓が......」「ええ、いらっしゃいます......」などと漏れ聞こえてきます。
きっと受付のお姉さんも説明に困っているのでしょう。
やがて「お客様、お待たせいたしました」と呼ばれました。
......すみません、しつこいようですが、全然客じゃないのです。
受付のお姉さんは「担当の者が出ておりますので、どうぞ」と内線電話の受話器を差し出します。
受付カウンターにわざわざ電話機を載せてくれたお姉さんに会釈しながらも、内線電話の受話器に向かって、再び訳の判らない説明をするぼく。

「観音さまの部屋のさらに上に出窓があったのですが、あれは何ですか?」

するとその担当者は「そんなもの、ありません」

えっ?

「いやいや、屋上の上が出窓のようになっていて、ドアもついているのですよ」と説明すると、「それは明り取りの窓じゃないでしょうか」。
なるほど! 明り取りのための窓ね!

「ということは、やはり屋上の上には部屋があるのですね。どんな部屋なんでしょうか」
いいえ、部屋はございません。観音さまの部屋があるだけです」
「......?」

どうも話がかみ合っていないのです。
すると担当者の方はこんなことを言われました。

「しかし、そのときは幕を張ってあったので、窓があったとしても隠れていて私は気づきませんでした」。

幕......? 幕って、あの年末の福引会場のように賑やかなこれのこと?
幕で窓が隠されていたからって......メチャクチャ見えてるやん

オオウ、ノウゥゥゥ! 違ウノデェース!

どうやら完全に会話がかみ合っていなかったことに気がつきました。
どうやら、担当者は屋上そのものに窓があると思っているようなのです。うーん。
「そうではなくって、"その幕の上"にフロアらしき場所があって、そこに窓があるんです......」と力説すること約3分。
あー、もうこの写真を見せてやりたいぜ。
すると、「管理室の者に確認します」とそのまま内線電話は保留になりました。
ふう。

ところが......いつまで待ってもなかなか保留音は途切れません。
きっと変なヤツが来たとか思われてるんじゃないだろうなあ......。
このままずっと保留にしていたら、いい加減イヤになったら帰って行くんじゃないだろうか......なんて思われていたらどうしましょう。
てっきり、訊けばサクッと「ああ、あれは○○なんですよ」と答えてもらうつもりでいたのに、こんなエライことになってしまうとは......とほほ。

そんな不安と焦りと戦いながら待つこと約5分、ようやく「お待たせしました」と担当者が出てきました。
「管理室に確認したところ、空調室があるとのことでした」
空調室......。
そうか、屋上に空調室......十分あり得ますよね。
なるほど......空調室かあ。
まあ別に空調室でも全然いいのですが、ぼくはすっかり廃墟状態の講堂しかイメージしていなかったので、ちょっとぽっかり胸に穴が空いたような、そんな寂しさを味わっているところです。

実はそれが先週の出来事だったのです。
そして今朝、会社に行く途中に大手町ビルヂングの屋上を見上げてみると......おおお!
確かに出窓のある「講堂」のような建物から、空調の水蒸気がモクモクと勢いよく吐き出されているうのでした。
出窓のある建屋から、空調の排気した水蒸気がモクモクと天に昇っていっているのです
これで確定的ですね。
あの屋上のさらに上にある出窓の向こうに隠されていたものは、空調設備だったのでした。
そうか空調室かぁ......。

1歩も外に出ていない、出たくない

ここ最近、週末に外出すると残りの1日は本当にヤバイです。
今日だって1歩も家の外に出ませんでした。ベランダにすら出ていません。
家のなかを、熊のように行ったり来たりするだけの生活。
もう見事なほどの引きこもりっぷりですよ。
そんな訳で、1階の集合ポストに新聞を取りに行くことすらダメです。できません。
今度の更新のときには、「日曜日は新聞いりませんから、その分まけてください」ってお願いしてみようかしらん。
ああ、いやいや、でもやっぱり日曜日の新聞は、月曜日に取り込んで一緒に読むからなくなると困るよなあ。
でも日曜日の新聞を日曜日に読まず、月曜日に読むのですよ。
これって、スーパーで言えば賞味期限が切れた商品を食べるようなものですね。
だからスーパーのようにせめて半額にしてくれてもいいと思うのですが(絶対無理です)。

まったく話は変わりますが、こまばアゴラ劇場の公式サイト内でぼくの写真を使っていただけました。
写真には「撮影:中橋一弥(2007)」なんてキャプションまでついてますよ。
っかぁぁぁ~、照れるねえ、いや参ったねぇ~。
まるでカメラマンが撮影したみたいじゃないですか。

ただ、この写真は元々小さなサイズで用意していたものなので、サイト上では無理矢理に大きく引き延ばされ、その分、汚くなっています。
そこだけが残念。
願わくは、正しいサイズにリサイズしてお渡しするので、差し替えてもらえればありがたいのですが……。

『界』 撮影:中橋一弥(2007)
『界』 撮影:中橋一弥(2007)

ページ/4ページ |次のページ最終ページ