村上春樹効果でチャンドラーがツイスト&シェイプ

村上春樹の新訳で、レイモンド・チャンドラーの名作『長いお別れ』が『ロング・グッドバイ』として発売されました。
が、うーん......。
村上春樹がフィッツジェラルドやサリンジャーを翻訳したというのは判るのですが、レイモンド・チャンドラーの翻訳と言われても、ピンと来ません。
まだ"原りょう翻訳"と言われた方がしっくり来ます(← それ、そのまんまやん)。

しかしこうした「ミステリ的作品」を村上春樹が出すにあたっては、そもそも彼にはミステリ的な構造で"ある仕掛け"がなされた『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』という名作があるし、また昨今のミステリ界でも、法月綸太郎や伊坂幸太郎のように"村上春樹フォロワー"とも言えるべき作家が出現してきているので、おかしな話ではないのかもしれません。
うん、そうだ。十分にありうる話に違いないのです。
そんな訳で、きっと村上春樹の手によって紡ぎ出されたフィリップ・マーロウは......

  • 土曜の昼下がり、読書をしながらパスタをゆでている
    (そんなタフガイではないフィリップ・マーロウ)
  • 毎日ジョギングを欠かせない
    (実に健康的なフィリップ・マーロウ)
  • 耳の形がきれいな女の子と寝たりする
    (耳フェチだったフィリップ・マーロウ)
  • 依頼人の話を聞きながら「やれやれ」と言う
    (やる気が感じられないフィリップ・マーロウ)
  • よく意味が判らない比喩を使いたがる
    (「ぼくの銃はまるでコットンパンツを履いたインドゾウのようだった」)

オオウ、いったい何なのデスカ、この村上ワールド全開のフィリップ・マーロウは!
やっぱりピンと来ませんよー。
(これでは翻訳というより、"超訳"です)

しかし、そんなまったくもって変なキャラクターになってしまったフィリップ・マーロウでも(いや、実際のところはちゃんと翻訳していて全然変じゃありませんから......きっと)、本屋さんとしては大々的にプッシュ、プッシュ、大プッシュ!
そりゃ、村上春樹ですもの。
レイモンド・チャンドラーですもの。
『長いお別れ』ですもの。
どれをとっても売れる要素ばかり、大ヒット作間違いなしのシロモノなんですもの。

でも、だからといって入荷した本をこんなに積み上げてしまうのはいかがなものでしょう。
村上春樹訳のレイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』がスゴイことになってます
意味もなく積み上げすぎ......。
しかも何なんですか、そのトリッキーな積み上げ方は。
お客さんはいったいどこから手に取ればよいのか判りません。
向かって右側の塔はまだしも、左側のツイストしたタワーなんて......
上部が早くも崩壊の予感を感じさせる『ロング・グッドバイ』のツイスト・タワー
早くも上部が崩壊の予感にさらされています。
これ、傍を歩くだけで振動を起こして大雪崩、下手すると歩いていたお客さんの頭の上に直撃してくるのです。
そうなると、まさにこの本屋さん自身が「ロング・グッドバイ」になってしまうわけですね(ウマイ)。

本屋さんがはしゃぎすぎてはいけません。

コメント

(爆)すごい!本屋!はっちゃけすぎ!!
もーすごいどんなノリで積んだんですかね・・・

私も「ロング・グッドバイ」読んでみよかなと思ってたので早速近所の本屋はどんなプレゼンがされているのか見に行ってこよう(買わないのか!?笑)

それにしても「超訳」ウマすぎ・・・(笑)

このトリッキーな積み上げ方をされた本のタワー、それでなくても高い台にあるので、本当に身長ぐらいの高さがあるんですね。
まさに本屋でジェンガ。

『ロング・グッドバイ』の楽しみ方はもう1つあります。
「初版」と「再販」が入り乱れています。
しかも発行日はわずか1日違い。
それがゴッチャゴチャに積み上げられていますから、「ああ、ここが初版到着分だな」「ああ、このあたりは後から来た分だな」と推測することができます。
しかしわずか1日で版を重ねるって……。
(以前に『蹴りたい背中』が同じ日なのに「第54刷発行」「第62刷発行」となっている奥付を見たことがあります。あれには構いますまい)←誰やねん

これに憧れて、初めて飲んだカクテルはギムレットでした。

その時、(私には)ギムレットには早すぎるなぁと思ったものです。

 これがどの店の光景なのか一目で解ったんですが、実はここ、たまーにこういう無茶してます。
 私が記憶しているなかでは、昨年の京極夏彦『邪魅の雫』でも同じような積み方をしてました。こういう芸風の店員がいるのかも知れません。しかも時間を置いて訪れると、山がちゃんと減ってました。そこから買ってるのかあるいは他の平台に移っていったのか。

 ……しかしそんな芸風よりもこの店はまず店員の教育をなんとかしろとぶちぶち。

●ますうさん:
うまい! 上手い! 美味い!
よーし、ぼくも!と張り切って「男はタフでなければ生きていけない……」で返そうと思ったのですが、これって全然『長いお別れ』のセリフじゃなかったですね。
チャチャチャン。(← ナイトスクープのオチの曲風に)

●深川さん:
あははは、店内のこの雰囲気から、どこのことだかモロバレですね。
しかし、この積み上げ方はある意味、技術者ですね。
日夜、トリッキーな本の積み上げ方を研究しているのかもしれません。
そのうちトランプタワーやシャンパンタワーみたいに積み上げてくるかもしれません。
そして、さらに熟練してくる頃には、新刊本で五重塔を作り上げてしまうのです。
それにどれだけの価値があるのかよく判りませんが。

しかし、この本屋さんはあまり品揃えがよくないので、実は近くの老舗の本屋さんの方に行ったりしてます(おい)。