吉祥寺のTRICK+TRAPでお茶会「そこに謎はありますか。」

先週で営業終了し、ついに店仕舞いとなってしまった吉祥寺のミステリ専門書店「TRICK+TRAP」で最後のファンの集いとして、お茶会がありました。
「14時から17時まで店を開けていますので、身体ひとつでふらりときてくだされば結構ですよ」とのお言葉に、そのままお邪魔してきました。
閉店したとはいえドアの表札などはまだ掲げられたままです。
これが最後の来店となってしまうTRICK+TRAPの入口
その普段どおりの様子に、つい普段どおりにお店に立ち寄らせてもらったような、そんな気がしてしまうのでした。 しかしそのドアを開けてなかに入ると......嗚呼。
かつてはギッシリと文庫本やハードカバーなどが詰められていた本棚は、すっかり空っぽになっていて、どこか店内が広くなっているかのような、そんな気さえするのでした。
本がすっかりなくなって広さが感じられる店内
入ってすぐのところに飾られてあった本も一切なくなっていて、何と言うか、一抹の寂しさを感じさせるのでした。
入ってすぐのところに設置された、かつてオススメが飾られていた本棚も、すっかり何もなくなってしまいました

お茶会が始まる14時を過ぎても、お客さんはぼくの他にもうお1人だけ。
お菓子をボリボリ、コーヒーをゴキュゴキュといただきながらも、「ようし、今のうちに写真を撮れるだけ撮ってしまえっ!」とバシャバシャ撮りまくっていたのでした。
お宝必至の"秘蔵のメッセージ集"も見せていただき、もうよだれがジュルジュルとなってこぼさないように耐えるのが大変でした。
そのごくごく一部をご紹介させていただきます。
まずは米澤穂信。
米澤穂信と言えば、好青年な外観とはかけ離れたダイナミックなサインが特徴だと思うのですね。
てっきりあれは「サイン用の字体」だと思っていたのでした。
が、しかし......。
ひょっとして、あのダイナミックな字体は普段どおり?と気が付かされた米澤穂信からのメッセージ
サインだけではなくメッセージですら、好青年な外観やその作風からとても想像のできないマッチョでダイナミックな字体なんですね。
ひょっとして、実は普段からこんな字を書かれていたのでしょうか。

北山猛邦です。
以前にも紹介したオトボケ鳩がまたしても登場しています。
驚愕の事実が発覚した北山猛邦のメッセージ
なんと、ここでとんでもない事実が発覚しました。
この"オトボケ鳩"だと思っていたイラストは、ペンギンだそうです。
それを聴いた瞬間、ぼくの頭のなかでは世界が一気に崩壊していってしまう音が確かに聞こえたのでした。
そう言えば、ご本人のブログでは、「(直筆POPで)個人的にはペンギンバージョンがおすすめです。 」と書かれていましたが、それってまさか......ぼくが「オトボケ鳩」と紹介したこれのことだったのですか、クルックー。
オトボケ鳩たちの会話が和む北山猛邦『少年検閲官』の著者直筆POP
(以前に見かけた著者直筆POP。鳩ではありません)

そして最後に外してならない、マイ・フェイバリットな若竹七海さん♪。
若竹七海さん♪からのメッセージ。う、羨ましすぎる......(よだれがジュルジュル)
もうよだれが、よだれが、よだれが、いちばん垂れそうになってしまって「ジュルッ」「ジュルッ」とさぞかし変な音を立てながら食い入るように見つけてしまっていたことでしょう。
キショク悪い奴ですみません。

一滴たりともよだれをこぼすことなく無事にメッセージ帳をお返ししたところで、なんと戸川さんから「今日はプレゼントを用意しているのですよ」。
マ、マ、マ、マジっすか。
本棚に並べられている"謎の包み"を前にして、「お好きなものをどうぞ」。
選ぶのは、お店に来た早い者順です。
そんな訳で申し訳ありません、最初にお店にお邪魔したぼくが先に選ばせていただこうとしました......そのときです。
戸川さんは「中橋さんだったら、これがいいんじゃないでしょうか」。
見せていただいたのは、なぜか『五十円玉二十枚の謎』の文庫版です。
「???」と不思議に思っていると、不敵な笑顔をニヤリと浮かべた戸川さん、「このページを見てください」。
こんなところにいしいひさいちのサインが隠されていたのでした!

それ、いただきます!

......「もー、戸川さん。抽選の意味がないじゃないですか」という声も聞こえたような気がするのですが、気のせいということにしちゃいました。うししし。
しかも包まれていた封筒には、なにやら付箋のメモが貼り付いてあります。
「こんなものが貼り付いてましたよ......」とお伝えしようとしたところで文面を読んでしまい、硬直してしまったのでした。
いしいひさいちから戸川さんへのメモ書き
こ、こ、こ、これは! いしいひさいちから戸川さんに宛てたメモなんですよ! ウガー、ウガー、ウガー!
もう咆哮しまくりですよ。
きっと窓の外、商店街を通る人たちはお店のなかから聞こえてくる不気味な雄たけびを不気味に感じながら足早に去っていったことでしょう。
ああ、14時すぐに来て良かったと、涙にむせぶばかりのぼくなのでした。

そしてその後、お客さんが次々と来られては、まずはプレゼントの争奪戦。
本棚に用意された包みから、好きなモノを選びます。何が出るかは開けてからのお楽しみと言うことで......
意外とこのプレゼント争奪戦がウォーミングアップとなったのか、全員が初対面同士なのにテーブルを囲んで和気あいあい......どころかかなりテンションも高く、ミステリモードの会話で花盛りになりました。
しかも、以前に「あなた、いったい誰?」などと失礼極まりないブログ記事まで掲載してしまった「ときわ書房本店・宇田川拓也氏」ご本人も来られていて「見てますよ」と言われて、ワーワーワーワーワー!
変な汗をタラタラかきながら、しどろもどろでお詫びするぼくに宇田川さんってばもうステキな大人なんです。
「いやいや、きっと誰でもそう思うでしょう、あはははは」。
ああ、ときわ書房さん。
ぼくは一生もう付いて行きたい気分です(お店が近くにないので気分だけでも)。

そんなテンションのまま「じゃあ記念撮影しましょう」とカメラを取り出すと、「全員でポーズを統一しよう!」。
もはや遠足か、修学旅行のノリになってきています。
そんな訳で全員がなぜか「よし、判った!」のポーズで写真を撮ったのでした。
なんか変なテンションが写真からも溢れてきているようです。
本当に全員が初対面なのか、このテンション。「よし、判った!」

すると「では、そろそろお開きと言うことで」という戸川さんの言葉に全員「えっ?!」。
時計を見ると、確かに17時ですよ。
早いのです、早い。
お店に来るまでは、「3時間も場が持つかな。居づらくなったら用事がある振りをして帰ろう」などと不遜なことを考えていたんですよ、実は。
なのに、気が付くと14時から延々3時間も話し続けていたなんて......。

しかし皆、「もうここを出てしまうと、TRICK+TRAPはなくなってしまう」という思いは同じだったようで、なかなか立ち去りがたく、ウダウダとしちゃっているのでした。
お店には、いつの間にかオーナーの小林まりこさんがお子さんを連れていらしていたり、
小林まりこさんが、お子さんを連れて来られていました
またぼくは「最後の記念に」と戸川さんとツーショットの写真を撮らせていただいたり。
最後の記念に、戸川さんとのツーショット写真。またいつかこうして写真を撮らせていただく日が来るといいですね
それでも、やはりお店を出なければなりません。
後ろ髪を引かれる思いを断ち切り、商店街に出たところで皆、誰から言い出したわけでもなく、室内の暖かな光がこぼれるお店の写真を撮っているのでした。
もう本当にこれが最後のTRICK+TRAPの写真となるのでした

こうして、ぼくにとっては1年半に渡る伝説のお店での体験は終わってしまいました。
しかしながら今後は一生、こうした体験をできたことが自分自身にとっての宝物となっていく、そんなような気がしてなりません。
願わくは、またいつか、どこかで、このような形で皆さんと再会できることを祈りつつ。
ご来店ありがとうございました!

追伸: 戸川さんのブログ「パン屋のないベイカーストリートにて」でも、小林さん親子や戸川さんも交えて最後の最後に撮った記念写真がアップされていました
これもまた皆さん、いい笑顔で写っていますね。
これを勝手にコピーしていただいたものを一生の宝物といたします。

コメント

なかはしさん、こんにちは。

TRICK+TRAP最後の日、私も行きたかったです(泣)。
出勤日に当たっていなければ、2週続けてでも上京したかった……。
もしおじゃましていたら、去り際には泣いていたかもしれません。
本当にあんな素敵なお店はそうそうありませんよね。
私は合計7回しかお店におじゃましていませんが、なかはしさんとは3回同じサイン会に参加していました。
「心のなかの冷たい何か」「銀の犬」「猫島ハウスの騒動」です。
どれも、同じ回か入れ違いだったような気がします。
今後お目にかかる機会があるかどうかわかりませんが、その時はぜひTRICK+TRAPや若竹さんのお話をしたいです。

ミクシーの方にコメントありがとうございました。
昨日は本当に夢のようでした。今でもあれは夢の中の出来事だったんじゃないか・・と考えてしまいます。それほど印象的で素敵な会でしたね。名残惜しすぎです。
あの場にいて、あの時間を共有出来たことをとても嬉しく思います。
厚かましいのですが、記念に昨日の写真を是非いただきたいです!!!
それではしつれいします。

●こまめさん:
こんばんは。
うわー、残念ながらお仕事でしたか。
ぜめて写真だけでも見ていただいて雰囲気を感じ取っていただければ幸いです。
でも、変にしんみりすることなく、逆にものすごく高いテンションであっという間に駆け抜けた3時間でした。
最終号となったマンスリーでも書かれていましたが、また何らかの集いがあるかもしれないとのことで、そのときにはぜひとも馳せ参じたいと思います。
(若竹七海さん♪のイベントがもしあれば、会社をサボってでも行っちゃうかもしれません ← おい)
こまめさんとご一緒に並んでいた……と言うこともあるかもしれませんね。
そんなときはぜひとも気軽に声をかけてやってください。きっと喜びます。

●りこさん:
昨日は本当に楽しいひとときを過ごさせていただきましたね。
3時間なんて絶対に場が持たないだろうなあ……なんて考えていたぼくはアホでした。
3時間と言わず、もっともっと長い時間ずっと話をして過ごしていたかったですね。
最後は寂しく感じながらも、どこか充実した感じも受けたのも、きっと「ミステリファン」「TRICK+TRAPファン」と言う共通項で集まった皆さんの気力がプラスの方向に作用したのでしょうか。
それではまた、TRICK+TRAP2の何らかのイベントがあるときにお会いできるかもしれません。
そのときはぜひとも「そこに謎はありますか。」を合言葉にしましょう(笑)。

あと写真の件ですが、了解しました。
ご連絡をさせていただきますね。

こんにちは、
今、会社のPCでやっと見ることが出来ました
本当に何度も行かれていたのですね、私は徒歩で行けるのにもかかわらず油断してまめに通わなかったことを悔やんでいます。
しばらくは落ち込み・・
そして、もうしばらくしたら再び「謎」を探してみます。
あっ、誰か来たっ!?
では また(コソコソ)

こんばんはー。
ホント、近くにあると「いつでも行ける」と安心してしまって意外と行かないものですね。
ぼくだって、近所にあったら「いつでも行けるしオッケーオッケー」と行っていなかったかもしれません。
しかし本当に、これで吉祥寺の街に行く用事がひとつ減ってしまいました。
これからどうしましょう……。
「そこにある謎は何か」を求めて旅に出たいところです。

写真を見ると、知った顔もいます。
第1回茶話会に参加したのがほんの少し前なのに、もうなくなっちゃったんですよね。
最後に行けたら良かったんですが、都合がつかず、残念。

また誰かが同じようなお店をやってくれることを期待しつつ。

いつもお店に行ってそのまま帰ってくるぼくとしては、こんなにじっくりとお店の中でマッタリと過ごし、初対面の方々ともワイワイお話をできる機会がなかったのでとても楽しかった3時間でした。
小林さんの顔をゆっくりと拝見させていただいたのも、ひょっとして初めてだったかもしれません。

しかし個人経営のお店がなかなか難しい今、同じように「ミステリ専門書店、始めました」だけでは、巨大書店やネット書店に太刀打ちできないでしょうね。
やはり作家さんとの人脈があり、交流が生まれるからこその居心地のよさもあったと思います。
そう考えると、経営って難しいですね……。