ちょいとあこぎな五木寛之

五木寛之の『風の王国』が再販されたようなのです。
長らく新潮文庫で発売されていたのに、なぜ今頃になって、わざわざハードカバーで再販されたのでしょうか。
果たして売れるのかどうか、その不安感は出版社も拭いきれないのか、いきなり伝家の宝刀を抜いてきたのですよ。
その名も“サイン本”。
五木寛之クラスともなると、なかなかサイン本なんて手に入ることもないだろ、フフッ……という出版社の不敵な笑みが浮かぶようです。
しかしよくよく見るとこのサイン本、本の売り上げを伸ばそうとするあまり、トンデモナイことをしちゃったりしているのですよ!
サイン本は1巻だけ。でもそれが欲しけりゃ3冊買えという……
どうですか、奥さん。
冒頭の「サイン本は1巻のみです」、これはこれはよくあることです。
上下巻あるうちの上巻だけしかサインされていない本だってたくさんあるのですから。
しかしそのあとに続く言葉が凄まじい。

サイン本をご希望の方は3冊セットでご購入下さい。

もう頭の中は“なぜ”の嵐ですよ。
1冊のサイン本を買うのに、3冊セットでご購入ください……?
判りません。
これが例えば3冊ともサイン本だから、セットでご購入くださいというのなら、まだ判るのです。
全館セットご購入者記念とか。
でもサイン本として1冊だけ欲しかったら、全部買えって……そんなご冗談を。

しかしこれが冗談でない証拠に、同じことを書かれたPOPがあちらこちらに立てられてあったのでした。
サイン本と抱き合わせた3冊セットがあんなところや こんなところにも
冗談ではなかったのです。
これは立派な出版社の商魂だったのです。本気でサイン本と残り3冊を抱き合わせて売りつけようという魂胆だったのでした!
なんとご無体な。

でも、これだけあちらこちらの平台で3冊セットのPOPを見るということは、それだけ本屋に在庫があるということで、出版社の思惑どおりにいっていないとか……?