これぞニッポンの知恵と技

古くからある住宅街をプラプラ歩いていると、時折、古い住宅仕様と新しい製品との折り合いをつけるために、その住人が知恵と技を結集させて、「参りました」と土下座したくなるような光景を見かけることが多いのです。

運転席側、キワキワですよ、お父さん
どうですか、この駐車テクニック。
運転席側は、もうあと1センチでもずれたらクルマのボディをブロック塀で引っかけてしまう、そんな神業なんですよ。
「どうだ、参ったか!」と言うご主人の声が聞こえてきそうです。

きっとこのお宅では、もともと「車庫付き」として建てられていたのでしょう。
その頃主流だったクルマといえば、スバル360などの軽自動車か、せいぜいカローラクラスの大衆車。
クラウンなどの大型車は「3ナンバー」として、憧れの対象でしかなかった時代にこのお宅は建てられたに違いありません。
しかし時は移ろい、消費税導入とともに「贅沢税」と言われた税金は廃止され、「3ナンバー車」はグッと身近になったのでした。
そうなるとアッと言う間にクルマの主流は大型車へ移っていったのでした。
きっと、このお宅でも「ねえ、お父さん。家族で遠出するのに、カローラではもう辛いわ。流行のワンボックスタイプのクルマに買い換えましょうよ」と家族会議が開かれ、エルグランドを購入したのでしょう。
が、待ちに待った納車日。
ここのご家族は、そこに大きな問題が横たわっていることに気がついたのです……。

車が大きすぎて玄関から出入りができなくなってしまったのでした。

そこで出番を見せるのが、「ニッポン人の知恵と技」ですよ。
お父さんは「じゃあ、玄関から出入りできる分だけクルマを反対側に寄せればいいんじゃないか」。
そこで、このような神業テクニックが披露されることになったのでしょう。
……あれ? しかしこれではお父さんが運転席から降りることができません。
クルマを車庫に停めると、お父さんはわざわざ運転席から助手席に移動して降りなければならないのです。
逆もまたしかり、クルマに乗ってお出かけするときは、お父さんはまず助手席側に乗り込んでから運転席に移動しなければならなくなったのでした。
しかしお父さんのそんな苦労も、ドライブや旅行を家族全員で出かけられる幸せを思えば、こんな苦労もいとわないのでしょう。
ああ、ニッポンの知恵と技は、アメリカ人のファミリー愛精神にも負けず劣らず、家族のために考え出されているものなのですね。

しかしこの写真を改めて見ていて気がついたのですが……
明らかに地上より高い位置に置かれてある自転車
この空中に浮かんでいるように見える自転車は、いったいどのように置かれているのでしょうか。
この自転車の置き方もまた、マンション敷地内を有効利用するための「ニッポン人の知恵と技」が結集された結果なのでしょう。