小竹向原でポタライブ・ワークショップ「1.作品」

地下鉄有楽町線に乗って小竹向原まで来ています。
有楽町線で池袋の向こうまで突き抜けたのは初めてです。
以前にも紹介したポタライブのワークショップが、今日はここ、小竹向原で行われるのです。

これまで数えきれないほど演劇を観てきましたが、ワークショップへの参加は初めてです。
今日から全5回、どんなことをするのかしら。ドキドキ。
集合場所に向かうと、今日の参加メンバーは主宰者を除くと、ぼくを含めて4人でした。
主宰者に引率される参加者メンバー
1人は本職の役者さん、1人は劇団で本を書いている作家さんということで……お手柔らかにお願いいたします。
メチャ緊張。

集合場所である小竹向原駅を出て、今回のワークショップの現場となる公園に向かってレッツラゴウ。
住宅街のなかを皆でぞろぞろ歩いているときに最初の課題が出されました。

公園に到着するまでに、何か気になるものがあれば写真にとっておいてください。
そしてその中から“もっとも気になるもの”を1枚選んでください。

とたんに皆、目の色を変えて写真を撮りまくる撮りまくる。
ケータイカメラの音が住宅街のあちらこちらで「シャリーン」というシャッター音が響き渡ります。

ちなみにぼくが気になったのはこれです。
“イ”の字のマーク
“イ”の字……ではなくって、交差点のしるしです。
普通、こうした交差点を示すしるしは“T”の字なのですが、ここは見事に“イ”の字になっているのです。
それもそのはず、ここの道はこんなに狭く、またこんなにウネウネしているのでした。
“イ”の字ポイントのある道の全貌
そりゃ交差するポイントだって歪んでしまうさ。

やがて皆、“気になるもの”のセレクトが終わり、今日のワークショップの会場である公園へとやってきました。
今日のワークショップ会場である公園
すると主宰者からさっそく次の指示が出たのです。

この公園のなかで、自分にとって“気になるもの”を見つけてください

うーんと、うーんと……とウロウロしているうちにフト目に付いたのが巨大な滑り台。
公園の真ん中にデーンと設置されているのですが、ここの側面に丸い穴が空いているのですね。
“丸窓”とくれば、京都の借景を想像してしまいます。
さて、ここの借景は……と覗き込んでみると、
丸窓の向こうに見える窓
オオウ、オオウ、向こうのお宅の窓が見えたのでした。
窓の向こうに窓が見える、このなんとも奇妙な感じで「よし、コレに決定!」というわけです。

続いて、その“気になるもの”が自分にとって大切なものかどうか問いかけられました。
いや、別に大切ではないしなあ……と思っていると、

では、今度は自分にとって“大切な、気になるもの”を見つけてください。

これがなかなか難しい……。
何しろここは住宅街のなかの公園ですよ、“大切な、気になるもの”といってもすぐに見つかりません。
うーん、仕方ない、コレを選びました。
落ち葉
落ち葉ですよ、落ち葉。
なぜこれが“大切な、気になるもの”かというと、やはり感覚が澄まされるものだから、ということでしょうか。
落ち葉って踏むと「シャクッ、シャクッ」と音がします。踏みつける感触も足の裏から伝わってきます。手に取ると、ハラハラともろく崩れます。
子供の頃、こうした楽しさで遊ぶことができた感覚というものは“大事なのではないか”と考え、選んだのですね。
こうして皆がそれぞれ公園内で散り散りになって“大切な、気になるもの”“大切じゃないけど、気になるもの”を選ぶと、続いて指示が出ました。

自分の好きなものを選んでください。
また、嫌いなものも選んでください。

好きなものは……燃ゆる紅が眼にやきついた名も知らない樹の葉を選びました。
地味な色になってしまった木々の中で唯一目を引いた素敵な色
嫌いなものは……これですね。
ゴミの中でももっとも生々しいゴミ、ティッシュ
ティッシュのゴミですよ、ティッシュ。
この公園、ゴミ箱がないためか、植え込みに飲み終わったジュースのパックや吸殻のゴミなどが落ちているのですが、ティッシュはさすがに生々しくて嫌悪感を覚えてしまいますね。
何しろ、鼻をかむにしても、ウンコをしたあとにしても、中高生が親の目を盗んで一人快楽にふけるにしても、ティッシュって人間の身体から出てきたものを直接扱うものでしょう。
それがこうして目の前にゴミとして落ちていると……もうイヤンという気になってしまいます。
こうして、

  • 好きなもの
  • 嫌いなもの
  • 大切ではない、気になるもの
  • 大切な、気になるもの

の4点を選び終わった時点で、自己紹介を始めます。
ただし、ここでも指示が入ります。

必ず“自分は、何をいちばん長くやってきたか”、述べてください

サラリーマンのぼくが「サラリーマンをやってきました」といっても面白くともなんともありません。
何かなあ……と考えたところで、そうだ!
「自分がやりたいことをやってきて、面白く生きてきました」。
コレで決まりさっ!(←マッチ風)
ところがこの自己紹介が後々の発表に大きな影響を与えるのでした。

どうして“大切な、気になるもの”を選んだのか、“自分が長くやってきたこと”を絡めて答えてください

ひぇぇぇ。そしてさらには

どうして、その“大切な、気になるもの”として選んだものが、“自分が長くやってきたこと”と絡めてそうなのか、他人が納得するまで説明してください

とかになってくるともう大変。
納得させるために頭ををフル回転させましたよ。
そしてペラペラ、ペラペラしゃべるしゃべる。
会社のプレゼンでも、あんなに必至にしゃべったことはないですね。

しかし、こうした「他人を納得させる」という行為の場合、自分が“好き”であっても、相手には“嫌い”であることも考えられ、そうした場合に衝突が起こります。
こうしたときは“ニュートラルな手法”を用いて、衝突を緩衝させる方法あるということを学んだのでした。
作品を構成する上でも、“好きなものばかり”並べただけでは“カワイー”“チョーカワイー”といった女子高生の会話的なものになってしまったり、逆に“嫌いなものばかり”並べてしまうと批判的な内容になってしまい、重く暗いものになってしまうのだそうです。

  • 好きなもの
  • 嫌いなもの
  • 大切ではない、気になるもの
  • 大切な、気になるもの

が程よく混ざり合った構成、これが大事ということなんですね。
しかしこれは、ある意味、お芝居だけではなく、サラリーマン社会や隣近所のお付き合いといったコミュニケーション全般にも有益ではないのではないかと思うのです。
自分が好きなことばかりを話していても、相手にはつまらないかもしれない。
逆にネガティブな話ばかり聞かされても、それはもっとつまらない。
そんなコミュニケーションの基本形にも気が付かされた、今日のワークショップなのでした
そんな満腹感漂う帰り道。
すっかり暗くなってしまった住宅街を、駅に向かって歩いていると最後の指示が出ました。

最初に写真で撮ってもらった“気になるもの”を、“自分が長くやってきたこと”を絡めて答えてください

うひゃ、最後の最後でそう来るかー。
“イ”の字の真ん中に立って、思いっきり好き勝手なことを好き勝手にしゃべくりまわって、これで本当に今日のワークショップは終了しました。
ふう。

しかしこれでそのまま「さよなら」ももったいないなーと思っていたら、主宰人の方が「お茶でもしていきましょう」。
おお、粋な計らいですね!
駅前からちょっと入った路地にあるオシャレなカフェスポット
そんな訳で小竹向原の駅前の通りから、一筋入ったところにあるコジャレたカフェでお茶タイムです。

ここでは主宰人の方をはじめ、役者さんや作家さんの方から色々とお話を聞かせていただいたのですが……、いやあ、深い。
深いのですよ、演劇の世界は奥が深い。
いつも「完成系」でしか観ることのできない演劇のステージも、そこに至るまでは色々なドラマや苦労、そしてエネルギーがあるのですね。
濃い話をたっぷりと聞かせていただいたのでした。
また、作家の方がいつも「アイデア帳」として持ち歩いているというスケッチブックを見せてもらった(というか、勝手に覗き込んだ)のですが……スゲーです、スゲー!
こうしたスケッチやメモ、覚え書きなども、たまっていくうちに財産になっていくのですね。
何だか、観客として演劇を観に行っているのはあくまで表面的なものなんだということを実感させられたりもしたのでした。

コメント

うわぁ事前に読んじゃった! どうしよう! ものすごく心配になってきた!!
(先日ポタライブ小竹向原編を見た帰りに参加してみたい! と言って本当に参加することになってしまった素人です)
何か励ましの言葉をいただけるとうれしいです。

どうもお久しぶりです!
書き込みをありがとうございました。
6月からの初級篇に参加されるのですね。
WSと言うことで、やはり本職の方ばかりのなか、ぼくのようなまったくのシロートが参加して付いていけるかなあ……とメチャクチャ心配でした。
が、全然問題ありませんでしたよ。
主宰者の岸井さんをはじめ、参加者の皆さんもすごくいい方ばかりで、逆に普段は「観客としてしか接していない」ステージを作り出す裏話などもお伺いできて、とてもよかったと思います。
また皆さん、創作に掛けては「熱い」方ばかりなので、そういった意味でも刺激を受けることができてよかったですね。
WS自体、内容が「演劇演劇」していないのも安心です。
一応は、「作品をつくることができるようになる」と言う目標設定がされていますが、ぼく個人が感じたのは「自分自身の感じ方や見方をどのように表現すれば、他人に理解してもらえるか」と言うことがテーマになっていたのではないかと思います。
ですから、演劇をやっていないヒトでも社会生活におけるコミュニケーションを養う場として十分に役立つと思いますよ。

「演劇を学ばされる」なんて固いことを思わず、ぜひ全5回通して自分自身の表現力、コミュニケーション力を高めてやろう……と思われればよいのじゃないでしょうか。

ぜひ楽しんできてくださいね!

早速の励まし、ありがとうございます。しかも覚えていていただけていたとは。とても嬉しいです。

なかはしさんの返信を読んで安心しました。
先に経験された方がいるととても心強いですね。

岸井さん曰く、今回も豪華メンバーなのだそうです。
胸を借りるつもりで真剣に楽しんできます。和やかな雰囲気の中で思う存分あたふたしてこようと思いました。

本当にありがとうございました!

なぜかポタライブでお会いする方ってずっと印象に残っていて覚えているものなんですね。
同じ体験を共有したからでしょうか。
しかし今回の豪華メンバーというのも気になりますね!
変に構えず、ぜひとも楽しんできてくださいね。
(ちなみにぼくも6月から中級篇に参加します……。明後日が初日なのですが、今回は課題があるのでチョイヤバです)

ワークショップ初級第1回、行ってきました!
雨の中集まったのは素人3人、とはいえお一方は船橋ポタライブの仕掛け人であるコミュニティアート・ふなばし理事長下山さん、もう一方はポタライブをご覧になったことがない方(!)と非常に不思議な取り合わせでした。
普段使っていない筋肉を総動員して取り組まねばならず大変でしたが、ワークショップ終了後のケーキも含めてとても楽しかったです。来週もがんばるぞー。

余談ですが、中級の課題をやっている人にちらほら会いましたよ。あれ、なかはしさん…?(笑)

ワークショップは雨のなかで行われたのですねー。
どうもお疲れさまでした。
ね、まったく「演劇論」とか「芝居はこうやるんだっ!」という根性論では全然なく、逆に
コミュニケーションをいかにとるかという、普段の生活でも大切なことを教えてもらえるので
とても楽しく、そして勉強になったかと思います。
ぼくは初級篇はずっと小竹向原だったので、駒場の雰囲気がまだよく判っていないのですが
これから以降も色々と面白い場所でやるみたいですよ。

> 中級の課題をやっている人にちらほら会いましたよ

マジっすか?
うーん、それはやばい。一日中寝ている場合ではないのですね。

>ワークショップは雨のなかで行われたのですねー。
ふふふ。結局はじまったときは小雨、終わる頃には美しい青空が広がったのでした。日ごろの行いですね。(空も私を怒らせると怖いということがわかっているのだと思われます。)
LOBBYで村井さんが演られた「灯」のラストシーンの公園でなかはしさんと同じ課題をしてきました。いやーとても勉強になりました。(話すとものすごく長いのではしょってみました)

初級は元々一般の方向けに作られたということなので安心して楽しく参加できそうですが、中級はどうなのかしら? ずるい話ですが、レポート楽しみにしております。

中級篇は、まだまだ始まったばかりなので付いて行くのがやっとです……。
レポートにうまくまとめられるかどうか、頑張りますです。